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Channel: 感染症診療の原則
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関東、中部地方で麻疹が増加中

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今日、IDATENのMLで情報提供されていた「D8型麻疹の国内伝播警戒と予防接種対象者への急ぎの接種を」について。

麻疹排除を目指しての取り組みは、誰かがやっているのではなく、学校や地域・医療全体の取り組みであり、特に臨床関係者の努力なくしてはうまくいきません。

保健所への迅速な連絡と感受性者のケアを忘れずに。


麻疹あるいはMRワクチンの「未接種者」と「2回接種していない人(1回だけ)」が発症しています。

各国で出回っているウイルスの遺伝子型の地図

砂川先生によるサマリー   ※編集部が色を付けたりフォントを変えています
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・今年に入り、麻疹が関東地方(千葉、東京など)、中部地方でじわりと増加している。輸入例に端を発すると考えられるD8型が多くを占める。

・患者は2回の麻疹ワクチン接種が完了していない者を中心とする。

・全国的に事例が広がっていく可能性がある。臨床家による発熱発疹者の注意深い鑑別(感染源などの疫学情報聞き取り)がまず重要であり、接触歴や症状から麻疹を疑う患者に対しては地方衛生研究所を中心としたPCRや分離などによる確定検査が重要である。

・麻疹の感染力の強さや高い重症度から、「一例出たら直ぐ対応!」の原則に則る必要がある。
患者の感染可能期間中に接触した者のうち、2回目の麻疹ワクチン未接種がある場合には、直ちにワクチン接種などの対応を直ちに行うことが必要である。そのためには、事例の全体像把握や封じ込めを目的とした疫学調査の実施が欠かせない。

・事例の潜在的な拡がりへの対応を含め、全国のこの3月までの定期接種対象者(第1〜4期)で未接種の者に対しては、医療機関および自治体からの、急ぎの麻疹含有ワクチン接種の強い勧奨が重要である。

・麻疹流行地域(インドなどの南アジア、フィリピンやインドネシア東南アジア、フランスなどヨーロッパ全般)へ渡航される、2回の麻疹含有ワクチンを終了していない方については、渡航前のワクチン接種が望ましい。

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<麻疹発生動向>週別麻しん報告数 2012年 第1〜2週(n=11)
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/2012pdf/meas12-02.pdf

IASRに麻疹関連情報がならんでいます。

<速報> 成田空港内勤務者からのD8型麻疹ウイルスの検出と家族内感染―千葉県
(掲載日 2012/1/24)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3842.html
2011年12月末に成田空港内勤務の人が麻疹になり、調べたら海外由来の「D8型」のウイルスでした。
この人の妹さんが1月に発症(家族内感染)。妹さんの学校で緊急接種が行われたという事例です。
(進学時だけでなく、就職時にもワクチン接種歴やVPDの罹患歴などを確認する必要があるのでは)

2011年、広島では接種歴のない子どもが12歳→11歳→9歳→6歳と、家族内で次々感染。

<速報>広島県で検出されたD8型麻疹ウイルスの輸入症例による家族内感染 
(掲載日 2011/6/7)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3772.html


10年前、2002年に砂川先生が書かれた、医学界新聞の麻疹対策の記事


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