感染症(だけじゃないですが)では、発生頻度、率を考えないといけないことが多いですね。
その数字は何を意味しているのか? わからないまま書くと誤解や誤報につながります。
調査対象は誰? 回答率や回収率は? その母集団は?
一般化することができるの(代表性はあるの)?限界は?です。
字数が限られる原稿だといろいろな情報が落ちます。
NHKのニュースにそのミスリードぶりを見たので紹介します。
一般化して対策を強調したかったのかもしれませんが…
「若い妊婦ほど風疹の抗体不十分」
という記事です。NHKのニュースは1週間で消えてしまうので、関心ある方は急いでリンク先で読んでください(苦笑)。
基礎知識ゼロの人がニュースタイトルだけ読むと、そりゃたいへんだー となります。
ここで中途半端な情報だけで判断する人も出てきます。
「えー10代って2回接種世代じゃないの?」「ワクチン2回うっているのに不十分ってどういうこと?」
「そのワクチン不良品じゃ?」
「意味ないんじゃ?」
です。
タイトルを読んだ後、本文を読むひともいます(タイトルだけで誤解して終わるひともいますが)
2回の定期接種が行われているはずの10代から20代前半の若い妊婦ほど抗体が十分にない割合が高いことが妊娠中の女性2万人余りを対象にした調査で分かりました。
NHKが注目しているサンプルは10代から20代前半の若い妊婦。
女性の、特定年齢の、「しかも妊娠している人」です。
現在、最初の妊娠が30歳前後ですから、全体からみると「かなり早く妊娠するグループ」になります。
若い妊婦、早い妊娠の特徴(妊娠に至る背景、妊娠中の健康、その後の育児等)は、遅いグループなどと比較をするとわかります。
妊娠中の女性2万人が対象とのことですが、現在、一年あたり生まれる赤ちゃんは約100万人。
(人口動態統計でみると、15-19歳での出産は35000件前後:平成21年)
どのようなサンプリング法での調査か情報がないので、特定の病院でお産をする2万人なのか、特定の地域の話なのかわかりません。
個人の血液データですから、どのように集めたのかでバイアスがいろいろかかってきます。
しかしNHKニュースにはそのことはなく、なんという調査かも書かれていませんし、ソースリンクもありません。
ここでわかるサンプルの特徴は「平均よりうんと早く妊娠をする背景のあった人たち」だけ。
専門家は若い妊婦の接種率が低いか抗体ができていないおそれがあるとみて、流行を防ぐ対策の必要性を訴えています。
「若い妊婦の接種率が低い、抗体ができてない」かは、接種歴と合わせて見ないといけないわけですが、そのようなデータがあわせてとれるのか?ということが課題になります。
ワクチンを2回接種をしている10代の、そのうちの妊婦で接種の効果が低いとしたらかなりいろいろ問題分析が必要になります。
一方、接種してない群ならあまり疑問はありません。
なぜ接種してないのだろう?そんな人いるの?と疑問な方は、産婦人科や思春期保健、望まない妊娠研究等をしている人たちに「若年妊婦」について聞いて見てください(ネット検索でも勉強は可能ですが)。
全員がそうということではありませんが、若年妊娠の家族背景や社会経済ステータス、様々なリスク因子がこれまでの調査研究で指摘されているからです。
NHKのこの1文は正直何がいいたいのかわかりません。
流行を防ぐ対策の必要性や急いだ方が良いということと、若年妊娠する人たちのことを無理につなげなくてもいいのでは?と思うわけです。
先に結論だけいいますと、10代で婚姻届を出す女性の8割が先に妊娠です(寿婚、でき婚、おめでた婚などなど)。
20代前半は6割です。
ですから、対策を急ぐ、、、ならば、文科省と連携をして、「妊娠前に予防接種、免疫確認」とか具体的に教えることが重要になります。
性教育とか、保健、家庭科などで教えるとよいのではないでしょうか。
国はワクチンの接種率を上げようと平成18年度以降、定期接種の回数を1回から2回に増やしていて、この対象となる現在23歳以下の男女は抗体が十分にあると考えられていました。
0歳から23歳のうち、1期と2期に2回接種している層での接種率は高いことがわかっています。
が、3期はまだしも4期の接種率は都市部を中心にとても低く、この3期4期世代のケアをしないと、2013年と同じことが起こるリスクが残ることは、多くの専門家が指摘しているところです。
なので、「十分抗体があると考えられていました」の根拠が不明です。
そもそも主語がだれかよくわかりませんが。
厚労省のHPなどで接種率を確認しなかったのでしょうか。
国立感染所研究所のHPにある流行予測調査のデータは、これまた血液サンプルが保健所や行政の関係者(とその家族)だったりして、平均よりも抗体について高い値が出るだろうと推定されています。
国民の平均値ではありません。
医療関係者やその家族なら、他の人よりたかくでても疑問はありません。
選択バイアスをさしひいてみないといけない数字なので、そのあたり丁寧に調べて検討をしないと免疫がどれくらいある、というようなことは語りにくわけです。
ここは、あらためて調査をする気はないのだとしたら、高いはずだという思い込み=確証バイアスでワクチンの施策を立てるのではなく、これよりは低いだろうと想定して、少しでも広く救済できるよう考えるべきです。
当事者や胎児、乳幼児のことを考えない人たちがこういったリスクを軽視しているとしたら怖いですね 。
自分の身内や知り合いだったらどうかと、真剣に考えていただきたいです。
ところが、国立成育医療研究センターの久保隆彦医師らのグループが全国の妊娠中の女性2万人余りを調べた結果、このうち10代の妊婦では抗体が十分にない人が4割に上っていました。
2万人は全国からのサンプリングだそうです。
となると東京の、妊婦健診に一回もこないような10代のハイリスク妊婦だけを受けている病院の話ということでははなく、いろいろな病院でのデータと想像できます。が、この記事ではよくわかりません。
(本日の風しんに関する小委員会でも、厚労省結核感染症課の担当者も、産婦人科医として参加している平原委員もこの調査の内容ことを知らないと言っていました)
メディア記事としては、この各論に注目するなら、中学や高校での性教育や健康教育で、妊娠前の予防接種が重要と、女性やパートナーが認識していることが大切と、提案まであればよかったですね。
その数字は何を意味しているのか? わからないまま書くと誤解や誤報につながります。
調査対象は誰? 回答率や回収率は? その母集団は?
一般化することができるの(代表性はあるの)?限界は?です。
字数が限られる原稿だといろいろな情報が落ちます。
NHKのニュースにそのミスリードぶりを見たので紹介します。
一般化して対策を強調したかったのかもしれませんが…
「若い妊婦ほど風疹の抗体不十分」
という記事です。NHKのニュースは1週間で消えてしまうので、関心ある方は急いでリンク先で読んでください(苦笑)。
基礎知識ゼロの人がニュースタイトルだけ読むと、そりゃたいへんだー となります。
ここで中途半端な情報だけで判断する人も出てきます。
「えー10代って2回接種世代じゃないの?」「ワクチン2回うっているのに不十分ってどういうこと?」
「そのワクチン不良品じゃ?」
「意味ないんじゃ?」
です。
タイトルを読んだ後、本文を読むひともいます(タイトルだけで誤解して終わるひともいますが)
2回の定期接種が行われているはずの10代から20代前半の若い妊婦ほど抗体が十分にない割合が高いことが妊娠中の女性2万人余りを対象にした調査で分かりました。
NHKが注目しているサンプルは10代から20代前半の若い妊婦。
女性の、特定年齢の、「しかも妊娠している人」です。
現在、最初の妊娠が30歳前後ですから、全体からみると「かなり早く妊娠するグループ」になります。
若い妊婦、早い妊娠の特徴(妊娠に至る背景、妊娠中の健康、その後の育児等)は、遅いグループなどと比較をするとわかります。
妊娠中の女性2万人が対象とのことですが、現在、一年あたり生まれる赤ちゃんは約100万人。
(人口動態統計でみると、15-19歳での出産は35000件前後:平成21年)
どのようなサンプリング法での調査か情報がないので、特定の病院でお産をする2万人なのか、特定の地域の話なのかわかりません。
個人の血液データですから、どのように集めたのかでバイアスがいろいろかかってきます。
