8月3日に厚労省のHPに「平成23年度肝炎検査受検状況実態把握事業事業成果報告書等について」が掲載されました。
(参考)
20 〜79 歳までの日本人 74,000 人を対象。このほか、保険者、自治体を対象に調査。回収率は国民が32.1%、保険者調査は64.9%、自治体は74.6%。
91ページ前後をみていきますと、検査じたいは「受けてみたい」人が7割近くいます。
HIV検査と大きくちがうところですね。
「定期的に受けている健診メニュー」にあれば検査は増えるだろうということがわかります。
オプションで選択できるような働きかけは、わかりやすく表記するということは、最初にできることだとわかりますので、この結果を踏まえてそういった改善案が出てくるのではないかと想像します(そうでないと、公費で委託してまで調べた意味ないですよね)
94ページは認知度です。8割の人がB型肝炎の名前は知っている状態。年齢差や地域差なし。
106ページは無料検査の認知度、
保健所などで行っている無料の肝炎検査は知らない人が9割。
インターフェロン治療への公費助成の認知まできいているのに、予防として重要なワクチンやコンドームの認知については質問項目さえない
(意図的ですか?関心がないの?忘れちゃっただけ?)
223ページには、肝炎検査がいつ保険適用になったか、導入されたか?の記載があります。
B型肝炎ウイルス検査(HBs抗原検査)
大きな外科手術 1981年6月 保険適用
妊娠・出産 1985年6月 妊婦HBs抗原検査に国庫補助開始
献血 1972年4月 献血に対する検査導入
C型肝炎ウイルス検査(HCV抗体検査)
大きな外科手術 1992年4月 保険適用
妊娠・出産 国庫補助なし1992年4月 保険適用
献血 1989年12月 献血に対する検査導入
268ページには検査を受けた場所の検討があります。
「肝炎以外が目的で受診した医療機関」が最も多くなっています。
医療者側からの検査勧奨が重要なのはHIVと同様。症状がない時期に早く気づいて治療のタイミングを逃さないということも大事。
HIV感染症では、保健所からの届け出が3割ありますので、少なくとも3割以上は保健所で無料検査をうけて診断されているのだな、とその予算投資の意義などもわかるのですが、肝炎は、感染者がHIVより断然多いのに活用されていないとみるべきですかね・・。
このような調査も、裁判関係からの一連の動きのひとつなわけですが、基本的な国の対策について法律もできました。
「肝炎対策基本法」
法律、、ですから国民や専門職の仕事の基盤となる内容を確認しておく必要があります。予算や施策の根拠になります。提案するときは、ぜひ「〇条に書いてある」ということを添えてください。
肝炎は、日本ではB型、C型含めてたくさんの感染者が存在し、今もってon goingでの感染拡大リスクも存在します。
1次予防からスタンダードな治療の提供まで、保健医療に関わる人たちの役割は大きいですが、以前から本ブログ記事で話題にしてきましたB型肝炎なども、乳幼児でのワクチン接種の公費補助が始まった自治体もあります。
各地で、はたらきかけをしたのは健康を守る最善線の医療者です。
医療者がまったく動いていない地域と、熱心に動いている地域ではまずスタート地点が異なります。
医療者が働きかけをしているけれど、まだ課題があって決まるにいたっていない、という地域もあります。
(もちろん、誰かがやるんじゃね?と皆が思っている場合はその地域には風はふきません)
国会が開店休業になってしまったので、定期接種化の話はどこにいったの?状態ではありますが、不活化ポリ同様に、自治体の動きが先行するみたいですね。
佐賀県の保育園でのアウトブレイクのような事例が大々的に報道されるようなじたいになれば、また、場当たり的に対応はかわてちくのかもしれません。
そのような事態になると、「どうしてリスクを放置したのだ」という大声でのバッシングも(それまで別にこの問題に関心を寄せてなかった人まで、ここぞとばかりに加わって)行われるでしょう。
実際にそのような問題は現場でおきており、複数相談が寄せられています。
「誰か死なないと(被害者が複数出ないと)状況は改善されない」というような保健医療施策でいいのか。
リスクと改善案について最初に指摘ができるのは専門家ですので、皆さんも、ご自身の地域でできること等をご検討ください。
例えば、B型肝炎ワクチンの公費化を考えるときに、差別や偏見防止のためでもあり、また感染予防のためでもあるということは行政施策上「問題が起きる前に」取組課題として妥当です。
肝炎対策基本法を読んでみましょう。
まずは前文。大前提です。
"今日、我が国には、肝炎ウイルスに感染し、あるいは肝炎に罹り患した者が多数存在し、肝炎が国内最大の感染症となっている。
肝炎は、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変、肝がんといったより重篤な疾病に進行するおそれがあることから、これらの者にとって、将来への不安は計り知れないものがある。"
保健医療でとりくむ、優先的な「1次予防」ですが、
"第三章 基本的施策
第一節 肝炎の予防及び早期発見の推進
(肝炎の予防の推進)
第十一条 国及び地方公共団体は、肝炎の予防に関する啓発及び知識の普及その他の肝炎の予防の推進のために必要な施策を講ずるものとする。"
ワクチン公費化提案のときは、理由書にこの文章も加えておいてください。
"(肝炎検査の質の向上等)
第十二条 国及び地方公共団体は、肝炎の早期発見に資するよう、肝炎検査の方法等の検討、肝炎検査の事業評価の実施、肝炎検査に携わる医療従事者に対する研修の機会の確保その他の肝炎検査の質の向上等を図るために必要な施策を講ずるとともに、肝炎検査の受検率の向上に資するよう、肝炎検査に関する普及啓発その他必要な施策を講ずるものとする。"
このあと、エイズやがんの医療でもお約束の「均てん化」等について書かれています。
政策医療としてのエイズについては、分母が小さいので、地域にコアな医療機関があればなんとかなるわけですが、肝炎は患者数がとても多いですし、いまもって感染に気付いていない人の数もHIVとは比べ物にならない暗い大きいですから、
専門的な治療やケアを提供できる医療機関は各地にどれくらいあるのか気になります。
(参考)
20 〜79 歳までの日本人 74,000 人を対象。このほか、保険者、自治体を対象に調査。回収率は国民が32.1%、保険者調査は64.9%、自治体は74.6%。
91ページ前後をみていきますと、検査じたいは「受けてみたい」人が7割近くいます。
HIV検査と大きくちがうところですね。
「定期的に受けている健診メニュー」にあれば検査は増えるだろうということがわかります。
オプションで選択できるような働きかけは、わかりやすく表記するということは、最初にできることだとわかりますので、この結果を踏まえてそういった改善案が出てくるのではないかと想像します(そうでないと、公費で委託してまで調べた意味ないですよね)
94ページは認知度です。8割の人がB型肝炎の名前は知っている状態。年齢差や地域差なし。
106ページは無料検査の認知度、
保健所などで行っている無料の肝炎検査は知らない人が9割。
インターフェロン治療への公費助成の認知まできいているのに、予防として重要なワクチンやコンドームの認知については質問項目さえない
(意図的ですか?関心がないの?忘れちゃっただけ?)
