今、うける質問の多くは
「HPVワクチン接種したほうがいいですか」
「HPVワクチンは今後どうなるんでしょうねえ」ですが、
保護者の方か多いのは、1回あるいは2回目を接種して、ニュースやその他の事情でそのあと接種していなくて間があいちゃったんですけどこの後どうすればいいんですか?です。
積極的には勧奨しない資料を読んでも、年度を超えてしまった場合に定期接種として補助してくれるのか、1回目からうんと間があいてしまった場合にどうすればいいのかということは書いていません。
実は、海外では製薬会社の提案するスケジュールとは別のスケジュールに独自に変えているところもあります。
カナダです。
まず2010年に変更、そして最新の変更は2013年9月からです。3回目をグレード9(日本の中学3年生)で接種、となりました。もちろん効果も検討済み。
Human Papillomavirus (HPV) Vaccine Extended Schedule for Girls between the ages of 9-13 years. Health Care Professional Q&A #1
医療者のためのQ&Aもあって親切です。
2013年8月の話題ですが、、、
米国では2006年から2013年の7年年ちょっとのデータがまとまったのでMMWRで報告されました。
MMWR 2013年7月26日
接種率はまだまだ低いですが、少しずつあがっていることと、男子への接種が今後どうなるか。米国とオーストラリアが公費で支援をしているので注目です。
2013年3月までにガーダシルが5600万接種。サーバリックスは61万接種。以下は基本的にガーダシルについての検討。
有害事象報告は21,194例、このうち8%弱が重篤なもの。2008年から年別にみると、重篤率は2008年の12%から毎年減少。
市販後の調査結果として、no serious safety concerns というまとめ。
オーストラリア政府 TGA(Therapeutic Goods Administration)
2013年5月16日 更新情報
安全性・副反応についてのレポート
約600万ドーズの接種で、2010年6月17日までに関連性がうたがわれた副反応は1,534例。
接種部位の痛み 294 (19.1%)
頭痛 316 (20.5%)
めまい 214 (13.9%)
吐き気 237 (15.4%)
疲労 152 (10%)
発熱 148 (9.6%)
失神 134 (8.7%)
気分不快 123 (8.0%)
嘔吐 123 (8.0%)
後ろに書いた日本の副反応に関連するような記述もあったのでペーストしておきます。
The TGA is also aware of a small number of cases in which neurological symptoms, similar to those experienced in patients with a demyelinating disorder such as multiple sclerosis, have been reported shortly after HPV vaccination. In some of these cases symptoms were present prior to the vaccination. These reports have been actively investigated by an independent panel of clinical and scientific experts in immunology, neurology, epidemiology and paediatrics. Based on the available reported cases, the incidence of demyelinating disorders amongst recipients of Gardasil is not demonstrably higher than would be expected to occur by chance.
In addition to the TGA, both the US Food and Drug Administration (FDA) and the European Medicines Agency (EMEA) have assessed Gardasil as safe and effective.
