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Channel: 感染症診療の原則
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15価 肺炎球菌ワクチン

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日本で乳幼児にも接種できるコンジュゲート型の肺炎球菌ワクチンが承認されたその同じ日に、米国でも肺炎球菌ワクチンが承認されました。

何がちがうかというと、日本では7価(PCV7)、米国では13価(PCV13)と、カバーする菌の型の多さがちがっていたわけです。米国で7価が承認されたのは10年前でしたので、米国の専門家に「日本は10年ビハインドだね〜」といわれたのを思い出します。

シロウト的にはなんで8でなく7なのか、なぜ全部型をいれず13なのか、という質問がわくわけですが(すごい初歩的っていうかよくわかっていない証明のようでなんですが)。

このあたりを語るにはやはりPlotkin先生、Offit先生監修の『Vaccines』を読むのが近道です。英語ですが。
まあ、そこまでねちこくしらべなくても接種できればいいという人の方が多いわけです。

開発にすっごいお金がかかるので、1回1回勝負ではありますね。

いまどのあたりまで次のワクチンがきているかというと15価だそうです。

病原微生物の基礎研究(お金がかかる)の段階から、ワクチンがつくれそうかという話が検討され、
作る意味があるのか売れるのか、優先順位的にどうなんだという話も当然検討され、
まず実験室、動物での安全性や効果を確認した上で、

人間でどうなのかが何段階も検討されます。安全性/つかう量、効果、効果の持続性、など。

それでも最後の段階で開発中止になるものもあり、そこまで投じたお金も「ああ〜」になるわけです。

最終的に病院で製品として出会うファイナリストたちはそういった厳しい審査を経たもので、審査の途中の結果などもWebなどで今ではアクセスできるようになっています。

15価の肺炎球菌ワクチンは、昨年11月の論文をよむと、まだ動物モデルでの検討。

Pre-clinicalevaluation of a15-valent pneumococcal conjugate vaccine (PCV15-CRM197) in an infant-rhesus monkey immunogenicity model
Vaccine 2011年11月

日本はまだ13価が接種できません(輸入ワクチンでは接種可能ですが)。
多くの先進国は13価で、途上国もGAVIの支援で13価が入っていますので、日本はいつなんでしょうね〜ですが、承認されるころに海外は別のワクチンだったりすると、陰謀さんたちがまた「日本は在庫処理に使われている」とかいうのであまりタイムラグがないほうがいいですね。
保護者にとっても、このビハインド感はなんともいえず不快。

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