Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

女性のTSS

$
0
0
「研修医のときに30件お産をとったのだー」と自慢気な青木編集長。
(だからご婦人が得意というわけでもないそうですが。ぼそぼそ。)

女性関連の感染症の話です。
情報や知見に乏しい人はイメージをたくましくしてください。

「高熱が出、気分も悪くなり、嘔吐や下痢が出てきました。食中毒だと思って受診」

・・した女性が何歳かにもよりますが、問診や診察の中ですぐに気づけるかどうか。

そのプロセスでご本人が原因に気づいてくれればよいのですが、過去に、「忘れてたー」(おいおい)という事例を複数知っています。(こわいこわい)



原因はタンポンのトリだし忘れ(長時間使用)でした。

第52回 中毒性ショック症候群 (TSS = Toxic Shock Syndrome) =タンポンの使用によるもの=
症状:タンポン使用時の高熱、嘔吐、下痢、赤い皮疹  
US JAPAN MED

TSSのリスク因子としては、「生理、タンポンの使用(特に高吸収性のものを使用したり長期放置した場合)、避妊用の膣内留置物、皮膚の傷、鼻孔の詰め物、出産、手術、最近かかった黄色ぶどう球菌の感染症など」

はい。忘れられ、悪臭の原因になっていたのが「コンドーム」という事例を複数経験しています。
・・・終わったときなかったらふつうあせらないのか?と思うわけですが(--;)

品質が改善されてよく吸収する。ちょっと値段もよかったりすると、変える頻度なども考えるのか。はたまた快適さがまさって忘れてしまうのか。
理由はいろいろでしょうが、とにかく長時間入れっぱなしの人がいるということは覚えておきましょう。

(同じ理由で赤ちゃんがオムツをなかなかかえてもらえずかぶれてしまう話をよくききますが)

米国では、70年代後半から-80年代前半に812件の長時間タンポン原因のTSSがあり、このうち32例は死亡しているそうです。
2005年1月にもカリフォルニア州で1人死亡。

Death By Tampon:Use of super-absorbent tampons increases risk
The Daily of the University of Washington

ハーバード大学 タンポンの規制についての解説 The History of the Regulation of Menstrual Tampons
く、くわしすぎる・・。

なんとつい最近も。

2011年9月は英国で15歳の少女が2日のスパンで重篤に Tampon left schoolgirl, 15, in coma with toxic shock

事例は山のようにあるようです。Another Lost Tampon Story

ということで。異物を取り出し抗菌薬とか昇圧剤。よろしくお願いします。


話はかわりますが、ナプキンでもオムツのように布がよいか使い捨て製品がよいかという話があるそうですが。トラブル防止のためには「マメに変える」ですね。

微生物学的なレベルで「清潔」を考えたら、布の方が管理は難しいでしょう。
でもまあ、別に無菌でなくてもいいわけです(あてる場所がそもそも雑菌たくさんですし)。

ナプキンもタンポンも各国ともに医薬品を扱う部門が監視をしていますが、想定の範囲を超えた長時間使用とか以外で健康問題がおきているというようなエビデンスはみあたりません。
各自お好みでご利用ください。

みなさま、娘さんには教育をよろしくおねがいします。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles