肝炎のAとかBは血液型に関連すると思っていた、という話をときどき聞きます(^^;)。
血液型にA,B,O,ABがあるとわかったのは1900年ごろのこと。
B型肝炎ウイルスが電子顕微鏡でとらえられたのは1970年です。
B型肝炎ワクチンは現在WHO加盟国の多くの国で乳幼児期の必須ワクチンに位置付けられています。
しかし、国の肝炎総合対策にB型肝炎ワクチンは入っていません。
日本より有病率が低い国でも導入されているのは、感染力が大変強い、目に見える血液が確認できないレベルでも感染がおきる(他の体液での感染)、グローバル化で人の交流が増えている、などいろいろな背景がありますが、他のウイルス性肝炎に比べて生命や健康を脅かすリスクが大きいことがあげられます。
最近問題になっているのは、「自然に治った」と思われてきた例で、別の病気の治療をはじめたら再度ウイルスが活動を始めて患者さんが死亡するような事例です。
「HBs抗原陰性,HBcないしHBs抗体が陽性」の人の肝細胞にはウイルスの遺伝子が組み込まれており、免疫抑制下ではウイルス増殖が再燃して肝炎の発症につながることがある、ということです。
研究班の説明では、「わが国では40歳ないし50歳以上の年齢層におけるHBV既往感染者の比率が約25%」とのことです。キャリアは150万人といわれています。
この国で「B型肝炎の問題は過去の話」とは言えない状況があるわけです。
まさに総合的対策が必要といえます。
m3のブログ「平成医新」2012年2月7日に劇症肝炎の記事がありました。
「死の人体実験 昭和29年(1954年)」
昭和29年(1954年)に、大学病院で、輸血後肝炎の患者から採血した血液1ccを自分たちの腕に注射する実験、が行われたというお話。
一人は意識障害から昏睡状態となり死亡。劇症肝炎でした。
内科宝函(第四巻第五号)に記録があるそうです。国会図書館で探してみよう・・・。
1976年の文献では、「劇症肝炎は予後不良な疾患とされ,その死亡率 は90.9%1),89.4%5)(薬剤性肝炎77.896,ウイ ルス性肝炎90.1%)ときわめて高い」と書かれています。
同じく「三重大劇症肝炎感染事件 昭和62年(1987年)」では、医師2名、看護師1名が同時期に劇症肝炎になった事例が紹介されています。
劇症化は数パーセントといわれているB型肝炎で同時期に3例が劇症化、は今ならもっとつっこんだ調査があったかもしれませんが、このときは感染源、感染経路は不明だったそうです。
実際にどれくらいのB型肝炎の感染があって、急性肝炎になり、診断され、届け出が行われているのかはわかりません。報告されているのは全体の一部です。
ブログ記事にある、
「労働省は医療従事者の業務上疾病による労災認定を再調査し、約2年間で73人の医療関係者がB型肝炎を発病し、8人が死亡していたことを明らかにした。73人の職種の内訳は、医師12人、看護師47人、臨床検査技師10人であった。そのほとんどは、患者の採血時に自分の指を刺して感染したものだった」
からわもわかるように、調べればもっと事例はあるだろうと想像できます。
リスクの高い医療者はワクチン接種率が一般に比べて高いといわれています。
医学部はさすがに実習前に全員ワクチンを接種しているようですが、看護系や福祉系、保育系は予防接種歴や免疫状態を確認しないまま実習に行かせてしまっているところも一定数あります。
実習受け入れ施設のICN/看護職/校医などから実習前の条件として事前に申し入れすることが必要ですね。
もちろん、性感染での劇症肝炎も見落とさないように〜。(日々是よろずER診療)
血液型にA,B,O,ABがあるとわかったのは1900年ごろのこと。
B型肝炎ウイルスが電子顕微鏡でとらえられたのは1970年です。
B型肝炎ワクチンは現在WHO加盟国の多くの国で乳幼児期の必須ワクチンに位置付けられています。
しかし、国の肝炎総合対策にB型肝炎ワクチンは入っていません。
日本より有病率が低い国でも導入されているのは、感染力が大変強い、目に見える血液が確認できないレベルでも感染がおきる(他の体液での感染)、グローバル化で人の交流が増えている、などいろいろな背景がありますが、他のウイルス性肝炎に比べて生命や健康を脅かすリスクが大きいことがあげられます。
最近問題になっているのは、「自然に治った」と思われてきた例で、別の病気の治療をはじめたら再度ウイルスが活動を始めて患者さんが死亡するような事例です。
「HBs抗原陰性,HBcないしHBs抗体が陽性」の人の肝細胞にはウイルスの遺伝子が組み込まれており、免疫抑制下ではウイルス増殖が再燃して肝炎の発症につながることがある、ということです。
研究班の説明では、「わが国では40歳ないし50歳以上の年齢層におけるHBV既往感染者の比率が約25%」とのことです。キャリアは150万人といわれています。
この国で「B型肝炎の問題は過去の話」とは言えない状況があるわけです。
まさに総合的対策が必要といえます。
m3のブログ「平成医新」2012年2月7日に劇症肝炎の記事がありました。
「死の人体実験 昭和29年(1954年)」
昭和29年(1954年)に、大学病院で、輸血後肝炎の患者から採血した血液1ccを自分たちの腕に注射する実験、が行われたというお話。
一人は意識障害から昏睡状態となり死亡。劇症肝炎でした。
内科宝函(第四巻第五号)に記録があるそうです。国会図書館で探してみよう・・・。
1976年の文献では、「劇症肝炎は予後不良な疾患とされ,その死亡率 は90.9%1),89.4%5)(薬剤性肝炎77.896,ウイ ルス性肝炎90.1%)ときわめて高い」と書かれています。
同じく「三重大劇症肝炎感染事件 昭和62年(1987年)」では、医師2名、看護師1名が同時期に劇症肝炎になった事例が紹介されています。
劇症化は数パーセントといわれているB型肝炎で同時期に3例が劇症化、は今ならもっとつっこんだ調査があったかもしれませんが、このときは感染源、感染経路は不明だったそうです。
実際にどれくらいのB型肝炎の感染があって、急性肝炎になり、診断され、届け出が行われているのかはわかりません。報告されているのは全体の一部です。
ブログ記事にある、
「労働省は医療従事者の業務上疾病による労災認定を再調査し、約2年間で73人の医療関係者がB型肝炎を発病し、8人が死亡していたことを明らかにした。73人の職種の内訳は、医師12人、看護師47人、臨床検査技師10人であった。そのほとんどは、患者の採血時に自分の指を刺して感染したものだった」
からわもわかるように、調べればもっと事例はあるだろうと想像できます。
リスクの高い医療者はワクチン接種率が一般に比べて高いといわれています。
医学部はさすがに実習前に全員ワクチンを接種しているようですが、看護系や福祉系、保育系は予防接種歴や免疫状態を確認しないまま実習に行かせてしまっているところも一定数あります。
実習受け入れ施設のICN/看護職/校医などから実習前の条件として事前に申し入れすることが必要ですね。
もちろん、性感染での劇症肝炎も見落とさないように〜。(日々是よろずER診療)