2013年4月18日にBMJに掲載された接種世代でのコンジローマの激減も、4価HPVワクチンの成果として評価されています。
同時期にクラミジアは減ってないけどコンジローマは減っている。
接種した世代の男性は減っているが、MSM/ゲイ男性では減ってない(集団免疫の防御の外・・)
Genital warts in young Australians five years into national human papillomavirus vaccination programme: national surveillance data
オランダRIVM(日本の感染研のような組織)による予防接種による有害事象の年次報告(2013年)
HPVワクチンは52ページと109ページ。
カナダはCanadian Adverse Events Following Immunization Surveillance System (CAEFISS)によるモニタリング。
今年の11月にボストンで開かれる米国の公衆衛生関連のカンファレンスで報告されるカナダでのモニタリング実績
2006年6月から2011年12月までに約300万接種、接種後の有害事象報告は1389例。51例(3.7%)が重篤のカテゴリー。
日本は、「積極的な接種勧奨をしません」その間に調査をして秋に判断します、という状況です。
現在あるHPVワクチンは2種類です。2価のサーバリックスと4価のガーダシル。
いまでもメディアはHPVワクチンを「子宮けいがんワクチン」と呼んでいます。
そして子宮の話しかでてきません。
副反応報道では、そもそも別の製品なので2種類あるワクチンをいっしょくたに語るのはどうなんだろう?という疑問はないのでしょうか効果や副反応も、同じ抗生物質でも一つ一つ別に考えたり論じられています。
HPVワクチンは日本の場合は2種類が個人の選択になっています。
が、他の国と違ってサーバリックスが先行しました。
多くの国は予防接種プログラムとしてガーダシルを採用し、サーバリックスが採用されたり先行したのは英国、オランダ、日本と、限られたところの選択でしたので(英国は昨年ガーダシルに変更)、他国との比較でも注意が必要です。
おとといの新聞記事では、厚労大臣に定期接種からはずすこと、治療費の助成を求めたという記載がありました。
健康被害の救済と、ワクチンプログラムはそもそも別の話です。
参考:毎日新聞 8月23日 「子宮頸がんワクチン:女子生徒ら 厚労相に接種中止要望」
毎日と読売が連載記事を組んでいました。
毎日新聞の連載
7月23日 子宮頸がんとワクチンを考える:/1 副反応情報の収集を急げ
7月24日 子宮頸がんとワクチンを考える:/2 検診と接種、両方で予防
7月25日 子宮頸がんとワクチンを考える:/3 接種時期で救済に差
7月26日 子宮頸がんとワクチンを考える:/4止 「推奨中止」なぜ日本だけ?
読売新聞の連載
8月6日 子宮頸がんワクチン(1)激しい副作用報告相次ぐ
8月7日 子宮頸がんワクチン(2)任意接種 遠い救済措置
8月8日 子宮頸がんワクチン(3)痛みの原因解明へ 研究班
8月9日 子宮頸がんワクチン(4)接種後も大切な検診
読売新聞では腫瘍内科医がポイントを解説 「がんと向き合う 〜腫瘍内科医・高野利実の診察室〜」
子宮頸がんワクチンを考えるポイント
子宮頸がんワクチン 最善の選択とは
検査の結果はそもそも100%ではないですが、HPV検査の導入は費用対効果だけなく、結果を言われる人たちの心理的負担含めて考える必要があります。
コンドームでも100%は防げない、検査でも100%確実ということではない、としたらワクチンは選択肢としてはかなり重要なポジションになります。
よく、検査をする場にいない、結果を伝えたり患者を診ているわけでもない人たちが、子宮頸がんは健診でOKだ的なことを言いますが根拠がどこにあるのかよくわかりません。
若い世代での受診率をあげるためには、夜間や土日の対応、自己採取式や助産師(女性)スタッフに採取を許可するなどの工夫もあってもいいのではないかとおもいます。
ちなみに、日本人は検査を受ける人が少ないといわれがちですが、何を見て言っているのかということは常に確認が必要です。
使うデータの1次情報をみることが重要です。
例えば、この表の右側が重要。 2年に一回検査を受けていますか?の回答
平成22年 ○子宮がん検診
・20歳以上の者の過去2年間の受診率は、32.0%
・40〜44歳の受診率が最も高く(48.4%)、30〜54歳で40%以上の受診率
・85歳以上の受診率が最も低く(2.3%)、80歳以上の受診率は10%に至らない
・20〜24歳の受診率は、前回比182.0%に上昇(過去1年間の検診受診率)
表をみるとわかりますが、70代とか80代の女性を分母に入れると全体の受診率が大きくさがってしまいます。
そもそも人口がだいぶちがいますから。
