たまたま気づいたのですが、16時頃の共同通信の速報で、青梅市の病院で集団結核、、、というニュースがありました。
16:30の時点では、青梅市の報道発表にも、東京都の保健福祉局の報道発表にも関連情報がありません。
プレス発表が即流れたのか、まだ公表していないのに誰かがリークしたのかわかりませんが、過去にいくつかの事例で、まだ誰にも伝えていないのに報道された感染症関連事例などもあります。患者安全や患者情報保護じたいあやうい病院とか自治体もあるのかもしれません。(そんな病院のシステムや行政職員がいたら怖いですね)
共同通信の配信を受けて、たった一行だけ掲載した地方新聞もありました
「東京都青梅市の病院で患者と職員計68人が結核に集団感染、結核と誤嚥性肺炎で3人が死亡した。」
・・・よくわかりません。
速報扱いにする記事なのか疑問でありますが、「68人」にはインパクトが。
その後、東京都のプレス発表がHPに掲載されました。
入院患者(62名) 職員(53名) 計 (115名)
発病者(うち、死亡者) 7(3) 3(0) 10(3)
感染者 46 22 68
<感染拡大の主な要因>
■初発患者に病棟内の徘徊行為があり、痰や唾液を他人に浴びせる行為が散見された。また、入院患者の多くが日中を病棟ホールで過ごし、初発患者と長時間にわたり接触があった。
■入院患者は認知症で訴えが少なく、周囲が発病に気づきにくかった。
■入院患者の多くは糖尿病、呼吸器障害、嚥下障害などの基礎疾患があり免疫力が低下している状態だった。
-----------------------------------------------------------------------------
<経緯>
2012年2月1日に患者Aが肺結核と診断され、個室に移動。その後治療のため2月8日に転院(転院先で2月21日に誤嚥で死亡)
★翌日の2月2日に保健所が指導に入っています。
2月3日に患者Bが肺結核と診断され、2月10日に治療のため転院→4月11日に肺結核のため死亡。
3月3日に患者Cが誤嚥性肺炎で死亡(4月26日に、死亡時の喀痰培養で肺結核が判明)
(4月5日・6日に職員と入居者の接触者健診:対象44名→34名の感染が判明。のちに4名発病)
4月11日 患者Aと患者Bの菌が同じであることが判明。
(5月16日 接触者健診の対象拡大:68名→40名の感染が判明。のちに2名発病)
5月17日 院内で結核の研修
5月21日 患者Dが肺結核と判明。6月12日に治療のため転院。
5月31日 看護師(E)が肺結核、看護助手(F)が肺門リンパ節結核と判明
6月8日 精神二次救急、後方転送受入れの中止
6月14日 看護師(G)が肺結核と判明
6月18日 入院患者(H)が肺結核と判明、肺結核治療にて、6月26日転院。
6月28日 入院患者(I)、入院患者(J)が肺結核と判明。職員の職場DOTS開始。
7月9日【本日】 遺伝子検査で菌が一致。
--------------------------------------------------------------------------------------------
結核は感染症法上、2類の感染症で、保健所にすぐに届けます。氏名も住所も年齢も性別も合併症も記載があります。保健所は報告を受けたら接触者健診含めて対応を始めます。
報道発表の経過表をみれば、保健所指導のもとに病院はできる対応をしていたのだとわかります。
自覚症状を伝えることができない、感染予防行動も難しい、その他の日常生活支援で職員が濃厚接触が必要な現場で、職員や病院もたいへんだったろうと想像します。
他の同様の施設での再発防止につなげられることが、今回の保健所・病院の報告からでてきたら、皆で学ばせていただきましょう。
前のブログ記事 Once Infected, Always Infected
東京都の結核関連ページ 啓発資料から対策情報まで充実。
先進諸外国でも、高齢人口の増加→免疫の低下→集団生活などで高まる結核をはじめとする感染症のアウトブレイクのリスクに対して、急性期病院のような対応ができていないことが課題になっています。
長期療養施設とERや急性期病院のあいだを患者は移動するので、皆で取り組む必要があります。
保健所だけでなく、感染症の医師や感染管理看護師が地域でコンサルテーションを提供しているところもあります。
文献やアウトブレイク報告はたくさんあります。しかし、このような施設には必要な人手や専門家が不足。
SHEA/APIC Guideline: Infection prevention and control in the long-term care facility
Delay in diagnosis leading to nosocomial transmission of tuberculosis at a New York City health care facility
AJIC online 03 July 2012.
