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Channel: 感染症診療の原則
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感染症医が着任すると心内膜炎が増加する理由

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京都市立病院感染症内科の山本舜悟先生の論文がcandinavian Journal of Infectious Diseasesの4月号に掲載されています。

Impact of infectious diseases service consultation on diagnosis of infective endocarditis
Scandinavian Journal of Infectious Diseases April 2012, Vol. 44, No. 4 , Pages 270-275

どんな内容かは山本先生のブログで日本語で紹介されていました(^^)。※着色とリンクはブログ編集部によるもの

「2004年に岩田先生が亀田総合病院に着任され、血液培養陽性例はほぼ全例(主治医から拒否された場合を除いて)感染症科でフォローすることになりました。その後、感染性心内膜炎(と診断される症例)が増えたという内容です。
レトロスペクティブの観察研究ですので、厳密に因果関係があるかと言われると難しいところですが、感染性心内膜炎が他の病院でも年々増加しているという報告はありません(多分、知る限りでは、ですが)。あと、感染症科ができた後の方が再発率が少なかったという結果でした。」


診断できる人がいないとそもそも診断されない。
診断につながるプロセスが省かれると診断されない。
うたがわなければ診断のプロセスにものっからない。
うたがうための根拠や手法を知らないとうたがえない。

「いやー、うちって心内膜炎すくないよねえ」という場合は見落としている可能性も考えないといけません。
そもそも、「あまり考えたことないなあ」とか、「血培オーダー基準が院内で統一されていない」とかとか。

感染症に本気の医師が着任すると、病院としての取り組みがかわっていきます。
患者さんの救命につながります。

岩田先生はじめ亀田の皆さんがつくりあげた文化は、教育や診療の中で今も内外で生きています。

<参考>
医学界新聞 対談「More Blood Cultures Save More Patients' Lives
「1ページで読める感染症診療ガイドライン25 血液培養検体の採取手順」


患者さんは「心内膜炎かもしれません」といっては受診してきません。
最初は同じような、非典型的な症状に見えることがあるわけですが、こんな風に考えるといいですよ、と山本先生が教えてくださるDVD。

“かぜ”と“かぜ”のように見える重症疾患 ケアネットDVDケアネット



感染症の「数字」はいろいろな因子で増減しますので、その基本を知っておくことも大切。
感染症疫学―感染性の計測・数学モデル・流行の構造昭和堂

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