223ページには、肝炎検査がいつ保険適用になったか、導入されたか?の記載があります。
B型肝炎ウイルス検査(HBs抗原検査)
大きな外科手術 1981年6月 保険適用
妊娠・出産 1985年6月 妊婦HBs抗原検査に国庫補助開始
献血 1972年4月 献血に対する検査導入
C型肝炎ウイルス検査(HCV抗体検査)
大きな外科手術 1992年4月 保険適用
妊娠・出産 国庫補助なし1992年4月 保険適用
献血 1989年12月 献血に対する検査導入
268ページには検査を受けた場所の検討があります。
「肝炎以外が目的で受診した医療機関」が最も多くなっています。
医療者側からの検査勧奨が重要なのはHIVと同様。症状がない時期に早く気づいて治療のタイミングを逃さないということも大事。
HIV感染症では、保健所からの届け出が3割ありますので、少なくとも3割以上は保健所で無料検査をうけて診断されているのだな、とその予算投資の意義などもわかるのですが、肝炎は、感染者がHIVより断然多いのに活用されていないとみるべきですかね・・。
このような調査も、裁判関係からの一連の動きのひとつなわけですが、基本的な国の対策について法律もできました。
「肝炎対策基本法」
法律、、ですから国民や専門職の仕事の基盤となる内容を確認しておく必要があります。予算や施策の根拠になります。提案するときは、ぜひ「〇条に書いてある」ということを添えてください。
肝炎は、日本ではB型、C型含めてたくさんの感染者が存在し、今もってon goingでの感染拡大リスクも存在します。
1次予防からスタンダードな治療の提供まで、保健医療に関わる人たちの役割は大きいですが、以前から本ブログ記事で話題にしてきましたB型肝炎なども、乳幼児でのワクチン接種の公費補助が始まった自治体もあります。
各地で、はたらきかけをしたのは健康を守る最善線の医療者です。
医療者がまったく動いていない地域と、熱心に動いている地域ではまずスタート地点が異なります。
医療者が働きかけをしているけれど、まだ課題があって決まるにいたっていない、という地域もあります。
(もちろん、誰かがやるんじゃね?と皆が思っている場合はその地域には風はふきません)
国会が開店休業になってしまったので、定期接種化の話はどこにいったの?状態ではありますが、不活化ポリ同様に、自治体の動きが先行するみたいですね。
佐賀県の保育園でのアウトブレイクのような事例が大々的に報道されるようなじたいになれば、また、場当たり的に対応はかわてちくのかもしれません。
そのような事態になると、「どうしてリスクを放置したのだ」という大声でのバッシングも(それまで別にこの問題に関心を寄せてなかった人まで、ここぞとばかりに加わって)行われるでしょう。
実際にそのような問題は現場でおきており、複数相談が寄せられています。
「誰か死なないと(被害者が複数出ないと)状況は改善されない」というような保健医療施策でいいのか。
リスクと改善案について最初に指摘ができるのは専門家ですので、皆さんも、ご自身の地域でできること等をご検討ください。
例えば、B型肝炎ワクチンの公費化を考えるときに、差別や偏見防止のためでもあり、また感染予防のためでもあるということは行政施策上「問題が起きる前に」取組課題として妥当です。
肝炎対策基本法を読んでみましょう。
まずは前文。大前提です。
"今日、我が国には、肝炎ウイルスに感染し、あるいは肝炎に罹り患した者が多数存在し、肝炎が国内最大の感染症となっている。
肝炎は、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変、肝がんといったより重篤な疾病に進行するおそれがあることから、これらの者にとって、将来への不安は計り知れないものがある。"
保健医療でとりくむ、優先的な「1次予防」ですが、
"第三章 基本的施策
第一節 肝炎の予防及び早期発見の推進
(肝炎の予防の推進)
第十一条 国及び地方公共団体は、肝炎の予防に関する啓発及び知識の普及その他の肝炎の予防の推進のために必要な施策を講ずるものとする。"
ワクチン公費化提案のときは、理由書にこの文章も加えておいてください。
"(肝炎検査の質の向上等)
第十二条 国及び地方公共団体は、肝炎の早期発見に資するよう、肝炎検査の方法等の検討、肝炎検査の事業評価の実施、肝炎検査に携わる医療従事者に対する研修の機会の確保その他の肝炎検査の質の向上等を図るために必要な施策を講ずるとともに、肝炎検査の受検率の向上に資するよう、肝炎検査に関する普及啓発その他必要な施策を講ずるものとする。"
このあと、エイズやがんの医療でもお約束の「均てん化」等について書かれています。
政策医療としてのエイズについては、分母が小さいので、地域にコアな医療機関があればなんとかなるわけですが、肝炎は患者数がとても多いですし、いまもって感染に気付いていない人の数もHIVとは比べ物にならない暗い大きいですから、
専門的な治療やケアを提供できる医療機関は各地にどれくらいあるのか気になります。