おさらい。2009年の結核データ。
■新規患者報告は約24000件。人口10万対では19。
米国(4.3)の4.4倍、カナダ(4.7)の4.0倍、スウェーデン(5.4)の3.5倍、オーストラリア(5.5)の3.5倍
■新規症例のうち、70歳以上が半数をしめる。
■外国籍結核患者の割合は増加傾向。20歳代の新登録結核患者(約1700人)の約4人に1人は外国籍結核患者。
■人口10万対でみると、多いのは大阪市(49.6)、名古屋市(31.0)、東京都特別区(28.0)、神戸市(26.2)。
それぞれ群馬県(10.2)の4.9倍、3.0倍、2.7倍、2.6倍である。
■死亡関連データ:平成21年中の結核による死亡者数は2,155人(概数)で、前年の2,220人に比べ65人減少、死亡率は0.1低下し1.7に。死因順位は、24位。
結核は、日本全体ですと毎週200-300例、報告があります。すごい数。
(HIVは年間1500くらいですよ)
少し前に芸能人が結核になったというニュースで、不安になった人たちからの電話でしばらく行政がたいへんだったということを思い出しました。
昨日、横浜市保健所が市議が結核を発病して他の3人の感染が確認されたというニュースがありました。
ある新聞記事では対応が遅れたというニュアンスの記事でした。
が、記事の内容だけで何か問題が生じていたのかどうかは判断つかないレベルの情報でした。
事例ごとの個別性が大きいことを知っているのかなとも思うわけですが・・・
かつて国民病のようにいわれ、国が緊急宣言を出したりも(実は)しているのですが、病気の概要を知っている人は思いのほかすくないのだろうと想像します。
よくあるパターンは・・・
体調が悪いなあ。でもまあ、忙しいし、そのうち病院に行こう。(この期間が長いと、あとでたくさんの人が検査を受けることになり、発症するような人も出てきます)
↓
や、なかなか体調がもどらないなあ。家族や周りも心配しているので今日は病院に行こう。
↓
医師「結核の可能性も考えて検査しましょう」
↓
医師「結核ですね」
このあとは、治療薬を服用するということになります。
結核の場合は、さらに、周囲のひとたちの健康診断が行われますが、これを「接触者健診」といいます。
必要時、予防内服が行われます。
医師は保健所に結核の患者さんがいたことを報告します(感染症法で決まっており、所定の書類に書いて保健所に提出)。
そして保健所の結核担当の人が周囲の健診のために動いてくれます。
医療機関や事業所の責任者で何か困った場合は保健所に相談、です。
結核菌に感染しても、約9割の人はそんなこと思いもせず、気づかず、発症しないで一生を終えます。
感染したあとに1年以内に発症するのは感染した人全体の数%、
残りの人生で発症する人が数%、です。
発症に影響するのは、まず、その人の抵抗力がおちてきて、菌が活動しやすくなったとき。
「高齢化」 これをとめることはできません。
このほかに、病気で免疫が下がる人は、HIV感染症(ウイルス感染)、糖尿病など。
治療の影響では、ステロイド剤や抗がん剤とか免疫抑制剤などを使用している人など。
高齢者で糖尿病もあってHIVにも感染していて、とかいう人のリスクは他の人よりぐんとあがります。
この他栄養状態が悪いとか体調不良の原因になるような生活スタイルをしている人もリスクがあります。
しかし、ときどき元気な若者が発症したりもします。
医療者は制服でピチピチ元気な人に「結核」を考えることが難しく、何回目かの受診(数件目の病院)でやっとわかるということもあります。
同居家族にどもがいたり、学校で教職員や学生が発症をすると、こどもの接触者健診(南京都病院)や内服が必要になった場合の保護者の不安はとても大きいです。
(咳エチケットはインフルエンザ季節だけでなく、日常的にに大切)
ところで、接触者健診で他にも感染している人や発病している人がみつかることがありますが、「最初に診断された人」から感染したのかどうかはわかりません
遺伝子学的な検査をして、同じ(似ている)菌だね、ということがわかる場合もありますが、まったく違うルートで昔感染した人が、たまたまこの時期検査でみつかったんだね、ということもあります。
結核の事例で大切なことは、皆が健康問題を早く解決できること。新たに感染が広がらないことです。
最初に診断された患者さんを責める人もいますが、それは大きな間違いです。
その人も知らない間に誰かから感染したわけです。
発病、治療という一番たいへんな経験をする方です。周囲に心配をかけたことをご家族ともどもとても気を使います。どうかそういった状況を周囲が理解できるようにと願っています。
人に相談しづらい、治療を確実に行いにくいような状況では感染症対策にもつながりません。
安心して療養ができるようぜひご支援ください。
患者向け資料 東京都
結核接触者健診のてびき〜 施設・企業の窓口担当者の方へ 〜 東京都南多摩保健所
感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き (改訂第4版) 2010年
HIV感染症をはじめとする性感染症でも、接触者に検査や治療の機会を提供するために検査勧奨が行われます。
また、B型肝炎などでは家族やパートナーへのワクチン接種の大切さについて情報提供が行われます。
感染症は周囲の人の健康のケアも大切。
■新規患者報告は約24000件。人口10万対では19。
米国(4.3)の4.4倍、カナダ(4.7)の4.0倍、スウェーデン(5.4)の3.5倍、オーストラリア(5.5)の3.5倍
■新規症例のうち、70歳以上が半数をしめる。
■外国籍結核患者の割合は増加傾向。20歳代の新登録結核患者(約1700人)の約4人に1人は外国籍結核患者。
■人口10万対でみると、多いのは大阪市(49.6)、名古屋市(31.0)、東京都特別区(28.0)、神戸市(26.2)。
それぞれ群馬県(10.2)の4.9倍、3.0倍、2.7倍、2.6倍である。
■死亡関連データ:平成21年中の結核による死亡者数は2,155人(概数)で、前年の2,220人に比べ65人減少、死亡率は0.1低下し1.7に。死因順位は、24位。
結核は、日本全体ですと毎週200-300例、報告があります。すごい数。
(HIVは年間1500くらいですよ)
少し前に芸能人が結核になったというニュースで、不安になった人たちからの電話でしばらく行政がたいへんだったということを思い出しました。
昨日、横浜市保健所が市議が結核を発病して他の3人の感染が確認されたというニュースがありました。
ある新聞記事では対応が遅れたというニュアンスの記事でした。
が、記事の内容だけで何か問題が生じていたのかどうかは判断つかないレベルの情報でした。
事例ごとの個別性が大きいことを知っているのかなとも思うわけですが・・・
かつて国民病のようにいわれ、国が緊急宣言を出したりも(実は)しているのですが、病気の概要を知っている人は思いのほかすくないのだろうと想像します。
よくあるパターンは・・・
体調が悪いなあ。でもまあ、忙しいし、そのうち病院に行こう。(この期間が長いと、あとでたくさんの人が検査を受けることになり、発症するような人も出てきます)
↓
や、なかなか体調がもどらないなあ。家族や周りも心配しているので今日は病院に行こう。
↓
医師「結核の可能性も考えて検査しましょう」
↓
医師「結核ですね」
このあとは、治療薬を服用するということになります。
結核の場合は、さらに、周囲のひとたちの健康診断が行われますが、これを「接触者健診」といいます。
必要時、予防内服が行われます。
医師は保健所に結核の患者さんがいたことを報告します(感染症法で決まっており、所定の書類に書いて保健所に提出)。
そして保健所の結核担当の人が周囲の健診のために動いてくれます。
医療機関や事業所の責任者で何か困った場合は保健所に相談、です。
結核菌に感染しても、約9割の人はそんなこと思いもせず、気づかず、発症しないで一生を終えます。
感染したあとに1年以内に発症するのは感染した人全体の数%、
残りの人生で発症する人が数%、です。
発症に影響するのは、まず、その人の抵抗力がおちてきて、菌が活動しやすくなったとき。
「高齢化」 これをとめることはできません。
このほかに、病気で免疫が下がる人は、HIV感染症(ウイルス感染)、糖尿病など。
治療の影響では、ステロイド剤や抗がん剤とか免疫抑制剤などを使用している人など。
高齢者で糖尿病もあってHIVにも感染していて、とかいう人のリスクは他の人よりぐんとあがります。
この他栄養状態が悪いとか体調不良の原因になるような生活スタイルをしている人もリスクがあります。
しかし、ときどき元気な若者が発症したりもします。
医療者は制服でピチピチ元気な人に「結核」を考えることが難しく、何回目かの受診(数件目の病院)でやっとわかるということもあります。
同居家族にどもがいたり、学校で教職員や学生が発症をすると、こどもの接触者健診(南京都病院)や内服が必要になった場合の保護者の不安はとても大きいです。
(咳エチケットはインフルエンザ季節だけでなく、日常的にに大切)
ところで、接触者健診で他にも感染している人や発病している人がみつかることがありますが、「最初に診断された人」から感染したのかどうかはわかりません
遺伝子学的な検査をして、同じ(似ている)菌だね、ということがわかる場合もありますが、まったく違うルートで昔感染した人が、たまたまこの時期検査でみつかったんだね、ということもあります。
結核の事例で大切なことは、皆が健康問題を早く解決できること。新たに感染が広がらないことです。
最初に診断された患者さんを責める人もいますが、それは大きな間違いです。
その人も知らない間に誰かから感染したわけです。
発病、治療という一番たいへんな経験をする方です。周囲に心配をかけたことをご家族ともどもとても気を使います。どうかそういった状況を周囲が理解できるようにと願っています。
人に相談しづらい、治療を確実に行いにくいような状況では感染症対策にもつながりません。
安心して療養ができるようぜひご支援ください。
患者向け資料 東京都
結核接触者健診のてびき〜 施設・企業の窓口担当者の方へ 〜 東京都南多摩保健所
感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引き (改訂第4版) 2010年
HIV感染症をはじめとする性感染症でも、接触者に検査や治療の機会を提供するために検査勧奨が行われます。
また、B型肝炎などでは家族やパートナーへのワクチン接種の大切さについて情報提供が行われます。
感染症は周囲の人の健康のケアも大切。