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Channel: 感染症診療の原則
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香坂先生 Q&A

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香坂先生から、ファイザーの薬剤師向けセミナーでのQ&A情報をいただきました。

薬剤師さんも熱いですね!


【免責事項】
下記はセミナー参加者に向けて、当日の講義の流れをふまえてのものであり、一般化したり特定の症例の根拠とする目的はありません。個別の事例で検討される場合は、その判断者の責任においてお願いします。
下記内容への追加の質問は受け付けていませんのでご了承ください。

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・COURAGE試験によってPCIと薬物療法は最終的には有意差がなかったわけですが、12ヶ月以前には有意差があったということは、その症状を考えるとPCIはやはり実施するのがよいという理解でよろしいでしょうか。

演者の個人的な考えを述べますと、数カ月のベネフィットを極限まで追うというのは職人肌的であり、「仁」の精神を良しとする儒教文化の極みでもあるとは思うのですが、いかんせん「人間(じんかん)50年」(N. Oda et al. Honnouji Journal of Med1582)という全体枠から考えるといささか刹那的ではないかと思います。


・PCI後 坑血小板薬 2剤(バイアスピリンとクロピドグレル)を服用している患者が、2ヶ所目、3ヵ所目とステントを期間をおいて入れた場合、クロピドグレルは最終ステント留置から1年間は継続すべきなのでしょうか。

演者の個人的な考えを述べますと、動脈硬化に「腐海」のような役割を果たす抗癌剤塗布済金属筒(DES)には、十分期間抗血小板剤を服用して血小板を遠ざけていただく必要があると思います。最後のDESから1年の間、二剤投与で辛抱強く待ったならばそこには浄化された血管内皮が広がっていることでしょう。


・抗血小板服用下で出血を起こした患者さんに対する対応で苦慮することがあるのですが、循環器の先生はどのように考えているのでしょうか。


演者の個人的な考えを述べますと、出血などに相対するにあたり、「大したことはない、アスピリンを続けるように」という循環器内科医群と、「さっさとやめろ、二度と飲ませるな」という消化器内科医群は統計的な有意差をもって平行線をたどっています。どうやら循環器内科と消化器内科は呉越同舟、ときにライバルと、ツンデレな関係にあり、こうした問題に一様な解決策を見出すことは難しい状況と思われます。



・PCIにせよCABGにせよ投薬の重要性が理解できました。さて、循環器内科医によるPCIでは投薬がガイドラインに沿っていることが殆どですが、心臓外科医によるCABG後では内服が適切に入ってこないことが多いような気がします。CABG術後の投薬タイミングで考慮する点はあるでしょうか。

演者の個人的な考えを述べますと、高度成長期の核家族のように外科医には外科医の役割が、内科医には内科医の役割があるような気がします。つまり、この問題の根本は父親が母親の役割までもを完全にこなそうとすることにあるのではないかと見受けられますが、いかがでしょうか?現代日本に失われた頼もしい父親像がここにはありますが、そんなすべてを背負おうとする父親へのアドバイスのタイミングは退院前の指導でそっと、でしょう。外来で始めるよりもはるかに効果的ですし、忘れません。



・AMI PCI後の人にβブロッカーが入る前にACE-I/ARBが先に入ることが多いです。これは心不全高リスクとして投与しているという解釈でよいのでしょうか。

演者の個人的な考え方を申しあえると、水は高きから低きに、世の中難しいことよりも易しいことに手をつけることが多いようです。β遮断薬を使うことは、幾多の副作用を越えてその先の予後改善を目指すということになります。ACE-I/ARBは副作用が少ないのですが、糖尿病、慢性腎不全、左室機能が落ちている方以外には、実はあまり効果がありません。山を越えてその先の肥沃な大地を目指そうとする処方がβ遮断薬という処方と思います。

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香坂先生ありがとうございました。

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