ライリー先生の集中講義で学んだこと。
まず、「日本人」になじみのあるMRSAから。
なんのことだかさっぱり・・・な方のために日本語の関連資料を紹介しておきます。
「市中感染型 MRSA の遺伝子構造と診断(最新の知見)」感染症学会誌 総説 平成16年 6 月20日
「MLSTなどによるMRSAの分子疫学」
日本臨床微生物学雑誌 総説 17:3, 2007年
「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:ヨーロッパにおける疾病負担と対策の課題」Euro Surveill. 2010; 15(41)
ライリー先生は冒頭で次のような問いを提示しました。
Why do some strains of SA cause disease while others do not?
なぜ、特定のSAはヒトを病気にし、他のSAはしないのか
Why do some strains of SA cause epidemics while others do not?
なぜ、いくつかのSAは流行をするのに、他のものはしないのか
薬剤耐性だから? それ以外の生物学的な因子があるから? それ以外の理由があるから?
◆MRSA全体像
MRSAのプレバレンスは0.6%(オランダ)〜60%(日本)と国による違いが大きい
SA感染が原因で死ぬヒトはHIV/AIDSで死ぬヒトよりも数が多い。
院内ではなく市中感染のMRSAが広がりだしたのは1990年代
◆MRSAの歴史
Chambers and DeLeo, Nat Rev Med, 2009より
第一の波;1940-60年代
Plasmid-encoded penicillinase; became pandemic by the mid 1950s to 1960s; mostly caused by phage-type 80/81 S. aureus.
第二の波:1960年代
Methicillin resistance reported in 1961 from UK; resistance encoded by mecA (encodes penicillin binding protein, PBP 2a―low affinity to PCN); mostly caused by COL, mostly limited to Europe.
第三の波:1970-80年代
Iberian and other clones―spread to the US and the globe in hospitals and health care settings; epidemic evolving with emergence of VISA and VRSA.
第四の波:1990年代
CA-MRSA--earliest cases reported from Australia among the indigenous populations; US: 1997-99―severe disease in children with no underlying medical problems
そのMRSAはどんなMRSA?他とどうちがうの?なぜ広がっているの?を知るために遺伝子型で退く別を試みます。方法は大きくわけて3つ。
MLST、PFGE、Spa typing。これらは、いつどのような目的で使えばいいのか、です。そこでの結果を同解釈するのか?も重要。
それぞれ名前が別でややこしいのですが、ライリー先生の資料の表がたいへんわかりやすくてたすかりました。
そして、元の疑問にたちかえってみます。
「USA300 or ST8 CA-MRSA cloneはなぜ(どうやって)感染拡大したのだろうか?」
現状:
◆米国でもっともコモンなCA-MRSA。現在医療機関でも拡大。
◆最初の報告は、ペンシルバニア州の大学フットボールチーム、ミシシッピおよびロサンジェルスの刑務所 (Tenover FC, Goering RV, J AAC, 2009)
◆感染力の強さはarginine catabolic mobile element (ACME)に関連 (Diep BA et al JID, 2008)
◆薬剤耐性に関連するのはtype IV SCCmec なければ、感受性であることが多い。
◆プラスミドによる耐性獲得 resistance to β-lactams, fluoroquinolones, tetracycline, macrolide, clindamycin, and mupirocin (San Francisco, Chicago, New York)(McDougal LK et al, AAC. 2010; Diep BA et al. Ann Intern Med 2008)
「ST8 clonenの世界的な広がり ( 2012年現在)」
SCCmecIV: Abu Dhabi, Argentina, Australia, Austria, Belgium, Brazil, Bulgaria, Cameroon, Canada, Canary Islands, China, Colombia, Costa Rica, Cuba, Czech Republic, Denmark, Ecuador, Finland, France, French Polynesia, Gabon,Germany, Greece, Hong Kong, Iceland, India, Iraq, Ireland, Israel, Italy, Japan, Madagascar, Mexico,Netherlands, New Zealand, Nigeria, Norway, Pakistan, Peru, Poland, Portugal, Romania, Russia, Samoa,South Korea, Spain, Sweden, Switzerland, Trinidad & Tobago, United Kingdom, United States, Uruguay, Venezuela
SCCmecV:Germany, Nigeria
SCCmecVI: Portugal
ヒトヒト感染だとしたら、なぜこんなに広がっているのか? ヒトからなのか? ヒトからじゃないとしたらどうやって同じタイプの菌がひろがっているのか?
まだ議論が続いています。
参考;下記は無料アクセスできる論文です
The role of virulence determinants in community-associated MRSA pathogenesis.
Trends Microbiol. 2008 Aug;16(8):361-9.
まず、「日本人」になじみのあるMRSAから。
なんのことだかさっぱり・・・な方のために日本語の関連資料を紹介しておきます。
「市中感染型 MRSA の遺伝子構造と診断(最新の知見)」感染症学会誌 総説 平成16年 6 月20日
「MLSTなどによるMRSAの分子疫学」
日本臨床微生物学雑誌 総説 17:3, 2007年
「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:ヨーロッパにおける疾病負担と対策の課題」Euro Surveill. 2010; 15(41)
ライリー先生は冒頭で次のような問いを提示しました。
Why do some strains of SA cause disease while others do not?
なぜ、特定のSAはヒトを病気にし、他のSAはしないのか
Why do some strains of SA cause epidemics while others do not?
なぜ、いくつかのSAは流行をするのに、他のものはしないのか
薬剤耐性だから? それ以外の生物学的な因子があるから? それ以外の理由があるから?
◆MRSA全体像
MRSAのプレバレンスは0.6%(オランダ)〜60%(日本)と国による違いが大きい
SA感染が原因で死ぬヒトはHIV/AIDSで死ぬヒトよりも数が多い。
院内ではなく市中感染のMRSAが広がりだしたのは1990年代
◆MRSAの歴史
Chambers and DeLeo, Nat Rev Med, 2009より
第一の波;1940-60年代
Plasmid-encoded penicillinase; became pandemic by the mid 1950s to 1960s; mostly caused by phage-type 80/81 S. aureus.
第二の波:1960年代
Methicillin resistance reported in 1961 from UK; resistance encoded by mecA (encodes penicillin binding protein, PBP 2a―low affinity to PCN); mostly caused by COL, mostly limited to Europe.
第三の波:1970-80年代
Iberian and other clones―spread to the US and the globe in hospitals and health care settings; epidemic evolving with emergence of VISA and VRSA.
第四の波:1990年代
CA-MRSA--earliest cases reported from Australia among the indigenous populations; US: 1997-99―severe disease in children with no underlying medical problems
そのMRSAはどんなMRSA?他とどうちがうの?なぜ広がっているの?を知るために遺伝子型で退く別を試みます。方法は大きくわけて3つ。
MLST、PFGE、Spa typing。これらは、いつどのような目的で使えばいいのか、です。そこでの結果を同解釈するのか?も重要。
それぞれ名前が別でややこしいのですが、ライリー先生の資料の表がたいへんわかりやすくてたすかりました。
そして、元の疑問にたちかえってみます。
「USA300 or ST8 CA-MRSA cloneはなぜ(どうやって)感染拡大したのだろうか?」
現状:
◆米国でもっともコモンなCA-MRSA。現在医療機関でも拡大。
◆最初の報告は、ペンシルバニア州の大学フットボールチーム、ミシシッピおよびロサンジェルスの刑務所 (Tenover FC, Goering RV, J AAC, 2009)
◆感染力の強さはarginine catabolic mobile element (ACME)に関連 (Diep BA et al JID, 2008)
◆薬剤耐性に関連するのはtype IV SCCmec なければ、感受性であることが多い。
◆プラスミドによる耐性獲得 resistance to β-lactams, fluoroquinolones, tetracycline, macrolide, clindamycin, and mupirocin (San Francisco, Chicago, New York)(McDougal LK et al, AAC. 2010; Diep BA et al. Ann Intern Med 2008)
「ST8 clonenの世界的な広がり ( 2012年現在)」
SCCmecIV: Abu Dhabi, Argentina, Australia, Austria, Belgium, Brazil, Bulgaria, Cameroon, Canada, Canary Islands, China, Colombia, Costa Rica, Cuba, Czech Republic, Denmark, Ecuador, Finland, France, French Polynesia, Gabon,Germany, Greece, Hong Kong, Iceland, India, Iraq, Ireland, Israel, Italy, Japan, Madagascar, Mexico,Netherlands, New Zealand, Nigeria, Norway, Pakistan, Peru, Poland, Portugal, Romania, Russia, Samoa,South Korea, Spain, Sweden, Switzerland, Trinidad & Tobago, United Kingdom, United States, Uruguay, Venezuela
SCCmecV:Germany, Nigeria
SCCmecVI: Portugal
ヒトヒト感染だとしたら、なぜこんなに広がっているのか? ヒトからなのか? ヒトからじゃないとしたらどうやって同じタイプの菌がひろがっているのか?
まだ議論が続いています。
参考;下記は無料アクセスできる論文です
The role of virulence determinants in community-associated MRSA pathogenesis.
Trends Microbiol. 2008 Aug;16(8):361-9.