16:30の時点では、青梅市の報道発表にも、東京都の保健福祉局の報道発表にも関連情報がありません。
プレス発表が即流れたのか、まだ公表していないのに誰かがリークしたのかわかりませんが、過去にいくつかの事例で、まだ誰にも伝えていないのに報道された感染症関連事例などもあります。患者安全や患者情報保護じたいあやうい病院とか自治体もあるのかもしれません。(そんな病院のシステムや行政職員がいたら怖いですね)
共同通信の配信を受けて、たった一行だけ掲載した地方新聞もありました
「東京都青梅市の病院で患者と職員計68人が結核に集団感染、結核と誤嚥性肺炎で3人が死亡した。」
・・・よくわかりません。
速報扱いにする記事なのか疑問でありますが、「68人」にはインパクトが。
その後、東京都のプレス発表がHPに掲載されました。
入院患者(62名) 職員(53名) 計 (115名)
発病者(うち、死亡者) 7(3) 3(0) 10(3)
感染者 46 22 68
<感染拡大の主な要因>
■初発患者に病棟内の徘徊行為があり、痰や唾液を他人に浴びせる行為が散見された。また、入院患者の多くが日中を病棟ホールで過ごし、初発患者と長時間にわたり接触があった。
■入院患者は認知症で訴えが少なく、周囲が発病に気づきにくかった。
■入院患者の多くは糖尿病、呼吸器障害、嚥下障害などの基礎疾患があり免疫力が低下している状態だった。
-----------------------------------------------------------------------------
<経緯>
2012年2月1日に患者Aが肺結核と診断され、個室に移動。その後治療のため2月8日に転院(転院先で2月21日に誤嚥で死亡)
★翌日の2月2日に保健所が指導に入っています。
2月3日に患者Bが肺結核と診断され、2月10日に治療のため転院→4月11日に肺結核のため死亡。
3月3日に患者Cが誤嚥性肺炎で死亡(4月26日に、死亡時の喀痰培養で肺結核が判明)
(4月5日・6日に職員と入居者の接触者健診:対象44名→34名の感染が判明。のちに4名発病)
4月11日 患者Aと患者Bの菌が同じであることが判明。
(5月16日 接触者健診の対象拡大:68名→40名の感染が判明。のちに2名発病)
5月17日 院内で結核の研修
5月21日 患者Dが肺結核と判明。6月12日に治療のため転院。
5月31日 看護師(E)が肺結核、看護助手(F)が肺門リンパ節結核と判明
6月8日 精神二次救急、後方転送受入れの中止
6月14日 看護師(G)が肺結核と判明
6月18日 入院患者(H)が肺結核と判明、肺結核治療にて、6月26日転院。
6月28日 入院患者(I)、入院患者(J)が肺結核と判明。職員の職場DOTS開始。
7月9日【本日】 遺伝子検査で菌が一致。
--------------------------------------------------------------------------------------------
結核は感染症法上、2類の感染症で、保健所にすぐに届けます。氏名も住所も年齢も性別も合併症も記載があります。保健所は報告を受けたら接触者健診含めて対応を始めます。
報道発表の経過表をみれば、保健所指導のもとに病院はできる対応をしていたのだとわかります。
自覚症状を伝えることができない、感染予防行動も難しい、その他の日常生活支援で職員が濃厚接触が必要な現場で、職員や病院もたいへんだったろうと想像します。
他の同様の施設での再発防止につなげられることが、今回の保健所・病院の報告からでてきたら、皆で学ばせていただきましょう。
前のブログ記事 Once Infected, Always Infected
東京都の結核関連ページ 啓発資料から対策情報まで充実。
先進諸外国でも、高齢人口の増加→免疫の低下→集団生活などで高まる結核をはじめとする感染症のアウトブレイクのリスクに対して、急性期病院のような対応ができていないことが課題になっています。
長期療養施設とERや急性期病院のあいだを患者は移動するので、皆で取り組む必要があります。
保健所だけでなく、感染症の医師や感染管理看護師が地域でコンサルテーションを提供しているところもあります。
文献やアウトブレイク報告はたくさんあります。しかし、このような施設には必要な人手や専門家が不足。
SHEA/APIC Guideline: Infection prevention and control in the long-term care facility
Delay in diagnosis leading to nosocomial transmission of tuberculosis at a New York City health care facility
AJIC online 03 July 2012.