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CRP 133 の 妊婦(フランス)

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報告タイトルをみるとわかってしまうので一番最後にリンク先。
フランス初の症例とのことです。

20代の妊婦さん。

妊婦や子どもの相談は感染症医だけでは対応が難しいことが多いので、別の領域の専門家ともすぐ相談。
相談できる知り合いやルートをもっておくことが大切。

"A primigravida woman in her mid-20s presented at 26 weeks of gestation in October 2012 with blurred vision, chills, headache, back pain and cough that had lasted two days."

非特異的・・・。

" Her previous medical history was unremarkable. Physical examination revealed a high body temperature (39.1 °C). The fetal heart rate was normal and there was no uterine contraction.
Antibiotics (ampicillin and gentamicin) were introduced systematically.
Two days later (four days after symptom onset, day 4), she was transferred to the regional reference hospital because of abnormalities in test results from blood and urine sampled at day 3 .

発症2日目のCRP(しーあーるぴー)が17、4日めは133。
調べたけど陰性: leptospirosis, toxoplasmosis, viral hepatitis, simplex viruses, cytomegalovirus, Epstein–Barr virus


産婦人科の先生診察おねがいします。

"Abdominal sonography showed no hepatobiliary pathology, but the presence of only one kidney. Obstetric examination and ultrasound were normal, with normal fetal growth. "

しかし7日目。

"The patient was closely monitored and antenatal prophylactic application of steroids (betamethasone, 12 mg per day for two days) for fetal pulmonary maturation was given. On day 7, the patient developed acute renal failure (creatininemia at 260 µmol/L) (norm: 53–115 µmol/L)"

赤ちゃんは?
緊急帝王切開(27週)で1095gでした。無事です。

"After the birth, the mother was immediately transferred to a nephrology intensive care unit. Liver enzymes, blood count and coagulation normalised first, then renal function increased and was within the normal ranges within three weeks (Table), without the need for dialysis."


さて答えは・・・下記をクリック。
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=20464


日経メディカルオンラインで連載をはじめました(ピットフォール関係)

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またまたトレッドミルやったりホルターやったりひきこもりがちな編集長でありますが、地道な次世代サポートをつづけております。

これはそのひとつ。荒野にむかってため息ついた喜舎場先生、釜で草刈りをはじめて道らしきものをとりあえずつくった編集長。
このあと、皆が使いやすい道にしてくださっている皆様が横につながるフェーズです。
各地によい感染症診療を広げて下さることを願ってはじめた企画です。
評判がよければ、何回か続くでしょう。
感想や意見があったら日経medical onlineさんにお伝え下さい。

連載:青木眞が聞く! 感染症診療のピットフォール

2013. 4. 23 青木眞×松永直久(帝京大学病院感染制御部部長)
「いま振り返る、多剤耐性アシネトバクターアウトブレイク」

あのあと、皆さんの病院や地域はどうですか。

現場や患者さんをとりまく状況の改善につながったか、ぜひ休憩室のネタにしてください。

New Aminoglycoside Plazomicin

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ICAACの学び、続きます。
マクロライド、セファロスポリン、などに続いて苦手な、しかし大事な新しい抗菌薬シリーズ


アミノグリコシド一般
・効く:MSSA、Pseudomonas/Acinetobacterの一部
・駄目:Streptococcus・・これ知られてない。心内膜炎などにAssistant的だったから・・
・TOB:Good vs Pseudomonas <<編集長はあまり重要視しません。GM≒TOBです。

毒性
・通常、長期間使用(例:10日以上)で出やすい
・腎毒性は時に可逆的、耳毒性は不可逆的
・特に基礎疾患に腎障害あるとでやすい
(スミマセン、この辺り初学者向けで・・)

耐性:
①ChromosomalMutation of ribosome 16s
②RNAのMethylationの問題
③Permeability、Effuluxポンプ、
④不活化酵素:これはプラスミド中にあり他の耐性メカニズムも運ぶ

(写真:昨日のダリワル先生のカンファ。編集長は通訳。質問者は駒込病院からのVisitor,Dr.F)


Plazomicin: 
・併用療法: PIPC/TAZ+Pazomicin
・・Pseudomonas, Acinetobacter, KPC , FQ resistant の腸内細菌に良いかも

・pK:一日一回で良い。腎毒性は低下のようす

・スペクトラム
・・抗MRSA活性、抗ESBL産生株活性
・・AMK, GMより遙かに効果ある
・・一部のメタロにも効果ある


リポゾーマルアミノグリコシド ?
・Lipid compoundと付けるとMRSAや緑膿菌に対するMICが下がり、更に毒性も下がる?

