「帰国後の持続性下痢」が今朝のテーマでした。
ポイントは2点。
1)下痢が長引くほど、感染性ではない。
2)ならば原因は?
1)については2週間以上続くならば細菌性よりも原虫その他を考える。
ちなみに、本当に抗菌薬が必要な感染性下痢症に抗菌薬が効く時、4-6時間程度で患者が「実感する」らしいです。そして下痢の頻度は24時間程度で改善するらしい。
2)についてはPost infectious Irritable Bowel Syndrome (PI-IBS)が重要。
もちろん、潰瘍性大腸炎の発症でも良いのですが・・。
そこで、今日は特にPI-IBSについて。
実は赤痢やキャンピロといった激しい菌では10例に1例、サルモネラといった少しおとなしめでは100例に1例はPI-IBSになる・・という統計もあり、結構珍しくない病態なのですね・・。粘膜生検するとT8リンパ球が粘膜固有層に多い、Enterochromatin cell(EC)が多い、などの組織的な特徴が見られるそうです。
PI-IBSとは腸管の炎症性サイトカインを抑えられないという病態でHostや微生物の性質により頻度が異なるようです。
(写真は編集長がハワイ大学から授与された「ご苦労様」証書)