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Channel: 感染症診療の原則
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沖縄県立中部病院 Day#昨日

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今日の症例は上記写真から想像されるHIVの症例ではありません。なお個人情報保護のために一部、スライド内容変更あります。

96歳女性 主訴:発熱

現病歴:
入院4日前より1日4,5回軟便を認めていた。
入院2日前より水様便を認め、当院救急センター受診。
整腸剤にて帰宅。その後普通便となった。
来院当日、38.5°C発熱、当院救急センター再来。
(なんだか、1例目と同じ・・?)

既往歴:
# 骨髄異形成症候群疑い
# CABG後
# 直腸癌(粘膜下浸潤見つかったが手術施行せず、半年に1回CFフォロー)
# 腎盂腎炎 血液培養より大腸菌
# 胆管炎 血液培養よりC. perfringens。腹腔鏡下胆嚢摘出術後
# 高血圧症、脂質異常症

内服薬:
沢山。新しい変更は無い。

入院時現症:
• 意識レベル 清明
・VSs:BP:110/60 mmHg、P:94/分(整)、R:24/分、T:37.3°C
• 頭頸部: 眼瞼結膜蒼白・黄染なし、口腔内総入れ歯、甲状腺腫大なし
• 心音: 整、2RSB最強点とする駆出性雑音 LevineII°、頸部に放散
• 呼吸音: 両側背部にfine crackle聴取
• 右季肋部に軽度圧痛あり、右CVA:mild tendernessあり

検査:
・血算:正常白血球、Hb&血小板↓
・尿グラム染色検査:白血球(-) GNR(2+)後に大腸菌と判明(超感受性)
・腹部超音波:水腎症(-)、結石(-)、腹水無し
・心電図:異常なし
・血糖:150、HbA1C:7.4%。微量アルブミン尿(2+)


編集長の思考(1)
・これは例によって下痢はRed herringだろう。だいたい下痢が治まっているのに発熱が悪化している。下痢は別の病態が開始した時の生体反応かな・・。尿路感染症もRed herringだろう。椎◎先生がUTI出すわけがないから・・。
・高齢+MDSだから、細胞性免疫障害+好中球減少症と考える。そうすると発熱+正常白血球数も肯ける。正常白血球数は白血球上昇と同義くらいの意味。

編集長の思考(2)
・アルブミンが出るだけの腎病変が生まれるだけのDMがある。これで「different ball game」になっている。病変も臨床的に表現されている場所以外にも隠れている可能性大。微生物名も通常のPyogenicなものだけではないだろう。
・微生物名はMDS+高齢+DMにより、好中球減少症や細胞性免疫障害+好中球減少症にまつわる連中に広げないとならない。

入院後経過:
・セフェム系、そしてABPCでいったん解熱。しかしABPCに変更後、発熱悪化。
・本人:「熱出てるけど〜元気さ〜」 「右の腰が引っかかる感じがするさ・・・」
「そういえば、お腹がポンポンするさ〜」
・CTで腹水++!!(入院時、超音波で無かったのに・・)
・腹水穿刺:WBC:1150/μ, Neutro:1%, Lympho:59%, Alb:1.7g/dl (serum alb 2.3mg/dl, SAAG 0.6g/dl → portal hypertension unlikely)
ADA 65 IU/L, 腹水細胞診×3 陰性, 結核PCR(-)
・骨髄:結核PCR(-)、抗酸菌(−)
・ツ反(−)、QF(+)、ESR:138/mm
・腹腔鏡所見は以下



・腹水で抗酸菌蛍光染色(+)、結核PCR(-)、腹膜生検組織には肉芽腫

編集長の思考(3)
・ここで普通ならば結核だが、椎◎達は危険すぎる。
・ここは非結核性抗酸菌も遡上に挙げよう。ADAなんかに負けないぞ。なんだろうRapid grower? 

入院後経過(2):
•抗酸菌培養:喀痰、腹水×4、尿、静脈、骨髄、腹膜。
・結局:腹膜と腹水から結核菌(+)

結局、Common thing is Commonか・・

プレゼンのために石垣島から飛んできてくれた広◎先生、ありがとうございました。

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