感染症の疫学の基礎コースの最初のほうで、数字の解釈について学びます(確認します)。
たとえば、感染症のデータは、
■報告の基準はどうなのか(どのような事例を報告するのかを明確にした「症例定義」)
下痢でも1日何回とか、どのような下痢とか、記載が入ってきます。
複数の症状があること、と規定されることもあります。
ここを広くすると「症例数」は増えます。厳しくせばめると減ります。
対策や目的によって変わってきます。
■そもそも、いつからいつまで集めた数なのか(期間での推定)
途中で、検査が新しくなったり、報告基準が変わったりしていないか確認が必要です。
また、感染症によって、感染から発症までの時間が異なるために、今見ている数字がフレッシュな感染なのか、経過の長い病気の結果のある部分を見ているのか注意が必要です。
■その検査の感度や特異度は?
検査の特徴や「限界」を知っておくことは重要。見落とし、あるいは過剰になるリスク。
■報告コンプライアンスは?医師はその報告をすることを知っているのか、報告をしているのか
例えば、感染症法上2類の結核。制度利用に関わる結核の報告率は高いといわれています。
しかし、5類のHIV感染症は80%程度といわれています(調査結果があります)。
はたして、同じ5類の梅毒はHIVの半数程度となっています。日本は梅毒よりHIVが多い国なのでしょうか?
■人的な影響を受けていないか?
例えば、ある病院・地域で突然心内膜炎が増えました。何か悪いことでもおきているんでしょうか?いいえ。たいていの場合は心内膜炎を上手に診断する医師が着任した、といった影響があります。
ある病院の産婦人科が医師不足のために閉鎖となりましたじました。その病院は基幹定点病院であったため、その地域のデータとして、突然女性の性感染症が減りました・・・というようなことがあります。
■メディアの影響を受けていないか?
朝のワイドショーでとりあげたために患者の受診や自覚症状の訴えが増えていないか?
■制度上の影響を受けてていないか?
新しい検査が認可された、適用が拡大されて検査する医師が増えた、報告制度がかわった、等。
■イベントの影響はないか?
ある月に、ある地域だけ急にHIVや梅毒、B型肝炎の報告が急増。
検査イベントなどが行われていなかったのか?確認が必要。
さらに・・・
■分母と分子は何なのか?
例えば、HIV感染症の日本での影響をみるときに、
分子は・・・
「自発的に検査を受けて陽性と分かった人」
「医師が症状などから検査の必要性を判断して検査を受け、陽性と分かった人」
「手術前の検査や献血などで偶然判明した人」
で、医師が報告した症例数が入ります。
その特徴として、
日本は報告される新規症例の9割が男性です。
20-40代がボリュームゾーンです。
東京が全体の3分の1です。
で、問題は分母です。
例えば分母に日本の人口を入れてしまっていいでしょうか?
高齢者や子どもはどうでしょうか。
報告される9割が男性ですが、分母に女性を入れてもよいでしょうか?
リスク層が明確な場合は、そのグループ別のリスクを比較することが重要になります。
たとえば、米国の2006-2009年のHIV/AIDSデータをみると、、、、
人口では全体の2%しかいないMSMが、リスク層としてはもっとも大きなカテゴリーで、新規感染でみると、2006年の56%、2007年の58%、2009年の61%がMSMとなっています。
MSMが他のカテゴリーに比べてたくさん感染しているからでしょうか?
MSMが他のカテゴリーの人たちよりリスク認知が高くHIV検査を積極的に受けているからでしょうか?
人種による差が大きいことがわかっていますので、人種別で「10万人あたり」でみますと、
男性 Black 103.9 女性Black 39.7
Hispanic 39.9 Hispanic 11.8
White 15.9 White 2.6
2010年の日本のデータのうち、都道府県別に10万人あたりでみると東京で10万人あたり3。
分母分子を男性にしたり、若年層で見たらもっとリアルな数字が出ると思います。
男性と性交をする男性は、イコール同性愛と自己認知している人とは100%かさなるわけではないのですが(その認知をしている人よりは行為として男性と、を容認している人が多い)。
日本には第二世代サーベイがないのでいまいちよくわかっていません。
早期治療開始による予防、事前投与(外国での話です)というような流れもあるので、予防の話も再度Updateされた情報を便巨せねば、と思います。
同性愛の謎―なぜクラスに一人いるのか (文春新書)文藝春秋
たとえば、感染症のデータは、
■報告の基準はどうなのか(どのような事例を報告するのかを明確にした「症例定義」)
下痢でも1日何回とか、どのような下痢とか、記載が入ってきます。
複数の症状があること、と規定されることもあります。
ここを広くすると「症例数」は増えます。厳しくせばめると減ります。
対策や目的によって変わってきます。
■そもそも、いつからいつまで集めた数なのか(期間での推定)
途中で、検査が新しくなったり、報告基準が変わったりしていないか確認が必要です。
また、感染症によって、感染から発症までの時間が異なるために、今見ている数字がフレッシュな感染なのか、経過の長い病気の結果のある部分を見ているのか注意が必要です。
■その検査の感度や特異度は?