動画で風疹の予防啓発(お金はなくともアイデアと体力で勝負)

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風疹?ふーん。なにそれ。よくわかんない。というリアクションは、一般の人だけでなく医療関係者の間でもあります。

感受性者の多い東京では、有効とされる対策を専門家や行政/国がとるのがおくれるなかで、男性を中心にどんどんひろがりました。
そして分母が増えれば一定数でるであろう重症者も報告されるようになりました。

2月にその経験をした医師達がいます。

風疹髄膜脳炎を発症した成人男性の1例 (IASR Vol. 34 p. 102-103: 2013年4月号)

ひいいいい。風疹で挿管?!

大曲先生がセンター長として着任された感染症の専門病院。重症例のニュースでは大曲先生が解説をしていました。


ここのフェローの先生達が経験した重症例。

ワクチンの普及で激減した症例。なので、多くの若い医療者は風疹症例を診たことがありませんし、もともと子どもの感染症とおもわれてきました。

どうやったら知ってもらえるのか話し合っていたところで、すぐさま啓発動画をつくってみたそうです。

この動画について、4月27日(土)NHKの「ニュース深読み」がかなりの時間をかけて紹介していました。

まず導入部(自宅のTVを撮影したものです)




まじめに医学的なことを言っても人々の心には響かないし印象にも残りません。
そこで、あの、予備校CMのパロディを考えたそうです。

できない、やらない言い訳探しをする前にaction!の精神。

"男性から女性、そして赤ちゃんに広がってしまう"濱田先生


"全員ワクチンを接種しよう”山元先生


"ワクチンのうちどきに詳しい" 上村先生。※DCCではトラベルクリニック外来の診療を学べるので「確かに」


"もう風疹患者は診たくない"と思うほどの風疹患者が・・・ 忽那先生


先生方がつくった動画はこちらでみることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=C6tdFTZYUls


で、トラベルクリニックの待合室に入っていったのは誰?


おー、ばっちりハイリスク年齢の男性。・・・どこかでみたような。



「いやー、流行していますよ!と報道するNHKのアナウンサーが風疹になったらやばくないっすか?」とは言わなかったらしいですが、


症状を説明したり(これはセクシーポーズではなくリンパ節が腫れるんですよ、を説明するの図)


ゴールデンウイークやばいっすよ、と(いいタイミングの放送ありがとうございます)と外堀をうめて


社会的意義をつたえて(ほらほら接種したくなってきましたね)


そしてついに接種するの図。(もちろんカルテつくってお代もいただきました。NCGMだとワクチンはおやすいですが2千数百円プラスされるので1万円くらいでしょうか)


アナウンサーが接種をしたのはMRワクチン。


この年齢の図はわかりやすいですね。



番組では、接種費用補助をする自治体のことも紹介されていました。中坪先生はいま荒川区にいらっしゃるんですね〜(以前都庁でお会いしました)。


皆様おつかれさまでした。

NHKはほかにも自ら接種しているオジさんがいます。ぎゃん泣き響く小児科の待合室で落ち着かなかったそうです。
大越キャスター 小児科にて2013年04月03日 (水)


動くべきところもがんばっています。
東京都 風疹特設ページ
各自治体の補助情報がまとまっています。ありがとうございます。
厚労省 風疹特設ページ
厚労省は4月26日にあらたに2つのリーフレットを掲載(職域用と、婚姻届カウンター用)。結核感染症課の皆様ありがとうございます。

メディアも応援
NHK の特設ページ STOP風疹
Yahoo! 風疹特設ページ
Health Promotionを考えた時に、こりゃまたすごいサポーターです。

まあ、このような中でもHPにあまり記載もないとか、補助も出す予定なし、絶対ださないといっているところもあるそうですが(- -;)

夜の報道番組ではこれまでにも扱われていましたが、最近はTVやラジオでも扱うところが増えています。これにより、ニュースは見ないよという人にも伝わるチャンネルが増えています。