多くの国では子宮頸がん検診の最終年齢も決まっており、高齢の女性は分母に入っていません。
10代や20代前半では性交をしていない/して間もない人もいますので、受けなくてもいい人たちも分母にまじっています。
数字を語る場合は、データの取り方、分母分子情報に配慮して数字を扱わないと、ですね。
平成25年度の国民生活基礎調査の結果ではどうなるでしょうね。
「HPVワクチン接種したほうがいいですか」
「HPVワクチンは今後どうなるんでしょうねえ」ですが、
保護者の方か多いのは、1回あるいは2回目を接種して、ニュースやその他の事情でそのあと接種していなくて間があいちゃったんですけどこの後どうすればいいんですか?です。
積極的には勧奨しない資料を読んでも、年度を超えてしまった場合に定期接種として補助してくれるのか、1回目からうんと間があいてしまった場合にどうすればいいのかということは書いていません。
実は、海外では製薬会社の提案するスケジュールとは別のスケジュールに独自に変えているところもあります。
カナダです。
まず2010年に変更、そして最新の変更は2013年9月からです。3回目をグレード9(日本の中学3年生)で接種、となりました。もちろん効果も検討済み。
Human Papillomavirus (HPV) Vaccine Extended Schedule for Girls between the ages of 9-13 years. Health Care Professional Q&A #1
医療者のためのQ&Aもあって親切です。
2013年8月の話題ですが、、、
米国では2006年から2013年の7年年ちょっとのデータがまとまったのでMMWRで報告されました。
MMWR 2013年7月26日
接種率はまだまだ低いですが、少しずつあがっていることと、男子への接種が今後どうなるか。米国とオーストラリアが公費で支援をしているので注目です。
2013年3月までにガーダシルが5600万接種。サーバリックスは61万接種。以下は基本的にガーダシルについての検討。
有害事象報告は21,194例、このうち8%弱が重篤なもの。2008年から年別にみると、重篤率は2008年の12%から毎年減少。
市販後の調査結果として、no serious safety concerns というまとめ。
オーストラリア政府 TGA(Therapeutic Goods Administration)
2013年5月16日 更新情報
安全性・副反応についてのレポート
約600万ドーズの接種で、2010年6月17日までに関連性がうたがわれた副反応は1,534例。
接種部位の痛み 294 (19.1%)
頭痛 316 (20.5%)
めまい 214 (13.9%)
吐き気 237 (15.4%)
疲労 152 (10%)
発熱 148 (9.6%)
失神 134 (8.7%)
気分不快 123 (8.0%)
嘔吐 123 (8.0%)
後ろに書いた日本の副反応に関連するような記述もあったのでペーストしておきます。
The TGA is also aware of a small number of cases in which neurological symptoms, similar to those experienced in patients with a demyelinating disorder such as multiple sclerosis, have been reported shortly after HPV vaccination. In some of these cases symptoms were present prior to the vaccination. These reports have been actively investigated by an independent panel of clinical and scientific experts in immunology, neurology, epidemiology and paediatrics. Based on the available reported cases, the incidence of demyelinating disorders amongst recipients of Gardasil is not demonstrably higher than would be expected to occur by chance.
In addition to the TGA, both the US Food and Drug Administration (FDA) and the European Medicines Agency (EMEA) have assessed Gardasil as safe and effective.
2013年4月18日にBMJに掲載された接種世代でのコンジローマの激減も、4価HPVワクチンの成果として評価されています。
同時期にクラミジアは減ってないけどコンジローマは減っている。
接種した世代の男性は減っているが、MSM/ゲイ男性では減ってない(集団免疫の防御の外・・)
Genital warts in young Australians five years into national human papillomavirus vaccination programme: national surveillance data
オランダRIVM(日本の感染研のような組織)による予防接種による有害事象の年次報告(2013年)
HPVワクチンは52ページと109ページ。
カナダはCanadian Adverse Events Following Immunization Surveillance System (CAEFISS)によるモニタリング。
今年の11月にボストンで開かれる米国の公衆衛生関連のカンファレンスで報告されるカナダでのモニタリング実績
2006年6月から2011年12月までに約300万接種、接種後の有害事象報告は1389例。51例(3.7%)が重篤のカテゴリー。
日本は、「積極的な接種勧奨をしません」その間に調査をして秋に判断します、という状況です。
現在あるHPVワクチンは2種類です。2価のサーバリックスと4価のガーダシル。
いまでもメディアはHPVワクチンを「子宮けいがんワクチン」と呼んでいます。
そして子宮の話しかでてきません。
副反応報道では、そもそも別の製品なので2種類あるワクチンをいっしょくたに語るのはどうなんだろう?という疑問はないのでしょうか効果や副反応も、同じ抗生物質でも一つ一つ別に考えたり論じられています。
HPVワクチンは日本の場合は2種類が個人の選択になっています。
が、他の国と違ってサーバリックスが先行しました。
多くの国は予防接種プログラムとしてガーダシルを採用し、サーバリックスが採用されたり先行したのは英国、オランダ、日本と、限られたところの選択でしたので(英国は昨年ガーダシルに変更)、他国との比較でも注意が必要です。
おとといの新聞記事では、厚労大臣に定期接種からはずすこと、治療費の助成を求めたという記載がありました。
健康被害の救済と、ワクチンプログラムはそもそも別の話です。
参考:毎日新聞 8月23日 「子宮頸がんワクチン:女子生徒ら 厚労相に接種中止要望」
毎日と読売が連載記事を組んでいました。
毎日新聞の連載
7月23日 子宮頸がんとワクチンを考える:/1 副反応情報の収集を急げ
7月24日 子宮頸がんとワクチンを考える:/2 検診と接種、両方で予防
7月25日 子宮頸がんとワクチンを考える:/3 接種時期で救済に差
7月26日 子宮頸がんとワクチンを考える:/4止 「推奨中止」なぜ日本だけ?
読売新聞の連載
8月6日 子宮頸がんワクチン(1)激しい副作用報告相次ぐ
8月7日 子宮頸がんワクチン(2)任意接種 遠い救済措置
8月8日 子宮頸がんワクチン(3)痛みの原因解明へ 研究班
8月9日 子宮頸がんワクチン(4)接種後も大切な検診
読売新聞では腫瘍内科医がポイントを解説 「がんと向き合う 〜腫瘍内科医・高野利実の診察室〜」
子宮頸がんワクチンを考えるポイント
子宮頸がんワクチン 最善の選択とは
検査の結果はそもそも100%ではないですが、HPV検査の導入は費用対効果だけなく、結果を言われる人たちの心理的負担含めて考える必要があります。
コンドームでも100%は防げない、検査でも100%確実ということではない、としたらワクチンは選択肢としてはかなり重要なポジションになります。
よく、検査をする場にいない、結果を伝えたり患者を診ているわけでもない人たちが、子宮頸がんは健診でOKだ的なことを言いますが根拠がどこにあるのかよくわかりません。
若い世代での受診率をあげるためには、夜間や土日の対応、自己採取式や助産師(女性)スタッフに採取を許可するなどの工夫もあってもいいのではないかとおもいます。
ちなみに、日本人は検査を受ける人が少ないといわれがちですが、何を見て言っているのかということは常に確認が必要です。
使うデータの1次情報をみることが重要です。
例えば、この表の右側が重要。 2年に一回検査を受けていますか?の回答
平成22年 ○子宮がん検診
・20歳以上の者の過去2年間の受診率は、32.0%
・40〜44歳の受診率が最も高く(48.4%)、30〜54歳で40%以上の受診率
・85歳以上の受診率が最も低く(2.3%)、80歳以上の受診率は10%に至らない
・20〜24歳の受診率は、前回比182.0%に上昇(過去1年間の検診受診率)
表をみるとわかりますが、70代とか80代の女性を分母に入れると全体の受診率が大きくさがってしまいます。
そもそも人口がだいぶちがいますから。
多くの国では子宮頸がん検診の最終年齢も決まっており、高齢の女性は分母に入っていません。
10代や20代前半では性交をしていない/して間もない人もいますので、受けなくてもいい人たちも分母にまじっています。
数字を語る場合は、データの取り方、分母分子情報に配慮して数字を扱わないと、ですね。
平成25年度の国民生活基礎調査の結果ではどうなるでしょうね。