検査の特徴や「限界」を知っておくことは重要。見落とし、あるいは過剰になるリスク。
■報告コンプライアンスは?医師はその報告をすることを知っているのか、報告をしているのか
例えば、感染症法上2類の結核。制度利用に関わる結核の報告率は高いといわれています。
しかし、5類のHIV感染症は80%程度といわれています(調査結果があります)。
はたして、同じ5類の梅毒はHIVの半数程度となっています。日本は梅毒よりHIVが多い国なのでしょうか?
■人的な影響を受けていないか?
例えば、ある病院・地域で突然心内膜炎が増えました。何か悪いことでもおきているんでしょうか?いいえ。たいていの場合は心内膜炎を上手に診断する医師が着任した、といった影響があります。
ある病院の産婦人科が医師不足のために閉鎖となりましたじました。その病院は基幹定点病院であったため、その地域のデータとして、突然女性の性感染症が減りました・・・というようなことがあります。
■メディアの影響を受けていないか?
朝のワイドショーでとりあげたために患者の受診や自覚症状の訴えが増えていないか?
■制度上の影響を受けてていないか?
新しい検査が認可された、適用が拡大されて検査する医師が増えた、報告制度がかわった、等。
■イベントの影響はないか?
ある月に、ある地域だけ急にHIVや梅毒、B型肝炎の報告が急増。
検査イベントなどが行われていなかったのか?確認が必要。
さらに・・・
■分母と分子は何なのか?
例えば、HIV感染症の日本での影響をみるときに、
分子は・・・
「自発的に検査を受けて陽性と分かった人」
「医師が症状などから検査の必要性を判断して検査を受け、陽性と分かった人」
「手術前の検査や献血などで偶然判明した人」
で、医師が報告した症例数が入ります。
その特徴として、
日本は報告される新規症例の9割が男性です。
20-40代がボリュームゾーンです。
東京が全体の3分の1です。
で、問題は分母です。
例えば分母に日本の人口を入れてしまっていいでしょうか?
高齢者や子どもはどうでしょうか。
報告される9割が男性ですが、分母に女性を入れてもよいでしょうか?
リスク層が明確な場合は、そのグループ別のリスクを比較することが重要になります。
たとえば、米国の2006-2009年のHIV/AIDSデータをみると、、、、
人口では全体の2%しかいないMSMが、リスク層としてはもっとも大きなカテゴリーで、新規感染でみると、2006年の56%、2007年の58%、2009年の61%がMSMとなっています。
MSMが他のカテゴリーに比べてたくさん感染しているからでしょうか?
MSMが他のカテゴリーの人たちよりリスク認知が高くHIV検査を積極的に受けているからでしょうか?
人種による差が大きいことがわかっていますので、人種別で「10万人あたり」でみますと、
男性 Black 103.9 女性Black 39.7
Hispanic 39.9 Hispanic 11.8
White 15.9 White 2.6
2010年の日本のデータのうち、都道府県別に10万人あたりでみると東京で10万人あたり3。
分母分子を男性にしたり、若年層で見たらもっとリアルな数字が出ると思います。
男性と性交をする男性は、イコール同性愛と自己認知している人とは100%かさなるわけではないのですが(その認知をしている人よりは行為として男性と、を容認している人が多い)。
日本には第二世代サーベイがないのでいまいちよくわかっていません。
早期治療開始による予防、事前投与(外国での話です)というような流れもあるので、予防の話も再度Updateされた情報を便巨せねば、と思います。
同性愛の謎―なぜクラスに一人いるのか (文春新書)文藝春秋