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Channel: 感染症診療の原則
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耐性HIV感染症 今でもいるの?

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ICAACDVD2012年の学び、本日のお題は耐性HIV感染症。
「Clinical management of Antiretroviral therapy experienced patients」

めっきり見なくなりましたね耐性の問題・・。
HAARTを始めて半年後、一年後のCD4上昇率も、ウイルス量検出限界以下達成率も飛躍的に改善しています。

そんな今日、耐性HIV感染症の悩みなんて一種の非日常・・?

でも、やはりCompliance、AdherenceがPoorなPopulationを一定数かかえる国では今でも問題なのです。

それでは症例に参りましょう。
PresenterはPablo Tebas、スペイン系アメリカ人。発音は完璧スペイン系。

70歳男性 ウイルス量(VL)62, CD4:400

HIV感染症の診断は1986。最近調子が悪い・・という事で来院。
既往歴:KS、Castleman、CAD、CRF、高Lipid・・まあこんなとこですね。

さあて、HAARTの歴史は
1:ZDV/3TC/IDV/EFV(字を見るだけで吐きそう・・)
2:ABC/SQV/RTV/EFV(サキナビルなんて懐かしい・・(笑)
3:d4T/3TC/EFV(懐かしい)
4:d4T/3TC/NFV(超懐かしい)
5:TDF/FTC/EFV(おお、Modernだね)

この後、Adherence問題でウイルス的Failure

さあ、問題です。次のHAARTは何にする?

Pablo先生のチョイスは
TDF/FTC/ZDV+Kaletra

このお陰でVL検出限界以下+CD4:400 >>めでたし!!

ではない!! 心筋梗塞起こしました。

これに対してはAtrovastatin、Gemfibrozilが・・。そしてHAARTはATZ/r+ZDV/3TC 

これで高Lipid、腎機能が悪化

さあ、問題です。次のActionは?
1:Atrovastatin量の増加
2:AtrovastatinをRosuvastatinに変更
3:プロテアーゼ阻害剤をRALへ
4:プロテアーゼ阻害剤をRilpirivineへ
5:わからん!!

Judy Aberg 先生:
SWITCHMRK研究を見て! 脂質は良くなるかも知れないけど、やはりKaletraはRALよりも安全なのよ。
このような沢山のHAARTを経験した症例では、耐性検査に表現されないArchiveされた耐性が沢山隠れているの。
だからNNRTIやRALのようなIntegrase阻害剤は耐性バリアの低さゆえに駄目なの。
Lancet. 2010 Jan 30;375(9712):396-407

という事で、こういう症例はやはりエキスパートに相談ですね。
少しずつ抗ウイルス薬を試しては変更・・は、絶対にしてはいけないのですから・・

(写真:駒込病院 2012年度卒業生ら。 そういえば明日から2013年度、駒込病院の毎週講義Series開始だ・・)

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