英語でも日本語でも西アフリカのギニアで広がるエボラウイルス症例の拡大は、感染症関係者以外にも関心の高まっているところであります。
陸続きのセネガルが国境封鎖をしています。
パリでは、ギニアからの飛行機の検疫を強化しています。
このような「アウトブレイク」のときには、個人や社会の心理反応としてパニックや他者への攻撃性が高まりますので、支援に行く人たちの身の安全なども課題になります。
警察や軍隊の警備をつけて調査に出かけた先生のお話を聞いて、お目目キラキラ国際協力!とは全く違う世界の現実を聞いて動機がしたことがあります。
4月4日 Angry mob attacks Ebola treatment centre in Guinea
日本の施設や専門家も複数加わっているWHOの緊急対応チームGOARNや、国境なき医師団、各地のラボのネットワークの連携がはじまっていますが、現地での対応の困難さが各方面から伝わってきます。
こういった感染症が最初に広がるのは郊外のことが多いのですが、医療を求めて首都に人が長距離バスなどで異動をするため(搬送先も病院のある大きな町や都市部)地理的にも症例拡大がみられます。
今回、エボラが大きな話題となっていますが、他の感染症も常時流行している地域なので、検査診断のキャパが小さい地域ではさらなる混乱や情報確認の難しさが生じています。
エボラニュースが続く中、米国ミネソタ州では西アフリカ帰りの男性がラッサ熱と診断されたとのニュースも報じられました。
ギニア含め周辺国ではラッサ熱も流行しているので疑問はありませんが。
米国でも2010年以降初の稀な輸入感染症です。もっとも、感染しても全員が発症したり重症化するわけではありませんので診断されることも稀といえますが。
ところで。編集部、誰も西アフリカに行ったことがありません(皆、虫系が苦手・・・)
日本から距離的には遠いですし、世界地図のどこにギニアやリベリアがあるのかわからない日本人も多いと思いますが、周囲にはでかけているひとたちもいます。
昨年、アフリカの音やダンスが好きな人たちからギニアの素晴らしさを聞く機会があったので、どのような人たちがどれくらい出かけているのだろうと調べたばかりでした。音楽のルーツとしてたいへん魅力的なんですね。
ギニアのダンス
ギニア音楽の旅
すてきです。
こういったツアーに行く時のマラリア予防情報とか十分届いていないよね、どうしようか、という話もしていました。
各地の急性期をみる病院の感染症関係の関係者は、流行地情報のリスト化、その渡航歴のある患者への対応(どの外来でどのように対応するのか)といったことはすでに動いているかもしれません(誰も気に留めていない、というのはまずいとおもいますよ・・)。
理屈で考えると、医療者として出会う確率は非常に低いです。
国内に症例マネジメントの経験のある人もほぼいません。
それでも、一応、専門家や国が注意を払い備えをしている、という態勢があれば、万が一の曝露事故や混乱を避けることにつながります。
相談先くらいはわかりやすいところにおいておくくらいの備えはしておいたほうがよいとおもいます。
英国は集約型をとっていますが、日本の体制は「指定感染症医療機関」を各地につくって各地で対応、という仕組みになっています。
厚労省のホームページはまだ更新されておらず平成25年のリストが掲載されています。
各地の医療機関が指定されて(指定されたかったかは別として)、そこの医療者は「備え」としての物品購入や職員研修をしています。
国立国際医療研究センター 新感染症病棟での訓練の様子。
昨年、国立国際医療研究センターが公開した英国危険病原体諮問委員会(ACDP)が2012年7月に作成した「ハザードグループ4病原体による ウイルス性出血熱 および それに類似する重大な感染症の管理」は指定医療機関には配布されています。
日本にバイオセーフティレベルP4の施設が稼働していないことの問題なども、こういったときに解決をはかる必要性があるんじゃないかと思う週末です。
社会の危機をいち早く察知して伝え貢献するという報道機関も、英語ニュースを日本語にして流すだけでなく、こういった問題にも注目していただきたいですね。日本の危機管理の課題ですので。
武蔵村山市の要望書
マイクベル先生からは、このようなときの病原体の専門家や感染症の医師以外の仕事の話を聞きました。
致死的な感染症から回復する患者さんもいる。でも、友人や家族や仕事、故郷を失って生きて行かないと行けない人もいる。
ソーシャルワーク的なことも含めてロジが必要。
アウトブレイクは初動のところは熱く、ニュースも伝わってきますが、「その後」の情報は少ないです。
感染症の発生そののものだけでなく、人権等にも配慮しての対応や問題の再発防止について学ぶことは後半にもたくさんあるのだと思います。
もっと広いレンジで、感染症がなぜ広がって行くのか・・・・を学ぶ本。
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)草思社
文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)草思社
DVDもありました。
