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Channel: 感染症診療の原則
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世界エイズデー 啓発シーズンになりました

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12月1日は世界エイズデー。

11―12月はエイズ関連の催し物が各地で行われると思います。検査啓発強化で夜間や土日の検査、即日検査などもおこなわれます。

万人におススメするような検査ではないですが、「過去にコンドームを使わない性交渉があった」、「他人の血液に触るようなことがあった(流血の殴り合いなども含む)」、「感染管理が疑わしい地域・施設で医療行為を受けた」などのリスク因子を検討して、必要がある方は無料検査の活用もおすすめです。

医療機関の場合は5千円前後で検査可能です。

青木編集長が外来を担当している、新宿東口クリニック(紀伊国屋書店のとなりのカワセビル7階)では慣れた医師とスタッフがサクサク検査をすすめてくれます。
お得なブライダル検査(男性ももちろんOK)もあります。

結果が陽性の場合でも、提携病院である東京医大など診療経験豊富な専門病院(その他も紹介可能)がありますので、どうぞご心配なく。


ネットでHIV検査関連記事をみつけました。
タイトルはちょっと、、、、ですけどれも、報告の少ない「女性の事例」の話です。

実際の事例かどうかは定かではありませんが、補足を加えながら読んでみたいとおもいます。

「もしも、HIVに感染していると言われたら・・・あなたはどうしますか?」

とりあえず、「エイズ診療拠点病院」を受診して、現在の体調と今後の治療計画を考えます。

HIV感染症は日本では少ないために、症例対応に慣れている施設に患者さんが集まる傾向にあります。
もっとも、家の近くの病院のほうがいいな、という方もいれば、なるべく知っている人がいないほうがいいと考える方もいますので、県境を超えて通院する人もいます。
どの病院に行っても大丈夫ですし途中で変更もできます(データは自分でも管理しておいたほうがいいです)。


ここ最近、体調を崩して通院していました。
原因となるウィルスがなかなか見つからず、何パターンかの検査をしたところ、HIV抗体が陽性だったと言われました。

以前は、プライマリの医師がリスク因子にもとづいてオーダーすると、保険の審査で切られてしまうことがありました。
が、最近、記載が変更になり、性感染症の疑いや既往がある場合には、保険で切られないように書き換えられましたので、性感染症リスクを問診時に確認できれば検査を躊躇なく出せるようになりました。

性感染症の既往や現在の疑いがなくても、免疫低下等を示すような兆候があれば医師は検査オーダーをします。その場合もHIVだけを疑うということは通常なく、複数の検査と一緒に行われます。

その病院ではHIVの詳しい検査は出来ず、ウィルスがどのくらいあるか、血液を専門機関に送って検査依頼をしたらしいです。
検査結果が出るまで、1週間かかるので、まだ結果待ちの状態です。

「詳しい検査」とは、スクリーニング検査の後に行う確認検査です。
スクリーニング検査だけでは判断できません。女性(妊娠経験がある)、自己免疫疾患、肝障害があるような方がよく偽陽性になります。このためスクリーニング検査の結果だけを「まだ不確かだけど」という形でお知らせしないのが望ましいとされています。

だって心配になりますよね。今は陽性だけど本当や陰性かもって言われても・・・。

「専門機関」ではなく、民間の検査会社(SRLなど)で普通に検査できます。通常は1週間はかかりません。
PCR法でウイルスそのものをみる、WB法で確認をする、です。
感染から間もない「急性感染」の時期だとWBは陰性のままのことが多く、PCRは(通常)高い値が出ます。ウイルス血症の時期だからですね。他のウイルス感染症と理屈は一緒。

保健所で古いシステムでやっているところは、保健所で採血をして、地方衛生研究所に回して結果を文書で回収して、、、というやり方をしたりするので結果返しが1週間後のところもあります。


