On Twitter, Anti-Vaccination Sentiments Spread More Easily than Pro-Vaccination Sentiments
元の論文は
The dynamics of health behavior sentiments on a large online social network EPJ Data Science 2013, 2:4
インターネットを見ていたら興味深い記載がありました。そして、それは時間の経過とともにトレンドが変わっていきました。
まず、「風疹と放射能が関係する」という話。「チェルノブイリ事故のあとも風疹が流行した"らしい"」
で、「風疹が流行しているのは放射能のせいだ」それは「免疫不全のせいだ」
そもそも医学用語の理解度は不明。なぜ、免疫不全の人に風疹だけ?とか根本的なつっこみどころはおいといて、
この時点で、症例がどのような人かというような発生動向調査データの吟味はないようで、なぜに男性が8割で、東京、大阪、兵庫に多いのかという説明がありません。というか知らないのかも。
このあたりの細かい検討がたいへん丁寧におこなわれているブログが参考になりますよ。
Blog うさうさメモ 「風疹とワクチンにまつわる流言(1) 風疹はなぜ流行しているの?放射能のせい?」
といっているうちに、今度は「風疹なんて流行っていない!」という人もでてきました。
・・・。
どんな感染症が流行っているかは自分の半径数メートルではわかりません。居住地域のデータを見ることが基本です。
例えば国全体の報告は国立感染症研究所のIDWR(感染症週報)に載るこのような表がわかりやすいです。
見方が分からない場合は統計や図表の基本的な本を読むことをお勧めします。こういった概念がわからないまま、感染症の多い少ない、トレンドを語るのは不可能ですので。
医師の届け出ではつかみきれないので補完的に行われているのは、インフルエンザですと、抗インルエンザ薬の処方がどれくらいあるかという薬局サーベイランス、こどもたちがどれくら欠席しているかの学校サーベイランスです。Twitterでの書き込みをみるFlu trendサーチなどもあります。(流行トレンドとだいたい同じ動きをすることが把握されています)
流行っていない!の根拠は「私のまわりにいないし、私のフォロワーにきいてもほとんどいない」では評価できない感染症もあります。
風疹はeliminationを目標に取り組みが続けられていますが、その目標は1年間の発生件数が100万分の1より少ない( <1 case per 1,000,000 )、そして、もちこまれても地域で伝播しない(ヒトヒトヒトと、感染が広がらない)という条件があります。そのレベルにおさえないといけないのに、(お金がないという)自治体がワクチンの費用補助に動かなければいけないほどに報告があります。
しかし、<a href="http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/f02debda98296a31b1433c33debb1b1c">その報告も「過小評価」ですから、実際にはどれくらい感染が広がっているのだろうということが理解のポイントです。
ちなみに、水虫(真菌症)は、あまりに症例数が多いのと、命に関与しない、母子感染しないためにあまり関心をもってもらえない冷や飯感染症です。(その方が病原体はsurviveできていいわけですが)それをエピデミックとかアウトブレイクとかはいいません。エンデミックとさえいってもらえません。当事者はそれなりに困っていますが。
話を元にもどしましょう。
そもそもTwitterは自分でフォローする人を決める、自分と同じような意見を持つ人とつながるという傾向がもともとあるので、同意形成とそれが「世界観」になりやすいことが知られています。わかりやすいところでは「確証バイアス」。
確証バイアス(Wikipedia);確証バイアス(かくしょうバイアス英: Confirmation bias)とは社会心理学における用語で、個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという現象である。
確証バイアス confirmation bias:信念に反することがらを探すのではなく黙殺したり、あるいは低い価値しか与えなかったりもする
単純に「えー私のまわりにはいないよー」です。そんなに皆の周りにいたら、この国は終わっています。風疹以前に、病原体ごとに対応が異なるという基本的なことから学んだほうがいいですね。
ワクチンは、ワクチン全部否定、反対という人と、特定のワクチンが嫌(例えばHPV)というひとと、感染症やワクチンなんかどうでもよくて、製薬会社がワクチンで利益を得るのがいやとか。
(製薬会社が医薬品で儲けるのは別にいいのではないでしょうか。関係ない企業がやったら別ですがー。魚屋は魚、八百屋は野菜)
ある宗教によっては「病気は神様からのギフト」という発症に意味有りという語りがあります。(周囲に感染を拡大させるのもよいことになる?)
