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Channel: 感染症診療の原則
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コクシジオイデス症のアウトブレイク

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「コクシジオイデス症 Coccidioidomycosis」は「valley fever」ともよばれます。
日本では4類の全数報告で、診断をしたら保健所に届け出をする必要があります。

米国のArizona, California, Nevada, New Mexico, Utah などの流行地への渡航歴がある患者で診断されています。

Increase in Reported Coccidioidomycosis ― United States, 1998–2011 MMWR March 29, 2013 / 62(12);217-221
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6212a1.htm

日本語のサマリーはこちらに。
66%はアリゾナ州、31%はカリフォルニア州とのことです。

カリフォルニアの発電で28例のアウトブレイクというニュース。
"CA investigating Valley fever outbreak that sickened 28 workers at solar plant sites"が5月1日にありました。


青木編集長によりますと、ふつうの抗菌薬がきかない肺炎ではコクシジオイデスを考えるのが米国西部の常識、とのことです。
ケンタッキーは?ときいたら、ヒストプラズマとブラストマイセス、、とのことでした。

以前、宮崎県の症例検討会ではずした症例は宮崎肺吸虫でしたが、地元の先生方の鑑別にはあがっていました。
地域流行する感染症の情報も、周辺情報とともに学べるといいなとおもいます。

日本でも輸入感染症として診療することがあります。

「肺コクシジオイデス症5例の臨床的検討」日呼外会誌 23巻1号(2009年1月)

2年間に5例経験した、という報告です。

"年齢・性別:27~65歳(平均39歳),全例男性. 渡航歴:5例中3例はパイロット訓練生でカリフォ ルニア州の研修施設に約1ヵ月間滞在,1例は仕事で アリゾナ州に約2週間滞在,1例は旅行でネバダ州, ユタ州に約2週間滞在した"

まさにendmic 地域ですね。

"発見動機:全例が健診で胸部異常陰影を指摘され当院を受診した"

渡航歴をしっかりきくことが大事ですね。

職業上の曝露リスク:
IDWRの説明によると、
"本症が日本で発症した場合、菌の同定には特別な注意が必要である。
本菌は菌糸状発育しているシャーレの蓋を不用意に開けただけで、分生子が空中に舞い上がり室内を汚染する。患者と直接接触する医師や看護師より、患者の検体から培養された真菌を取り扱う検査技師や研究者に二次感染の危険がある。米
国では過去に200名近い研究者および臨床検査技師が感染を経験しており、死亡例も少なくない。"

臓器移植、免疫抑制、発症、というパターンも。
Donor-Related Coccidioidomycosis in Organ Transplant Recipients CID 2003:37 (1 November) • 1265



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