しかしNHKニュースにはそのことはなく、なんという調査かも書かれていませんし、ソースリンクもありません。
ここでわかるサンプルの特徴は「平均よりうんと早く妊娠をする背景のあった人たち」だけ。
専門家は若い妊婦の接種率が低いか抗体ができていないおそれがあるとみて、流行を防ぐ対策の必要性を訴えています。
「若い妊婦の接種率が低い、抗体ができてない」かは、接種歴と合わせて見ないといけないわけですが、そのようなデータがあわせてとれるのか?ということが課題になります。
ワクチンを2回接種をしている10代の、そのうちの妊婦で接種の効果が低いとしたらかなりいろいろ問題分析が必要になります。
一方、接種してない群ならあまり疑問はありません。
なぜ接種してないのだろう?そんな人いるの?と疑問な方は、産婦人科や思春期保健、望まない妊娠研究等をしている人たちに「若年妊婦」について聞いて見てください(ネット検索でも勉強は可能ですが)。
全員がそうということではありませんが、若年妊娠の家族背景や社会経済ステータス、様々なリスク因子がこれまでの調査研究で指摘されているからです。
NHKのこの1文は正直何がいいたいのかわかりません。
流行を防ぐ対策の必要性や急いだ方が良いということと、若年妊娠する人たちのことを無理につなげなくてもいいのでは?と思うわけです。
先に結論だけいいますと、10代で婚姻届を出す女性の8割が先に妊娠です(寿婚、でき婚、おめでた婚などなど)。
20代前半は6割です。
ですから、対策を急ぐ、、、ならば、文科省と連携をして、「妊娠前に予防接種、免疫確認」とか具体的に教えることが重要になります。
性教育とか、保健、家庭科などで教えるとよいのではないでしょうか。
国はワクチンの接種率を上げようと平成18年度以降、定期接種の回数を1回から2回に増やしていて、この対象となる現在23歳以下の男女は抗体が十分にあると考えられていました。
0歳から23歳のうち、1期と2期に2回接種している層での接種率は高いことがわかっています。
が、3期はまだしも4期の接種率は都市部を中心にとても低く、この3期4期世代のケアをしないと、2013年と同じことが起こるリスクが残ることは、多くの専門家が指摘しているところです。
なので、「十分抗体があると考えられていました」の根拠が不明です。
そもそも主語がだれかよくわかりませんが。
厚労省のHPなどで接種率を確認しなかったのでしょうか。
国立感染所研究所のHPにある流行予測調査のデータは、これまた血液サンプルが保健所や行政の関係者(とその家族)だったりして、平均よりも抗体について高い値が出るだろうと推定されています。
国民の平均値ではありません。
医療関係者やその家族なら、他の人よりたかくでても疑問はありません。
選択バイアスをさしひいてみないといけない数字なので、そのあたり丁寧に調べて検討をしないと免疫がどれくらいある、というようなことは語りにくわけです。
ここは、あらためて調査をする気はないのだとしたら、高いはずだという思い込み=確証バイアスでワクチンの施策を立てるのではなく、これよりは低いだろうと想定して、少しでも広く救済できるよう考えるべきです。
当事者や胎児、乳幼児のことを考えない人たちがこういったリスクを軽視しているとしたら怖いですね 。
自分の身内や知り合いだったらどうかと、真剣に考えていただきたいです。
ところが、国立成育医療研究センターの久保隆彦医師らのグループが全国の妊娠中の女性2万人余りを調べた結果、このうち10代の妊婦では抗体が十分にない人が4割に上っていました。
2万人は全国からのサンプリングだそうです。
となると東京の、妊婦健診に一回もこないような10代のハイリスク妊婦だけを受けている病院の話ということでははなく、いろいろな病院でのデータと想像できます。が、この記事ではよくわかりません。
(本日の風しんに関する小委員会でも、厚労省結核感染症課の担当者も、産婦人科医として参加している平原委員もこの調査の内容ことを知らないと言っていました)
メディア記事としては、この各論に注目するなら、中学や高校での性教育や健康教育で、妊娠前の予防接種が重要と、女性やパートナーが認識していることが大切と、提案まであればよかったですね。