臨床試験をして安全性や有効性を検証している薬やワクチンは嫌いで、そういった検証はしていない健康被害補償制度なんてまったくないアヤシいサプリや、信頼性の検証もない検査に誘うサイトに誘導されていったりするのをみるとどっちが悪質なんだよ、ということでもあります。面白いのでリンク先をたどっていってみるといいとおもいます。
Anti-vaccineサイトの分析などは海外では研究レベルでいろいろおこなわれています。
実際問題、アンチ活動で接種率が下がり、その後感染症が流行というパターンも把握されています。結果として本来よりも何倍ものお金をかけて対応に追われることになります。
ワクチンだけじゃなくて、自然に反するものはなんでも嫌い!、ナチュラルは好き♪という人もいます。いろいろです。
怖いのは、Natural好きな方は大自然で子どもを遊ばせたり、土いじりなどもさせて、しかし三種混合ワクチンをしていなかったりするので、破傷風などのリスクに子どもがさらされることです。
実際に(学会発表がありましたが)都内では、ワクチンを一切しなかった3歳の子が破傷風になりICU入院、、というような事例がありました。怖いです。自然って素敵なことばかりじゃない。
こちらは海外の事例:6歳の破傷風
Philosophic Objection to Vaccination as a Risk for Tetanus Among Children Younger Than 15 Years
保護者が悪いというよりは、影響を与えるような情報は周囲にたくさんありますよ、という事実認知が先。
編集長も編集部もFacebookをやらないので、細かく見たことは無いのですが、Social Mediaで反ワクチン言説が広がったりもしますし、
Antiに対するAntiのサイトもあったりで、サイエンス・コミュニケーションを学ぶ際に参考になる材料がネットにはたくさんあります。
例えば(英語ですが)
Anti-Vaccine Liberals
Anti-Vaccine Movement
The Truth About Vaccines
National Vaccine Information Center
Natural Newsをソースにする人が一定数います。
ということ受けて(Nature ではなく)Natural Newsを読んだ人がこういってたよねーという会話の写真あり
Refutations to Anti-Vaccine Memes
Anti-Anti-Vaccine Campaign
Myths of the Anti-Vaccine Movement
Stop the Australian (Anti)Vaccination Network
(Twitterとかホームページはもっとたくさんあるようです。日本語のサイトはまとめをつくってHPやブログで紹介している方が複数いますので、別記事でまた紹介させていただきます)
海外の場合は、保育園や小学校、大学入学の際に接種証明を出さなくてはいけない場合もあり、「個人の自由のはずだ」的論争もあります。
集団生活におけるリスク管理として99%の人が理解をしても、100%にはなりません。
保護者や社会のルールのところで熱い話題になりますが、本来の健康や病気の影響を受ける当事者は子どもです。
子ども達を守るためには、未接種の選択をするならば、妊婦や乳幼児に近寄らない、アウトブレイクしたら3週間の自宅待機といった注意が提示されますし、接種したくない親のためにはhome schoolingの選択肢があるとか、かなり複雑です。
Need help responding to vaccine-hesitant parents?
Science-based materials are available from these respected organizations
信頼を得ることが何より大事。
信頼ってどうやって獲得するんだろう、は伝える側が常に問わなければいけないこと。正しいことを連呼するだけじゃ不足。
元の論文は
The dynamics of health behavior sentiments on a large online social network EPJ Data Science 2013, 2:4
インターネットを見ていたら興味深い記載がありました。そして、それは時間の経過とともにトレンドが変わっていきました。
まず、「風疹と放射能が関係する」という話。「チェルノブイリ事故のあとも風疹が流行した"らしい"」
で、「風疹が流行しているのは放射能のせいだ」それは「免疫不全のせいだ」
そもそも医学用語の理解度は不明。なぜ、免疫不全の人に風疹だけ?とか根本的なつっこみどころはおいといて、
この時点で、症例がどのような人かというような発生動向調査データの吟味はないようで、なぜに男性が8割で、東京、大阪、兵庫に多いのかという説明がありません。というか知らないのかも。
このあたりの細かい検討がたいへん丁寧におこなわれているブログが参考になりますよ。
Blog うさうさメモ 「風疹とワクチンにまつわる流言(1) 風疹はなぜ流行しているの?放射能のせい?」
といっているうちに、今度は「風疹なんて流行っていない!」という人もでてきました。
・・・。
どんな感染症が流行っているかは自分の半径数メートルではわかりません。居住地域のデータを見ることが基本です。
例えば国全体の報告は国立感染症研究所のIDWR(感染症週報)に載るこのような表がわかりやすいです。
見方が分からない場合は統計や図表の基本的な本を読むことをお勧めします。こういった概念がわからないまま、感染症の多い少ない、トレンドを語るのは不可能ですので。
医師の届け出ではつかみきれないので補完的に行われているのは、インフルエンザですと、抗インルエンザ薬の処方がどれくらいあるかという薬局サーベイランス、こどもたちがどれくら欠席しているかの学校サーベイランスです。Twitterでの書き込みをみるFlu trendサーチなどもあります。(流行トレンドとだいたい同じ動きをすることが把握されています)
流行っていない!の根拠は「私のまわりにいないし、私のフォロワーにきいてもほとんどいない」では評価できない感染症もあります。
風疹はeliminationを目標に取り組みが続けられていますが、その目標は1年間の発生件数が100万分の1より少ない( <1 case per 1,000,000 )、そして、もちこまれても地域で伝播しない(ヒトヒトヒトと、感染が広がらない)という条件があります。そのレベルにおさえないといけないのに、(お金がないという)自治体がワクチンの費用補助に動かなければいけないほどに報告があります。
