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Channel: 感染症診療の原則
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介入 と その効果(H7N9、風疹)

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感染症によって、効果のある予防介入は異なります。

鳥インフルエンザの場合は、トリとの接触を断ちましょう、なのですが、生活習慣的に難しいものや、経済保証の必要な市場の閉鎖などはなかなかムズカシイといわれています。そんなことをいっていたら広がっていってしまうので、国が制限をする仕組みをもっています。

(日本でも自治体レベルで集会の制限などもできるようになっていますね)

中国ではH7N9の流行地でのlive bird marketを閉鎖し、曝露のチャンスを減らしました。もっとも鳩や野生のトリでも広くひろがっているようなので曝露リスクはゼロにはできないでしょうが、一応もっともうたがわれたところに介入をしました。

4月23日付けのNEJM Preliminary Report: Epidemiology of the Avian Influenza A (H7N9) Outbreak in Chinaでは、症例の77%にlive bird(生きたトリ)との曝露があったとありますので、この成果が出るかどうかの評価が行われます。

いっぽう、昨日、中国に仕事で滞在していた台湾の男性がH7N9症例と把握されました(病院でstableだそうです)。会見でも強調されていましたが、「発熱しているときじゃないと体温センサーではわからないので、空港では限界がありますね」ということでした。(2009年のときも各国あまり検疫には力をいれてなかった理由でもあります)

感染症対策では何からとりくむべきか、人やお金をどこに投入すべきかがわかる2つの情報でした。

日本で生かすにはどうすればいいでしょうか。

台湾のコメントからすると、空港に医者を集めるよりは、体調不良時に安心して受診できる医療機関の体制が整っているほうが患者さんにも医療者にとってもメリットですね。

リスク行為については空港で啓発。

動物に触らないように、近寄らないようにということは常識のようでありますが、そこは海外。ふだんの危機意識がとんでしまうこともあります。

この事例はとても勉強になりますよ。怖いけどよんでください(^^;)

「東南アジアからの帰国時に急性呼吸器症状を呈した患者から分離されたオルソレオウイルス」
(Vol. 29 p. 310-312:2008年11月号)

"男性、38歳。11月8日〜21日にインドネシアに妻と旅行。"

うらやましい。

"11月19日22時頃から発熱、関節痛等の症状があった。"

帰る直前です。がんばって飛行機にのってしまいますね。

"11月21日朝帰国し、当日、関西空港経由で帰省。宮崎への機内では風邪薬を服用した。宮崎着後、直接、夜間救急センター病院を受診し、発熱39℃、咳症状、咽頭痛あるも、胸部X線検査で肺炎所見は見られず帰宅。"

インドネシア→関空です。関空の検疫で相談したら宮崎行きの飛行機に乗れないのでがんばってしまったのでしょうね、と想像。
でもつらかったのでしょう。救急センター受診です。
「渡航歴のある発熱患者」です。しかし肺炎でもないし、○○○などを処方して帰る・・・・ことになりますね。


しかし、帰宅した後に症状が悪化して別の病院を受診します。
インドネシアと言えば今問題になっている病原性不明のH7N9ではなく「高病原性H5N1」報告が多い国ですし、熱い国では年中インフルエンザ等も流行していますから、ここでキットで検査というのもわかります。でも陰性。

ここで県立病院の先生がヒットです。現地での行動歴からリスク情報を聞き出します。(すばらしい)
が、聞いた情報が「きゃあああああああああ」という内容でした。

あなたが主治医ならどうしますか。も、も、も、もしや○○ではっ?

続きをよみましょう。

"同日夜中1:00に意識が朦朧とし県立宮崎病院の救急外来を受診し、インフルエンザの迅速診断キットでは陰性であったが、聞き取り調査で、帰国2,3日前に接触した現地ガイドは咳が持続しており、11月10日にこのガイドの自宅で放し飼いの鶏を捕まえて料理したことが判明した。"

・・・・一瞬呆然とする医師(だったかどうかは不明)。
気をとりなおして保健所に相談(たぶん)。

”高病原性鳥インフルエンザの要観察例として対応したが、検査の結果陰性。23日午前2時50分、検査の結果陰性が判明。その後、26日まで発熱継続し不明熱の診断で入院継続、29日に症状改善し退院した。”

・・・で、違う病原体でしたが。

海外にお出かけの皆様!動物にはくれぐれも近寄らないように。自分でさばいたりしないようにお願いしますっ!

もっとも、ふだんの意識だからこそアブナイめにあうのも日本的。
動物がいると「きゃあ〜かわいい〜」と手を出してしまいます。
そしてがぶっとやられてしまいます。犬、ネコ、サル、なんでもありです。

「動物咬傷」(どうぶつこうしょう)というカテゴリーですね。地域や傷によって必要な対応が変わってきますので、一度どこかでまとめて勉強をしたいです。(編集長、破傷風や狂犬病対応などがスラスラいえますか?)

さて。
感染症によって有効な介入方法が違うということで、もうひとつ考えるべきは「風疹」。

もっとも有効なのはワクチン接種率を高めることです。

今日は千葉県知事が県として接種費用補助を発表しました。
これで緊急提言をだしている東京都、非常事態宣言を出した神奈川県知事についで3つ目です。
大阪と兵庫はまだ許容できるという判断なのでしょうか。埼玉県、大丈夫でしょうか。

神奈川県は県のアナウンスをうけて、各自治体が続々と助成を発表しています。群馬県の安中市も助成を発表。

で、問題です。

予防接種の助成を行政がしたら、この風疹の流行は終息していくでしょうか?

答えはNoです。実際に接種する人が増えるかどうかが問題です。その意味では、自治体が接種補助をしていることを知っている当該年齢の男女がどれくらいいるのか?その人達はどれくらい接種に動いているのか?

そして、実際にその地域での流行がとまるのか?です。

保健所に5類の報告をするのは医療機関です。さいたま市の人が新宿の病院を受診して発症すると新宿/東京でカウントされます。

流行がとまるためには接種の情報を届け受診をしてもらう必要があります。
しかし連休がすぐそこです。土日祝日に接種をしてくれる病院の情報も必要になっています。

皆さんの地域での取り組みをお願いいたします。

ゴールデンウイーク中もワクチン接種ができるクリニックが東京にはあります。
http://www.jiyugaokamp.com/
臨時で土日対応をしますという情報もいくつかきいています。

国や自治体の病院はそのような緊急の対応をしてもいいのではと思います。風疹をとめるつもりなら。

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