先生に、「感染してる可能性があるだけで確定ではないんですね?と尋ねると、「・・・可能性はかなり高いと思います」と。

よほどHIV感染症をうたがうような(ニューモシスチス肺炎とか・・・)症例でもないかぎり、このような説明は危険です。
(アフリカ等とはちがい、日本では女性はほとんど感染しておらず、もともと低リスク層であり、このため陽性的中率が低いからです。

この意味がよくわからない方はこちらの記事参照 統計の魔法にご用心(毎日新聞10月30日)


私は3年前に娘を出産し、その時の検査では陰性でした。
娘が1才の時に離婚し、今は2人暮らしです。
数ヶ月前に離婚して初めての彼ができ、毎回ゴムをつけていましたが、
普通にオーラルセックスもしていました。


この時点で、お子さんは「陰性」だとわかります。お子さんの検査は不要。

この文章をそのまま読むと「オーラルセックスでも感染するの?」と不安になる方がいるかもしれません。リスクはゼロではないですが、オーラルセックスだけで感染したというような事例は稀です。

条件としては、感染者側のウイルス量がとても多く、口の中に傷がある(抜歯直後、大きな潰瘍がある、歯茎から常に出血がある)ような場合を考えます。

もっとも、HIV以外のクラミジアや淋菌、ヘルペス、梅毒、HPVなどはHIVよりもオーラルセックスでもっとうつりやすいので、「やばい!生でフェラしちゃったよ!」と感染のリスクが心配になった人は、「HIVだけ」不安にならずに、他の検査もご検討ください。

じゃあこの人は稀な感染なの? ですが、わかりません。性行為は通常シンプルな単発の動作だけでなく「いろいろ皮膚や粘膜や体液接触があるから」です。また個別性が高く、想像している人と行動している人は必ずしも同じような性行為をしているわけではなく、しかも自分が常識の中心にあるので、思いもよらないリスクについてはノーマークになります。

この場合は、「毎回ゴムをつけていた」については確認が必要です。
自分たちは使っているつもりでも、間違った使い方の人たちがいるからです。
一番の間違った使い方は「途中でつける」です。最初にコンドームをしない性器挿入があって、そのあと射精の前に着けるのでは性感染症対策上も、避妊としても効果が期待できません。

しかし、それは他の感染症の話であり、射精していないところでHIVが接触だけで感染するか?
とてもとても稀だと思います。

性交渉は彼とだけ、輸血献血もしていません。
感染経路が他に考えられず、彼にも医者から言われたことを告げました。

パートナーに伝えて検査を受けてもらうことはとても大事です。

感染症発生動向調査上は、感染経路不明群は一定数います。
鍼や歯科受診、ケンカや介護で他人の血液を触っていないかということも聞きます。

大人同士なら、先に検査を受ける(それまでの人生に何かいろいろあってもお互い様の年齢)ということもいいアイデアだとおもいます。カップルで同時検査の割引をするクリニックもあります。

彼はもちろん心当たりはなく、ショックを受けていました・・・。不特定多数との経験はなく、経験人数も少ないし、
風俗も過去に数回行ったことがあるだけです。彼には明日、検査を受けてきてもらいます。

不特定はあまり関係なく、コンドームの使用状況が重要です。
女性に伝えられる男性のヒストリーが完全に正確という保証はありませんので、
医師は別室で女性のいないところでもう少しリスクを検討することになります。


検査結果が出ました・・・やはり陽性だそうです。
覚悟していたせいか。最初ほどショックではありません。
昔ほど怖い病気ではない、とも聞きますし、なーなさんが書いて下さったような、医学の進歩を祈ります。

検査前に、検査結果が陰性の場合と陽性の場合の説明をしておくことが重要です。
医学の進歩。
現在の治療ではウイルスは一度感染したら体内から消せませんので、継続的な内服治療が必要です。

最近は、HIV感染症そのもので健康や生命を危うくする人は減り、HIVとは関係ない「がん」や、「早期老化」がすすみますので、高齢者で問題になるような慢性疾患が、より若い年齢で要管理状態になるかもしれません。

多くの方は治療を継続しながらそれまでの生活や人生を維持しています。
安心して治療ができるようご支援よろしくお願いします。

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