前のほうの記事で、感染症に関する国の決まりごとがどうやって決まっているんでしたっけという中学校公民で習ったことを復習しました。
その続きです。
委員会で可決された→衆議院で可決→参議院で可決、で予防接種法を一部改正する法案が通りました。
そのときどきで検討される法案と途中経過はHPでも確認できます。わかりにくいですが。
誰かの意図で発案され、誰かが誰かによびかけて法案として、(この間いろいろ省略)国会にはかられて決まりますよということです。
それを実行するのは現場なのですが、運用ならば自治体の職員の人で、医療ならば私たち医療関係者であります。
なんで現場とずれたことが決まるんだよ?とお怒りになる場合は、上記のプロセスに責任をもって噛む必要があります。
国や行政に詳しい人は(ほとんど)いません。声の大きい人勝ち、言ったもの勝ちといえばそうかもしれません。
たとえば、今回は水痘、ムンプス、B型肝炎が定期化されていないのに、HPVが先に定期化されるという他の先進国からはあきれられるような状況になってしまいました。
興味深いのは、感染症はじめ多くの医療関係者はここに疑問をもっていて、専門団体がこれを改善すべくはたらきかけましたし、故・神谷先生はじめ政府の会議によばれるお歴々までおかしいといっていたのに、議事録もないまま3つのワクチンの公費導入が先行したんですよね。
こういった事例がミステリーとかスキャンダルとか陰謀として語られ、結果として予防接種制度全体をabuseされているのは悲劇ですね。リスクコミュニケーション以前の問題です。
上記のプロセスをみるだけでも「たいへんなことだなあ」と思われるでしょう。
「誰か」の強い意図なくそんなことはおきないわけですよ。
今、風疹が流行っていて、多くの医師や現場の人が成人のワクチン接種の補助をできないかと声をあげていますが、「やりたいのはやまやまだが、お金がない」という返事をもらっているそうです。
お金は本当にないのでしょうか。
母子感染した子どもの健康や人生をお金に換算することはできませんが、必要になる医療や福祉だけをみても事後コストもかかります。
先日、某関係の人が「風疹ワクチンは個人防御だからね」と発言したそうです。
何もわかっていないひとがいろいろな決定の場にいたら怖いですね。
3月15日に(2012年に排除宣言ができずにモロモロ延期になっている)麻疹関連資料の改訂版が出た(ということは、厚生労働省のメルマガ「感染症エクスプレス」で知りました)
麻疹をうたがったらどうするかの検査アルゴリズム(こちらのPDFの11ページにあります)をみるとわかるように、たいへん複雑です。
麻疹かなーとおもったら風疹だったよ!報告が相次いでおり、その延長に現在の東京の大流行があるわけですが、麻疹か風疹か調べてねと行政に出す検査のお金は1件あたり1万数千円もして、ワクチン代より高いんじゃん!という怒りにつながります。
ワクチン代だけが問題なのではありません。
成人の接種費用を補助してもらおうとしたら、まず保健所等に電話をしまして、「用紙をとりにきてください」と言われたり、いけないというと1週間くらいで郵送するといわれたりする区もあるそうです。
中野区は医療機関の領収書があればいいということで償還手続法をとっていますが、この事務作業にとられる人手のコストもたいへんですし、お金は指定の個人口座に振り込むそうなので、振込料も発生します。それも税金です。
風疹はもともとVPD(Vaccine Preventable Diseases)のひとつとして、このような大騒ぎをすることは、先進国では「想定の範囲外」なわけです。
各国のepidemiologistからは、「こんなに広がるなんて、特定の時代のワクチンのロットに問題はないのか」という別のさぐりもはいりはじめています。日本のワクチンへの不信。
‐いや、接種していない世代の男性がいましてね」(もごもご)
それは他の国もやっていたのですが、途中でキャッチアップなどをしており全体として9割の人口が免疫を持っている国になっているので日本のようなことはおきていないのですが
「だったら早くその人たちに接種をすればいいじゃないか」
‐いやそれはわかっているんですが、2004年にもそうしようっていったんですが(もごもご)
「なぜしないのだ」
‐お金がないということになっています
「アジアやアフリカの予防接種拡大プログラム(EPI)にもたくさんお金を出してサポートしているのに自国の子供は守らないのか」
‐いやそれは外務省、、、(ぼそぼそ)
「誰が放置していいと決めているのだ。そもそも感染症対策の優先順位がおかしくないか」
以下省略。
関係の人たちの話し合いでは、新型インフルエンザのお金をまわしたらどうだという意見が出ています。
そう思います。
インフルエンザはインフルエンザなので、流行したらある程度とめられませんし、自宅待機(逆隔離)や咳エチケットなどが優先です。
世界の8割近いタミフルを日本が使うというような過剰な対策案をやめて、妊婦や子供を守るというpublic healthの根幹のところにたちかえるべきなわけです。
もちろん「今でしょ!」。
超高齢者のあつまる施設で、一度流行したら一定の拡大は避けられないインフルエンザやノロの感染や重症・死亡に大騒ぎするメディアの勘違いなどもやめていただき、ワクチン啓発のみならず、「風疹かなとおもったら出勤しないで自宅待機(逆隔離)」というエチケットや危機管理を企業にうったえていただきたいです。
岩田先生には続編をお願いしないといけません。
風疹が流行する国で新型インフルエンザ〜はとめられるのか?
麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか亜紀書房
そういえば。麻疹排除宣言をめざす国や地域の会議では風疹の話題は出ていないそうです。
世界がmeasles and rubella elliminaiton会議をしているときに、なぜ日本は麻疹だけの話になってしまったのかも、検証がいることでしょうか。
ほかにも今できるのに放置していることってあるんじゃないかという不安が常にあります。
リスクアセスメントが適切に行われていないことがわかっているので。
その続きです。
委員会で可決された→衆議院で可決→参議院で可決、で予防接種法を一部改正する法案が通りました。
そのときどきで検討される法案と途中経過はHPでも確認できます。わかりにくいですが。
誰かの意図で発案され、誰かが誰かによびかけて法案として、(この間いろいろ省略)国会にはかられて決まりますよということです。
それを実行するのは現場なのですが、運用ならば自治体の職員の人で、医療ならば私たち医療関係者であります。
なんで現場とずれたことが決まるんだよ?とお怒りになる場合は、上記のプロセスに責任をもって噛む必要があります。
国や行政に詳しい人は(ほとんど)いません。声の大きい人勝ち、言ったもの勝ちといえばそうかもしれません。
たとえば、今回は水痘、ムンプス、B型肝炎が定期化されていないのに、HPVが先に定期化されるという他の先進国からはあきれられるような状況になってしまいました。
興味深いのは、感染症はじめ多くの医療関係者はここに疑問をもっていて、専門団体がこれを改善すべくはたらきかけましたし、故・神谷先生はじめ政府の会議によばれるお歴々までおかしいといっていたのに、議事録もないまま3つのワクチンの公費導入が先行したんですよね。
こういった事例がミステリーとかスキャンダルとか陰謀として語られ、結果として予防接種制度全体をabuseされているのは悲劇ですね。リスクコミュニケーション以前の問題です。
上記のプロセスをみるだけでも「たいへんなことだなあ」と思われるでしょう。
「誰か」の強い意図なくそんなことはおきないわけですよ。
今、風疹が流行っていて、多くの医師や現場の人が成人のワクチン接種の補助をできないかと声をあげていますが、「やりたいのはやまやまだが、お金がない」という返事をもらっているそうです。
お金は本当にないのでしょうか。
母子感染した子どもの健康や人生をお金に換算することはできませんが、必要になる医療や福祉だけをみても事後コストもかかります。
先日、某関係の人が「風疹ワクチンは個人防御だからね」と発言したそうです。
何もわかっていないひとがいろいろな決定の場にいたら怖いですね。
3月15日に(2012年に排除宣言ができずにモロモロ延期になっている)麻疹関連資料の改訂版が出た(ということは、厚生労働省のメルマガ「感染症エクスプレス」で知りました)
麻疹をうたがったらどうするかの検査アルゴリズム(こちらのPDFの11ページにあります)をみるとわかるように、たいへん複雑です。
麻疹かなーとおもったら風疹だったよ!報告が相次いでおり、その延長に現在の東京の大流行があるわけですが、麻疹か風疹か調べてねと行政に出す検査のお金は1件あたり1万数千円もして、ワクチン代より高いんじゃん!という怒りにつながります。
ワクチン代だけが問題なのではありません。
成人の接種費用を補助してもらおうとしたら、まず保健所等に電話をしまして、「用紙をとりにきてください」と言われたり、いけないというと1週間くらいで郵送するといわれたりする区もあるそうです。
中野区は医療機関の領収書があればいいということで償還手続法をとっていますが、この事務作業にとられる人手のコストもたいへんですし、お金は指定の個人口座に振り込むそうなので、振込料も発生します。それも税金です。
風疹はもともとVPD(Vaccine Preventable Diseases)のひとつとして、このような大騒ぎをすることは、先進国では「想定の範囲外」なわけです。
各国のepidemiologistからは、「こんなに広がるなんて、特定の時代のワクチンのロットに問題はないのか」という別のさぐりもはいりはじめています。日本のワクチンへの不信。
‐いや、接種していない世代の男性がいましてね」(もごもご)
それは他の国もやっていたのですが、途中でキャッチアップなどをしており全体として9割の人口が免疫を持っている国になっているので日本のようなことはおきていないのですが
「だったら早くその人たちに接種をすればいいじゃないか」
‐いやそれはわかっているんですが、2004年にもそうしようっていったんですが(もごもご)
「なぜしないのだ」
‐お金がないということになっています
「アジアやアフリカの予防接種拡大プログラム(EPI)にもたくさんお金を出してサポートしているのに自国の子供は守らないのか」
‐いやそれは外務省、、、(ぼそぼそ)
「誰が放置していいと決めているのだ。そもそも感染症対策の優先順位がおかしくないか」
以下省略。
関係の人たちの話し合いでは、新型インフルエンザのお金をまわしたらどうだという意見が出ています。
そう思います。
インフルエンザはインフルエンザなので、流行したらある程度とめられませんし、自宅待機(逆隔離)や咳エチケットなどが優先です。
世界の8割近いタミフルを日本が使うというような過剰な対策案をやめて、妊婦や子供を守るというpublic healthの根幹のところにたちかえるべきなわけです。
もちろん「今でしょ!」。
超高齢者のあつまる施設で、一度流行したら一定の拡大は避けられないインフルエンザやノロの感染や重症・死亡に大騒ぎするメディアの勘違いなどもやめていただき、ワクチン啓発のみならず、「風疹かなとおもったら出勤しないで自宅待機(逆隔離)」というエチケットや危機管理を企業にうったえていただきたいです。
岩田先生には続編をお願いしないといけません。
風疹が流行する国で新型インフルエンザ〜はとめられるのか?
麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか亜紀書房
そういえば。麻疹排除宣言をめざす国や地域の会議では風疹の話題は出ていないそうです。
世界がmeasles and rubella elliminaiton会議をしているときに、なぜ日本は麻疹だけの話になってしまったのかも、検証がいることでしょうか。
ほかにも今できるのに放置していることってあるんじゃないかという不安が常にあります。
リスクアセスメントが適切に行われていないことがわかっているので。