ナショナル ジオグラフィック 銃・病原菌・鉄[軽装版] [DVD]ビデオメーカー
陸続きのセネガルが国境封鎖をしています。
パリでは、ギニアからの飛行機の検疫を強化しています。
このような「アウトブレイク」のときには、個人や社会の心理反応としてパニックや他者への攻撃性が高まりますので、支援に行く人たちの身の安全なども課題になります。
警察や軍隊の警備をつけて調査に出かけた先生のお話を聞いて、お目目キラキラ国際協力!とは全く違う世界の現実を聞いて動機がしたことがあります。
4月4日 Angry mob attacks Ebola treatment centre in Guinea
日本の施設や専門家も複数加わっているWHOの緊急対応チームGOARNや、国境なき医師団、各地のラボのネットワークの連携がはじまっていますが、現地での対応の困難さが各方面から伝わってきます。
こういった感染症が最初に広がるのは郊外のことが多いのですが、医療を求めて首都に人が長距離バスなどで異動をするため(搬送先も病院のある大きな町や都市部)地理的にも症例拡大がみられます。
今回、エボラが大きな話題となっていますが、他の感染症も常時流行している地域なので、検査診断のキャパが小さい地域ではさらなる混乱や情報確認の難しさが生じています。
エボラニュースが続く中、米国ミネソタ州では西アフリカ帰りの男性がラッサ熱と診断されたとのニュースも報じられました。
ギニア含め周辺国ではラッサ熱も流行しているので疑問はありませんが。
米国でも2010年以降初の稀な輸入感染症です。もっとも、感染しても全員が発症したり重症化するわけではありませんので診断されることも稀といえますが。
ところで。編集部、誰も西アフリカに行ったことがありません(皆、虫系が苦手・・・)
日本から距離的には遠いですし、世界地図のどこにギニアやリベリアがあるのかわからない日本人も多いと思いますが、周囲にはでかけているひとたちもいます。
昨年、アフリカの音やダンスが好きな人たちからギニアの素晴らしさを聞く機会があったので、どのような人たちがどれくらい出かけているのだろうと調べたばかりでした。音楽のルーツとしてたいへん魅力的なんですね。
ギニアのダンス
ギニア音楽の旅
すてきです。
こういったツアーに行く時のマラリア予防情報とか十分届いていないよね、どうしようか、という話もしていました。
各地の急性期をみる病院の感染症関係の関係者は、流行地情報のリスト化、その渡航歴のある患者への対応(どの外来でどのように対応するのか)といったことはすでに動いているかもしれません(誰も気に留めていない、というのはまずいとおもいますよ・・)。
理屈で考えると、医療者として出会う確率は非常に低いです。
国内に症例マネジメントの経験のある人もほぼいません。
それでも、一応、専門家や国が注意を払い備えをしている、という態勢があれば、万が一の曝露事故や混乱を避けることにつながります。
相談先くらいはわかりやすいところにおいておくくらいの備えはしておいたほうがよいとおもいます。
英国は集約型をとっていますが、日本の体制は「指定感染症医療機関」を各地につくって各地で対応、という仕組みになっています。
厚労省のホームページはまだ更新されておらず平成25年のリストが掲載されています。
各地の医療機関が指定されて(指定されたかったかは別として)、そこの医療者は「備え」としての物品購入や職員研修をしています。
国立国際医療研究センター 新感染症病棟での訓練の様子。
昨年、国立国際医療研究センターが公開した英国危険病原体諮問委員会(ACDP)が2012年7月に作成した「ハザードグループ4病原体による ウイルス性出血熱 および それに類似する重大な感染症の管理」は指定医療機関には配布されています。
日本にバイオセーフティレベルP4の施設が稼働していないことの問題なども、こういったときに解決をはかる必要性があるんじゃないかと思う週末です。
社会の危機をいち早く察知して伝え貢献するという報道機関も、英語ニュースを日本語にして流すだけでなく、こういった問題にも注目していただきたいですね。日本の危機管理の課題ですので。
武蔵村山市の要望書
マイクベル先生からは、このようなときの病原体の専門家や感染症の医師以外の仕事の話を聞きました。
致死的な感染症から回復する患者さんもいる。でも、友人や家族や仕事、故郷を失って生きて行かないと行けない人もいる。
ソーシャルワーク的なことも含めてロジが必要。
アウトブレイクは初動のところは熱く、ニュースも伝わってきますが、「その後」の情報は少ないです。
感染症の発生そののものだけでなく、人権等にも配慮しての対応や問題の再発防止について学ぶことは後半にもたくさんあるのだと思います。
もっと広いレンジで、感染症がなぜ広がって行くのか・・・・を学ぶ本。
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)草思社
文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)草思社
DVDもありました。
ナショナル ジオグラフィック 銃・病原菌・鉄[軽装版] [DVD]ビデオメーカー