MERS-CoV　臨床医として最低知っておきたい事　（CDCから）

以下のCDCの記事の抜粋を編集長が致しました。

Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus (MERS-CoV):
The Bottom Line for Clinicians

http://www.medscape.com/viewarticle/824588

800人の命を奪ったSARSの原因ウイルスと同じCoronavirusが今回はMERS-CoV（マーズコービーと発音しているように聞こえる）。

MERS-CoVが最初の報告されたのあｈ2012年9月アラビア半島でした。2014年5月現在で12の国で401例のConfirmされた症例があります。全て元を辿ればアラビア半島の流れです。
急性の症状は発熱、咳、呼吸困難で93人が亡くなりました。死亡率Case fatalityは3割。

2014年4月にWHOは感染の元になったのはラクダのようだが、正確な事は不明、感染経路も不明・調査中としている。

2014年5月2日、米国の最初に症例が発見。サウジアラビアで働いていた医療従事者だった。
インディアナ州の病院に入院。隔離され安定している。

ここに米国で働く医師のための最新のGuideline（WHO、CDC）がある。

＃１：臨床像は、感染性は？
・平均年齢は51歳。2歳の子供の症例も報告されている。
・潜伏期間は2-14日間。潜伏期間の感染性は無いようだ。
・感染は主に物理的な接触のある人（医療従事者、家族）のようだ。
・症例の75％は二次感染のようで、医療従事者が多い。殆どの感染した医療従事者は無症状、極めて症状は軽微。家族内感染は4件のみ。

＃２：どのような症例でMERS-CoVを疑うか？
・アラビア半島、その付近からの旅行者で、この地域から出て14日以内に咳や呼吸苦などの症状が出た人。
・具体的な場所：
アラビア半島と近くの国. (Bahrain, Iran, Iraq, Israel, Jordan, Kuwait, Lebanon, the Palestinian territories, Oman, Qatar, Saudi Arabia, Syria, the United Arab Emirates, and Yemen.)


＃３：何をする。
・近所の保健所などに連絡。CDCでは分子診断法を開発してある。検査キットは各州の保健所に配ってある。
・CDCは検体を異なる時間、異なる場所から複数取るように勧めている。
・下気道の検体が良い。でも鼻腔、咽頭も良い。
・症状が始まったら、可能な限り早く検体をトル。

＃４：感染管理的には
・標準＋接触＋空気感染の予防策を。具体的には以下のURLへ。
Interim Home Care and Isolation Guidance for MERS-CoV
http://www.cdc.gov/coronavirus/mers/hcp/home-care.html

・大事な事はRespiratoryIsolationに可能なかぎり早く隔離する事。
・医療従事者には手袋、ガウン、ゴーグルかFaceマスク、N95マスク

＃５：有効な抗ウイルス薬は
・無い。支持療法。

＃６：アラビア半島へ旅行を計画している患者には何と話すか？
・現時点ではCDCは特別な変更は不要としている。人・人感染は医療機関か家族間で生じている。

（タイトル写真：安らかに眠るトーマス）