しかし、<a href="http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/f02debda98296a31b1433c33debb1b1c">その報告も「過小評価」ですから、実際にはどれくらい感染が広がっているのだろうということが理解のポイントです。
ちなみに、水虫(真菌症)は、あまりに症例数が多いのと、命に関与しない、母子感染しないためにあまり関心をもってもらえない冷や飯感染症です。(その方が病原体はsurviveできていいわけですが)それをエピデミックとかアウトブレイクとかはいいません。エンデミックとさえいってもらえません。当事者はそれなりに困っていますが。
話を元にもどしましょう。
そもそもTwitterは自分でフォローする人を決める、自分と同じような意見を持つ人とつながるという傾向がもともとあるので、同意形成とそれが「世界観」になりやすいことが知られています。わかりやすいところでは「確証バイアス」。
確証バイアス(Wikipedia);確証バイアス(かくしょうバイアス英: Confirmation bias)とは社会心理学における用語で、個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという現象である。
確証バイアス confirmation bias:信念に反することがらを探すのではなく黙殺したり、あるいは低い価値しか与えなかったりもする
単純に「えー私のまわりにはいないよー」です。そんなに皆の周りにいたら、この国は終わっています。風疹以前に、病原体ごとに対応が異なるという基本的なことから学んだほうがいいですね。
ワクチンは、ワクチン全部否定、反対という人と、特定のワクチンが嫌(例えばHPV)というひとと、感染症やワクチンなんかどうでもよくて、製薬会社がワクチンで利益を得るのがいやとか。
(製薬会社が医薬品で儲けるのは別にいいのではないでしょうか。関係ない企業がやったら別ですがー。魚屋は魚、八百屋は野菜)
ある宗教によっては「病気は神様からのギフト」という発症に意味有りという語りがあります。(周囲に感染を拡大させるのもよいことになる?)
臨床試験をして安全性や有効性を検証している薬やワクチンは嫌いで、そういった検証はしていない健康被害補償制度なんてまったくないアヤシいサプリや、信頼性の検証もない検査に誘うサイトに誘導されていったりするのをみるとどっちが悪質なんだよ、ということでもあります。面白いのでリンク先をたどっていってみるといいとおもいます。
Anti-vaccineサイトの分析などは海外では研究レベルでいろいろおこなわれています。
実際問題、アンチ活動で接種率が下がり、その後感染症が流行というパターンも把握されています。結果として本来よりも何倍ものお金をかけて対応に追われることになります。
ワクチンだけじゃなくて、自然に反するものはなんでも嫌い!、ナチュラルは好き♪という人もいます。いろいろです。
怖いのは、Natural好きな方は大自然で子どもを遊ばせたり、土いじりなどもさせて、しかし三種混合ワクチンをしていなかったりするので、破傷風などのリスクに子どもがさらされることです。
実際に(学会発表がありましたが)都内では、ワクチンを一切しなかった3歳の子が破傷風になりICU入院、、というような事例がありました。怖いです。自然って素敵なことばかりじゃない。
こちらは海外の事例:6歳の破傷風
Philosophic Objection to Vaccination as a Risk for Tetanus Among Children Younger Than 15 Years
保護者が悪いというよりは、影響を与えるような情報は周囲にたくさんありますよ、という事実認知が先。
編集長も編集部もFacebookをやらないので、細かく見たことは無いのですが、Social Mediaで反ワクチン言説が広がったりもしますし、
Antiに対するAntiのサイトもあったりで、サイエンス・コミュニケーションを学ぶ際に参考になる材料がネットにはたくさんあります。
例えば(英語ですが)
Anti-Vaccine Liberals
Anti-Vaccine Movement
The Truth About Vaccines
National Vaccine Information Center
Natural Newsをソースにする人が一定数います。
ということ受けて(Nature ではなく)Natural Newsを読んだ人がこういってたよねーという会話の写真あり
Refutations to Anti-Vaccine Memes
Anti-Anti-Vaccine Campaign
Myths of the Anti-Vaccine Movement
Stop the Australian (Anti)Vaccination Network
(Twitterとかホームページはもっとたくさんあるようです。日本語のサイトはまとめをつくってHPやブログで紹介している方が複数いますので、別記事でまた紹介させていただきます)
海外の場合は、保育園や小学校、大学入学の際に接種証明を出さなくてはいけない場合もあり、「個人の自由のはずだ」的論争もあります。
集団生活におけるリスク管理として99%の人が理解をしても、100%にはなりません。
保護者や社会のルールのところで熱い話題になりますが、本来の健康や病気の影響を受ける当事者は子どもです。
子ども達を守るためには、未接種の選択をするならば、妊婦や乳幼児に近寄らない、アウトブレイクしたら3週間の自宅待機といった注意が提示されますし、接種したくない親のためにはhome schoolingの選択肢があるとか、かなり複雑です。
Need help responding to vaccine-hesitant parents?
Science-based materials are available from these respected organizations
信頼を得ることが何より大事。
信頼ってどうやって獲得するんだろう、は伝える側が常に問わなければいけないこと。正しいことを連呼するだけじゃ不足。