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Channel: 感染症診療の原則
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Preワクチン世代のHPV感染(イギリス)

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新しい検査や治療が確立し、関心を持つ人や医療者が増えると、『検査数』そのものが増えて感染症が増えたようにみえることがあります。

それまでに実際にあったけれど、きずかずにスルーされていたものが見えるようになる、「見える化」のひとつです。(すべて即治療なのかというのはまた別の話)

感染症のデータに変化があった場合、影響しているものは何かを考える必要があります。

それに関連して、新しいワクチンが導入されると、流行のパターンが変わることがあります。

ワクチンに入っているタイプの型での感染や重症化が抑制されると、受診するようになるのはそれ以外の型、とトレンドがうつるということです。

ワクチンの効果評価にも関係するので、導入前と導入後の疫学データが重要になるのですが、日本では疫学データの管理が不十分(未整備?)ために、各ワクチンそのものや政策の評価が難しい状況にあります。
なければ製薬会社の情報とか期間や規模限定研究班情報くらいしかアクセスするものがなく困るのですが。


これに関連する調査報告がありました。

英国の公的な予防接種プログラムは日本と同じく初期に2価を導入しましたが、今年の12月からは4価に変更となるそうです。

疫学データの変化をみるために、ベースラインとしてワクチン導入前の世代での罹患状況を調査した報告。

Epidemiology of, and behavioural risk factors for, sexually transmitted human papillomavirus infection in men and women in Britain
Sex Transm Infect doi:10.1136/sextrans-2011-050306

子宮頸がんや他のがんに影響するハイリスクHPV(HR-HPV)、コンジローマの原因となるLower-risk HPVの流行状況を調査。

データは、British National Survey of Sexual Attitudes and Lifestylesに199-2001年に参加した人で、性交経験のある男女18−44歳の約半数が協力をし、サンプルとして尿を提供しました。

それをもとに遺伝子型を検討したところ、なんらかのHPVのDNAが検出されたのは女性の29%(95% CI 26.7% −31.3%)、男性の17.4% (95% CI 15.1% − 19.8%)。

13あるハイリスクHPVのどれかが検出された女性は15.9% (95% CI 14.1% −17.8%) 、男性の9.6% (95% CI 8.0% − 11.6%)でした。

ワクチンに含まれている16/18は女性の5.5% (95% CI 4.5% - 6.8%)、男性の3.0% (95% CI 2.1% - 4.3%)。

6/11 については女性の4.7% (95% CI 1.8% - 5.9%) 、男性の 2.2% (95% CI 1.5% - 3.1%)でした。

多変量解析の結果、HR-HPVに関連しているのは、若い女性では「新しいパートナーの数」、「未婚」、「同時期に他のパートナーがいること」、男性では「コンドームを使用しない性的パートナーの数」「最初の性交の年齢」でした。

男女ともにHR-HPVはリスクのある生行動と関連していました。
女子へのワクチン導入後のHPVプレれンスと型の分布の監視が重要、、、ということです。

がんのリスクは感染状態が継続することが問題なので長期フォローが大切ではありますが、このようなスナップショットの調査でも、その地域の有病率やウイルス型のトレンドはみえますね。

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