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Channel: 感染症診療の原則
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研究者としての資質

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編集長、ICAACのDVD速報(遅すぎる!!)第二弾。

ICAAC lectureから。Lawrence Corey先生でした。Fred Hutchinson Cancer Research Centerのボス。

ひょんなことから毎年、同じ会場でお食事などさせて頂いておりましたが、何となく怖い感じがしてあまり話しかけたりしませんでした。しかし、今回、ICAAC Lecture(Opening Keynote Session)をされた・・という事で懐かしく彼の様子をDVDで拝見した次第。その内容たるや、「やはり名だたる研究所のボスだけあるな・・」といったものでした。

HSVの基礎的な知見から(何回もNEJMに出ている)Acyclovirを使用した臨床的な研究。その長い研究生活から得られた知見のまとめでした。沢山話されたのですが印象深かった点をひとつ。

Acyclovirを投与するとCoupleで感染している側のウイルスSheddingは著しくへる。勿論、Partnerへの感染も減る。ここまでは編集長も「なるほどそうでしょう」的反応です。凄いな・・と思ったのはその先です。

Sheddingの低下の勾配とPartnerを感染させる勾配。どちらも右肩下がりなのですが、その勾配が違うのです。編集長ならば???ですが、Corey先生はここに注目。やがて、Acyclovirを投与してもSheddingのBurstを完全に抑えられない。SubclinicalなBurstが日に何度も起きていて、これがウイルス量の低下勾配とPartnerを感染させる勾配の差を生み出していると突き止めるのです。何年もかけて・・。

この着眼点、執拗に臨床経過を追い続ける執念、そして基礎から疫学まで広い範囲の弟子群を抱える大ボスの経済力。

改めて「研究者の資質とは・・」と考えさせられた事でした。

(写真:京都でご馳走になった・・中身忘れました。美味でしたけど・・)

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