Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

「注意喚起」

$
0
0
MRワクチンの「R」はRubella風疹(三日ばしか、German measles)のRです。

多くの場合は風邪症状ですが、重症化する例もあり、また、最も注意が必要なのは妊娠初期の女性が感染しないようにすることです。

昨年度から30-50代男性でのアウトブレイクが問題になっていますが、今年もNHKはじめメディアに注意喚起の記事が並んでいます。

このようなときに「気を付けてね」では介入として不足がありますが、まず、このような情報が流れた背景に厚労省から通知がちゃんと出ている、ということは素晴らしいことなのであります。

なぜならば、この通知をもとにしか動かない人たちもいるからです。

いくら現場の臨床医が「これはたいへん!」「なんとかしなくちゃ」と思っても、自治体の人が「何それ」状態だと思い腰をあげてくれませんので。

(このあたり臨床と地域連携でさくさく動く自治体はうらやましいですね・・・)

今回は、2012年5月25日に厚生労働省結核感染症課から全国の都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部(局)あてに、「風しん患者の地域的な増加について」という事務連絡が出ました。

これは他の国でいうDepartment of Public HealthによるHealth Alertといえます。

1977年〜1994年までの14年間、女子中学生だけに風疹の定期接種をしており、2011年の感染症流行予測調査で30〜50代前半の男性の風疹ウイルス抗体保有率が80%程度と低いことが問題だと認識されていますので、「しらんかったよ〜」とはいえないんですけどね。

そして、本来は臨時で上記対象者や現在妊娠希望の女性への接種を無料で提供できたりするといいのですが〜。

「お金ないんです」といわれておわり(しょぼん)。

今後、こういった問題がおきたときにどこの予算で緊急接種ができるのか?危機管理体制として各自治体が考えておくことなのでは?と思いました。

先天性風疹症候群で困る人がでませんように(祈)。

麻疹疑い症例からの風疹ウイルス検出と遺伝子型解析−愛知県
(IASR Vol. 33 p. 167-168: 2012年6月号)

30代男性ですよ・・・

症例1:麻疹疑い37歳男性、2011年6月18日発病(38.8℃の発熱、結膜炎、紅斑、バラ疹)、22日検体採取(咽頭ぬぐい液、尿、全血)。ワクチン接種歴は麻疹無し、風疹は不明。発症前1カ月以内の海外渡航歴は無い。

症例2:麻疹疑い38歳男性、2012年1月23日発病(38℃台の発熱、発疹、コプリック斑)、26日検体採取(尿、全血)。麻疹および風疹ワクチン接種歴は不明。発症前1カ月以内の海外渡航歴は無い。

風疹・先天性風疹症候群 2011年8月現在
(Vol. 32 p. 250-252: 2011年9月号)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles