感染研の風疹の速報値が減ってきているという発表があったためか、メディアの記事が「油断しないで」というタイトルになっていました。
誰が誰に油断するなといっているのか。具体的に何をしろといっているのか。この先のことが関係者に伝わることが重要です。
さて。中長期的プランを対策の専門家が複数シナリオで描いていないと今後何をすればいいのかを見誤るわけですが、
もっとも有効とわかっている対策を初期にしなかったため、だらだら拡大しました。
2012年にアクションをしなかったことをとても後悔・反省しています。
地域拡大が一番怖かったのですが、産業中心地と、それをつなぐ電車の路線にそって広がっていったわけです。
地域という平面でもひろがりましたが、当初は20-40代の男性中心であったのが女性にも拡大していきました。
そして、女性が感染したことがチャンネルとなり、ワクチンを接種していない乳幼児などにも拡散しました。
東京都のグラフがそれを説明します。
横軸が時間、縦軸が年齢、男性は青、女性が赤です。
ぎゃあ!と悲劇的になる前に。
風疹は幸いワクチンがある感染症ですから、ワクチンを感受性者に緊急接種をし、発症した人は自宅にいてもらい他の人と接触をさけてもらうのがゴールドスタンダードです。
2007年、大学生を中心に拡大していった麻疹のときは、大学は閉鎖、部活動をしたいならワクチン接種をしてから、大学で集団接種、、といったことをやって、文科省をまきこんでの対策を必死にやるなかで、麻疹のアウトブレイクは終息していきました。
そこでほっとして手をぬいたらたいへんなことになっていたとおもいます。
種火が残っていると再度火事が広がる可能性があるので、その後5年間、臨時で中1と高3相当年齢には公費でMRの2回目の接種をしました(残念ながら接種率は高くありません)。
ゴールドスタンダードをやれば減らせる(日本だってできるよ!)のグラフがこちらです。
やれるのにやらないのは「不作為」といいます。
やらないとどうなるか、の見通しを「予見可能性」といいます。
みなさん、この先のことを考え、今できることをやりましょう。
風疹は報告されていないなーと思いますので、周囲に報告漏れがありそうでしたら、ぜひ「届け出」を遅れでもいいので出しましょうとお伝えください。「遅れ報告」としてカウントされます。
流行は地域流行しないレベルにまで減らして、対策として平時にもどれるようになることが大事です。
この責任者は誰か?です。国レベルで地域レベルで。
ぜひお考えください。
風疹の数が減ってきてよかったね、と思うかもしれませんが、風疹の場合は「そのあとのストーリーが待っています。
それは、大流行期に妊娠して、風疹ウイルスに感染した女性から生まれてくる子供たちの健康問題です。
時差があります。ベトナムとイタリアのグラフをご覧ください。
おなかの中で死んでしまう赤ちゃん、流産となってしまった赤ちゃんがいるなかで、がんばって生まれてくる赤ちゃんに健康問題があるならば、救命や早期治療、介入をして支援する必要があります。
それをどうやってするのかという準備が産婦人科や小児科医にあるのか?周囲にいるドクターたちにきいてみてください。
もともとお母さんが風疹に罹患したという記録があれば、心構えもできるかもしれませんが、自覚症状がなかったようなケースでは、子どもの異常が診断の発端になります。
先日お会いしたお母さんは、8月に出産。妊娠中に自覚症状はなかったそうです。11週のときのHI価は32でした。
(症例提示の許可をえています)
緊急帝王切開で生まれた赤ちゃんは、その後しばらく風疹の感染の影響を受けていることは医師にもお母さんにも気づかれませんでした。
しかし、ある症状をきっかけにお母さんが「おかしい」と気づいて医師に相談したところからはじまります。
そして血液検査をしたのが5月。このとき赤ちゃんは陽性、6月は血液は陰性になっていましたがノドの検体が陽性でした。
(時期を逃すと診断できなくなってしまう可能性もあります)
先天性風疹症候群の情報は多様であり、赤ちゃんが皆、心臓の異常や聴覚障害という典型的な症状を早期から呈するわけではありません。
大流行をした地域では、新生児訪問をする助産師などにも、保護者のコメントに注意するような働きかけが重要です。
ウイルス感染によってその命が途絶えてしまう赤ちゃん、生まれてからも手術や治療、訓練に耐えなくてはいけない赤ちゃんを減らすためには、地域流行をとめるしかありません。
減ってきたからと対策の手を緩めると感染症は再度増加することがあります。
こちらはニューヨークの結核のグラフです。
ある時期まで減りましたが、予算と人をカットしたら再度流行。同じレベルに戻すまでに余計にお金がかかった、というケースです。
2004年に懸念したことが2013年におきてしまったような、専門家や行政の不作為による失敗を繰り返さないよう、なすべきことは何なのか。ぜひお考えください。
誰が誰に油断するなといっているのか。具体的に何をしろといっているのか。この先のことが関係者に伝わることが重要です。
さて。中長期的プランを対策の専門家が複数シナリオで描いていないと今後何をすればいいのかを見誤るわけですが、
もっとも有効とわかっている対策を初期にしなかったため、だらだら拡大しました。
2012年にアクションをしなかったことをとても後悔・反省しています。
地域拡大が一番怖かったのですが、産業中心地と、それをつなぐ電車の路線にそって広がっていったわけです。
地域という平面でもひろがりましたが、当初は20-40代の男性中心であったのが女性にも拡大していきました。
そして、女性が感染したことがチャンネルとなり、ワクチンを接種していない乳幼児などにも拡散しました。
東京都のグラフがそれを説明します。
横軸が時間、縦軸が年齢、男性は青、女性が赤です。
ぎゃあ!と悲劇的になる前に。
風疹は幸いワクチンがある感染症ですから、ワクチンを感受性者に緊急接種をし、発症した人は自宅にいてもらい他の人と接触をさけてもらうのがゴールドスタンダードです。
2007年、大学生を中心に拡大していった麻疹のときは、大学は閉鎖、部活動をしたいならワクチン接種をしてから、大学で集団接種、、といったことをやって、文科省をまきこんでの対策を必死にやるなかで、麻疹のアウトブレイクは終息していきました。
そこでほっとして手をぬいたらたいへんなことになっていたとおもいます。
種火が残っていると再度火事が広がる可能性があるので、その後5年間、臨時で中1と高3相当年齢には公費でMRの2回目の接種をしました(残念ながら接種率は高くありません)。
ゴールドスタンダードをやれば減らせる(日本だってできるよ!)のグラフがこちらです。
やれるのにやらないのは「不作為」といいます。
やらないとどうなるか、の見通しを「予見可能性」といいます。
みなさん、この先のことを考え、今できることをやりましょう。
風疹は報告されていないなーと思いますので、周囲に報告漏れがありそうでしたら、ぜひ「届け出」を遅れでもいいので出しましょうとお伝えください。「遅れ報告」としてカウントされます。
流行は地域流行しないレベルにまで減らして、対策として平時にもどれるようになることが大事です。
この責任者は誰か?です。国レベルで地域レベルで。
ぜひお考えください。
風疹の数が減ってきてよかったね、と思うかもしれませんが、風疹の場合は「そのあとのストーリーが待っています。
それは、大流行期に妊娠して、風疹ウイルスに感染した女性から生まれてくる子供たちの健康問題です。
時差があります。ベトナムとイタリアのグラフをご覧ください。
おなかの中で死んでしまう赤ちゃん、流産となってしまった赤ちゃんがいるなかで、がんばって生まれてくる赤ちゃんに健康問題があるならば、救命や早期治療、介入をして支援する必要があります。
それをどうやってするのかという準備が産婦人科や小児科医にあるのか?周囲にいるドクターたちにきいてみてください。
もともとお母さんが風疹に罹患したという記録があれば、心構えもできるかもしれませんが、自覚症状がなかったようなケースでは、子どもの異常が診断の発端になります。
先日お会いしたお母さんは、8月に出産。妊娠中に自覚症状はなかったそうです。11週のときのHI価は32でした。
(症例提示の許可をえています)
緊急帝王切開で生まれた赤ちゃんは、その後しばらく風疹の感染の影響を受けていることは医師にもお母さんにも気づかれませんでした。
しかし、ある症状をきっかけにお母さんが「おかしい」と気づいて医師に相談したところからはじまります。
そして血液検査をしたのが5月。このとき赤ちゃんは陽性、6月は血液は陰性になっていましたがノドの検体が陽性でした。
(時期を逃すと診断できなくなってしまう可能性もあります)
先天性風疹症候群の情報は多様であり、赤ちゃんが皆、心臓の異常や聴覚障害という典型的な症状を早期から呈するわけではありません。
大流行をした地域では、新生児訪問をする助産師などにも、保護者のコメントに注意するような働きかけが重要です。
ウイルス感染によってその命が途絶えてしまう赤ちゃん、生まれてからも手術や治療、訓練に耐えなくてはいけない赤ちゃんを減らすためには、地域流行をとめるしかありません。
減ってきたからと対策の手を緩めると感染症は再度増加することがあります。
こちらはニューヨークの結核のグラフです。
ある時期まで減りましたが、予算と人をカットしたら再度流行。同じレベルに戻すまでに余計にお金がかかった、というケースです。
2004年に懸念したことが2013年におきてしまったような、専門家や行政の不作為による失敗を繰り返さないよう、なすべきことは何なのか。ぜひお考えください。