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Channel: 感染症診療の原則
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お弁当 配っちゃだめ、な場合

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びっくりするニュースが。

埼玉県で大規模な食中毒。

というか、ニュースで書いてあることしかわからないのですが、
なぜお弁当を配っちゃったんでしょう。このような状況で、配るのはとても危険です。

なぜか。

まず、受け取ったあとに、何時に食べるかわからない。どのように保管されるかもわからない。

先日、IDATENで企画された、浜松医療センターの矢野先生の講演を聴いたひとならわかるとおもいますが、、、
このようなお弁当は作ってから何時間以内に食べるべきか?ということがまずひとつあります。
(矢野先生は「2時間以内」を死守するために、外来や仕事の途中でも一度そのミッションを果たしてからもどってきて仕事を再開するそうです!)
それは、販売直前までには温度管理が行われているという前提でです。

600食以上をつくるとなると、その工程や作業時間も長くなります。
とりにきてもらったのか、配って歩いたのかはよくわかりませんが、配ってあるくとなると、温度管理や時間がさらに問題になります。

配布したお弁当の数はわかっています。
「食べた人」が分母になり、体調が悪化したひとが分子。
そして、お弁当とは関係なく体調不良の人もまぎれこみますので、消化器症状など、食中毒がうたがわれるひとを厳密には悪します。

原因がなんであるかは、食べてから発症までの時間であたりがつきます。

早い場合、一番最初にうたがわれるのは「毒素型」。
参考:神戸大学保健管理センター
食べて直後だと、何かケミカルなものなども検討されます。


(体調を崩された方が早く回復されますように・・・)

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埼玉・深谷で253人が集団食中毒 10月8日 産経新聞

埼玉県は8日、同県深谷市内の自治会で発注した弁当を食べた3〜89歳の男女253人が腹痛や下痢などの症状を訴えたと発表した。

原因菌は判明していないが、県は集団食中毒と断定、弁当を作った業者「中林商店」(同市)を食品衛生法に基づき3日間の営業停止処分とした。患者のうち女性1人が腹痛で意識を失い、後に急性心不全で死亡したが、その他は全員軽症で、ほぼ完治しているという。

県によると、弁当は9月30日に同市大(おお)寄(より)地区で予定されていた自治会主催の運動会で提供するために作られたが、雨天で延期になり、同日昼に弁当645人分が家庭に配られた。食べた住民のうち、8日午後3時までに253人が発症。うち89歳の女性がその後に腹痛で意識を失い入院、病状が悪化し、10月1日未明に死亡したという。

弁当の中身はサケとコンブのおにぎり、ウインナーなど。
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先日も関連ニュースがありました。
やはり救援物資のおにぎりが原因 京都・宇治の食中毒(8月19日 産経新聞)

山形県の事例から学ぶ食中毒

ちなみに、、、、
上で紹介した矢野先生の「早弁」についての話は下記の本に。
iPad用のデジタルにもなっているそうです。
そちらをダウンロードもおすすめ。

IDATENでは、CDCガイドラインを生活や職場に取り入れるとどうなるか、、、というお話でした。
大腸菌が気になるプールでは泳げない、などMyルールなど、興味深かったです。

ねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書メディカ出版
もっとねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書2メディカ出版

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