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Channel: 感染症診療の原則
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不活化ワクチン 秋までの祈りのカウントダウン

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秋に不活化ポリオ・・・のニュースの影響は、いろいろなところにおきているのですが、、

この春、集団のポリオ生ワクチンの案内が来ていたお子さんの保護者
1回目の生ポリオワクチンがおわったお子さんの保護者
いずれにしても秋までに接種するかも、、、だったお子さんの保護者

が、どうしたものかとお悩み中です。

これに四種混合(不活化ポリオ+これまでのDTP)が加わるとまた混乱しそうですが、、、

「秋に無料ならそれまで待とう!という」リスクを残す選択肢が一番問題で、
ならば集団接種も中止して、経口ポリオを飲んだため一定期間、お尻からウイルスが出続けるような子どもも減らさないと、免疫のある子とない子が混在することを避けるのが今できることではないかと思うのですが。

自費でも、最初の1回は不活化ポリオを選択しておくことが安全&確実を考える上で一番の選択です。


接種を延期したり、ワクチンなんてしなくても
「先進国だから、まあ、待っててもだいじょうぶだよ(たぶんきっと)」と思う人もいるみたいですが。


はたしてそうでしょうか。
自己責任での決意はさておき、他人にまで言える根拠はあるでしょうか。


2005年、ミネソタ州の、ワクチン接種を拒否する村でポリオ感染が確認され、大騒ぎになりました。
最悪の場合、呼吸ができなくなって死ぬ病気です。子どもがそのような病気で失われていくことは許し難いと科学者らがワクチン開発にとりくんできたわけです。

   「ワクチン未接種小児4例におけるポリオウイルス感染症−ミネソタ,2005年8月〜10月」
    MMWR54(41):1053−1055

オランダでも、プロテスタントのある宗派の多い村でポリオのアウトブレイクがおきています。
   CDR,2,?41,185,1992
このニュースをうけて、このグループと強いリンクのある居住地の人の便を調べたところ、同じウイルスがカナダ国内でも確認されました。
接種率が低い社会ではこのようなリスクが常に残ります。




これまで不活化ポリオワクチン導入のために働きかけてきた関係者は
「不活化導入まで、もう1人もワクチンで発症する子どもや2次感染がおきませんように!」と祈っています。


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国内のいち事例:
「ポリオワクチン接種後に発症した小児の急性弛緩性麻痺の1例−北海道」
(Vol. 29 p. 200-201: 2008年7月号)

厚生労働省(スライド6) 「ポリオの定期予防接種による健康被害認定状況(麻痺事例)」
厚生労働省:「ポリオ生ワクチン2次感染対策事業実施要綱」
厚生省:「ポリオワクチン接種後の健康障害報告への対応マニュアル」

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実際、生ワクチンで発症したかもしれない・・・とい事例を診断するのは難しく、保護者の気づき、診断にあたる医師の鑑別上の知識、便の検査結果など、さまざまな因子が影響します。
報告されているより多いのではないか(過小評価になっている)、という可能性は十分あります。


「セントジョーンズワートを探して」というブログに、医療者として、保護者として胸のつまる記事があります。

2010年7月7日の記事
まずは3つめの「2次感染の恐怖」をごらんください。


ブログ主さんは、ワクチンではなく野生株に感染して発症された方ですが、当時の医療の様子も紹介されています。
2010年6月10日の記事

青木編集長も、ポリオの会の方に直接お会いして、ポストポリオ症候群の症状の厳しさを学んだのですが、これまで、こどもたちのために早く不活化ワクチン導入を、とはたらきかけてきた中心の人たちは、ご自身が痛みや日々の生活の難儀さと闘いながら、でした。

杖をついたり車いすで移動しながら、署名をよびかけ、霞ヶ関をなんども往復されたわけです。

このブログでもなんども「病院探しを手伝ってくれる皆さん」として紹介させていただきましたが、、

ポリオの会代表、小山さんの対談記事(ロハスメディカル)
対談(上) 対談(中) 対談(下)

あなたの健康百科 2011年11月11日「不活化ポリオワクチン導入、なぜ今なのか」 などにも経緯が詳しく書かれています。医療者や保護者はその歴史とともに学びたいですね。

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