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2013年4月26日 11:00 - 13:50 TBS ひるおび! ひるおびハテナ?
風疹に妊娠中の女性が感染すると、胎児に障害が出るおそれがある。加藤康幸医師が、風疹予防は予防接種を受けるのが一番有効だと語った。国立国際医療研究センターの医師らが、Youtubeで風疹予防を呼びかけている。
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2013年4月26日放送 13:55 - 15:50 日本テレビ情報ライブ ミヤネ屋
「非常事態 風疹 最悪のペースで流行 妊婦感染で子に障害も…」
今年と去年の風疹患者数を比べると、今年は30倍に増えている。このうち妊娠初期に風疹にかかった場合の出生児が先天性風疹症候群となる確率が50パーセントを超えている。東京・世田谷区にある上祖師谷クリニックでは予防接種を希望する人が増加、上井節子医師はワクチンの在庫が足りないことに頭を悩ませているという。
兵庫・神戸市に住んでいる西村さん夫婦は妊娠中に2人とも風疹に感染した。どこで感染したかは不明で内科医師からは一人では生きていけない子が生まれる可能性があると告げられたという。国立感染研究所によると2000年以降、風疹の母子感染で傷害のある子どもは19人生まれており、西村さんを担当した大阪府立母子保健総合医療センターの林周作医長は取材に対し当時の状況に困惑したと明かした。
すくすくと育つお腹の赤ちゃんをみて西村さん夫婦は出産することを決意、去年10月に誕生した。医師が赤ちゃんにくだした診断結果は先天性風疹症候群で、主に難聴や心疾患、白内障などの恐れがあると報告されている。
今回の風疹の感染について理化学研究所の加藤茂孝理学博士は、今年は成人男性への感染が流行っており、この事例は初だと解説。
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2013年4月25日 とくダネ!
真相チェイス!直撃御免
●迫る感染拡大の危機 風疹大流行の真相を直撃!
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あさズバはまだでしょうか?

結婚関連の雑誌ゼクシィの風疹特集もありました。


「今でしょ!」をみたついでに、Youtubeで風疹の啓発動画をもさがしてみました。
(そのうち、映画「リンカーン」のNow, now, nowをぱくった啓発動画をみることができるのではないかと期待しています。主役は誰でしょうね・・)


米国のニュース「100人が風疹に曝露した」
Health Dept.Warning Hundreds Exposed To Rubella 3分9秒
http://www.youtube.com/watch?v=NsPIT6WXINo

こども向け?
Measles, Mumps and Rubella Look for Children 3分9秒
http://www.youtube.com/watch?v=3f4tsyz1K3E

人形セットで解説
The Rubella Virus - CRS (MMR Vaccine) 6分35秒
http://www.youtube.com/watch?v=Wuibj2SbxiA


CRSについて学ぶ動画

4月26日 ニュース「先天性風しん症候群防止へ」4分21秒
http://www.youtube.com/watch?v=1KX8HGkT3S0

テレビ朝日 難聴の大リーガー 軌跡の物語 Curtis Pride - Japan (TV Asahi)
http://www.youtube.com/watch?v=cH8Q9VrZPLA

21歳女性の症例(Samantha - 21 year old who is deafblind)
http://www.youtube.com/watch?v=oyTFeM_r9xs

男性の症例Oxford Vaccine Centerのコンテンツ
http://www.youtube.com/watch?v=v_aQVcaQ_OU

女子中学生にだけ接種していた、の例 Film about Rubella vaccinations, 1970's -- Film 7220
http://www.youtube.com/watch?v=OKKdT_Zsoe8

妊娠中の風疹について学ぶベトナムの医療者 1分51秒
http://www.youtube.com/watch?v=mWYmyVkPWf0 

Rubeola y Rubeola Congenita メキシコの啓発(スペイン語) 5分36秒
http://www.youtube.com/watch?v=NHoPkcOb5Bw

ダリワル先生のカンファより (通訳は見た・・)

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ダリワル先生はティアニ先生の一番弟子です。

通訳していて感じるのは、二人の年齢差を感じさせない、良き総合診療の伝統です。

ちなみに年齢差は、ティアニ先生が内科のChief residentだった時に、ダリワル先生は生まれました。
編集長はダリワル先生より20年年上。ティアニ先生は編集長よりも11年年上。日野原重明先生はもう少し上・・。

#1:思考経路の共有を大事にする事。
これはティアニ先生以上ですね。湘南鎌倉のイギリス人医師曰く(まる分かりだろう・・!!)、「ダリワルは順番に階段を上がっていく様子を見せるが、ティアニは時々、きんとん雲に乗って遙か遠い雲の上にシュッと行って仕舞う・・」。



#2:正解に到達するかを、LT師匠ほどには気にしない。
ティアニはともかく、正解に行きたい!! 勿論、「大事なのはプロセス・・」と言ってるけど、編集長もダリちゃんもLTが正解到達率を記録している事を知っています。



#3:板書が綺麗
これは小学二年生の時に厳しく教えられたらしい。このままカリグラフィの先生やれる・・と思うほど綺麗な字です。



#4:食事に頓着しない。
LT師匠と編集長は美味しい食事を欠かせないが、ダリちゃんはTully'sのドーナッツでも良い。


(写真:亀井院長のTreatで和食のお店にいった時のもの。人生でBestの昼ご飯・・と言ってました。)

ダリワル先生のカンファより (通訳は見た・・)その2

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圧倒的なのはLTと同様に、注目すべきものに光速で近づき、どうでも良い情報からは光速で離れる臨床的眼力です。

大事か、大事でないか不明な時には、綺麗にたたんでホワイトボードの隅に置いておきます。

しかも、内緒でこっそりと置くのではなくて、「扱いかたが不明なので、暫くここに置いておきます」といって置くのです。

結局、隅に置かれたものが最終診断と関係ないRed Herring(燻製ニシン)である事も多いのですが、「料理する VS 隅に置く」の作業が素晴らしい。
このあたりはDNAの問題かも知れない。

昨日の症例、
xx歳男性、主訴は発熱、筋肉痛、”開口障害”。
暫くすると開口障害は隅にたたまれました。

発熱には腫瘍・感染症・自己免疫、筋肉痛には感染症・自己免疫、遺伝性、医源性、代謝性が瞬時に鑑別にあがります。

途中から鉄欠乏貧血が見つかりますが、不思議と「隅にたたまれ」ます。
Pancytopeniaと比較的変化の骨髄所見は短い鑑別にとどめます。

逆に円形脱毛症alopecia areataから免疫の異常に舵を切ります。

最終的に正解にたどり着きましたが、さすが・・。

金沢大学の松村正巳先生いわく、「ダリワルのやつ、こちらの投げる玉、全部、場外ホームランにしやがる」
はい、湘南藤沢でもアーチが続きました。


Addendum:「どうして最後は耳鼻科なの?」
最後に患者は無事「退院」。この退院の表現だけ独語でした。すぺるは「ENT」
ダリワル先生:「どうして最後は耳鼻科なの?」 
編集長:「ENTはEar Nose ThroatでなくてEntlassenという独語です・・」


(写真:ダリワル先生。 With 湘南藤沢の研修医・スタッフ・亀井院長)

6/30 関西若手フェデレーション 第11回ケースカンファレンス

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昨年まで市立堺病院で活躍をされ、現在は瀬戸内徳洲会病院の朴澤憲和先生から情報をいただきました。
大変活気のある交流の場です。
関西の学生や研修医の皆さん。ぜひチャンスがあったらご参加ください(^^)

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関西若手医師フェデレーション 第11回ケースカンファレンス
【日時】
平成25年6月30日(日)13時〜17時30分 12時開場予定
【場所】
大阪市立総合医療センター 3階大会議室 (さくらホール横の大会議室です。専用エレベーターをご利用下さい)
【対象】
主な対象・・・初期研修医
その他、医学生&後期研修医、気持ちが若手なスタッフクラス(卒後何年目でもOK!)も大歓迎!
【内容】
ケースカンファレンス2題(1題90分) + snapshot diagnosis
症例提示:市立福知山市民病院、洛和会音羽病院 / 丸太町病院から予定。
会の終了後、18時頃~ 懇親会もあります。(開催場所は近隣で予定)
【事前登録&参加費用】
ケースカンファレンスのみ → 事前登録不要かつ無料
懇親会 → 事前登録は不要ですが、懇親会費を当日徴収させていただきます。

自施設での広報に使用していただけましたら幸いです。↓
ポスターはこちらをクリック!

御質問・お問い合わせは代表までお願いします。
 ・山本修平: s.y.bandoneonアットマークgmail.com
 ・酒井清裕:sakainazumaアットマークgmail.com
当日皆様とお会いできることを楽しみにしています。
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【満員御礼】6/29多摩感染症セミナー【受付中】抗菌薬感受性セミナー 6/22 EBIC  

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武蔵境でやる杏林/ファイザーのセミナーの方は満席となりました。
お知らせしておきます。

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感受性セミナーはEBICセミナーでもやっています。東京、名古屋などで聞く機会があります。

多摩感染症セミナーのほうは杏林大学呼吸器内科がファイザーと共催で、参加無料となっています。

有料のほうは資料配布があります。

6月29日は杏林大学呼吸器内科のブログ「あんずの呼吸」(注:アダルトサイトではありません)に案内が載っています。【受け付けしめきりました】

21日はEBIC研究会。武蔵野スイングホールは、武蔵境駅北口駅前にあって便利です。
詳細はこちら
今回をもって編集長の役目を終えます。

日本語の本も増えましたし、各地でセミナーも盛んです。
次世代リーダーが広く展開するフェーズに入っています。引き継いでいってくださる皆様よろしくお願いいたします。
医師だけでなく、検査技師、薬剤師と一緒に各地で勉強会が開かれていくといいですね。

いっぽうで、まだサポートを必要としている領域もありますので、地道に取り組んでいきたいと思います。





「助産雑誌」予防接種特集(2回目)

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『助産雑誌』の2013年6月の特集号が予防接種です。


2011年の特集は、長い助産師向けの雑誌の歴史の中で初だったそうです。



昨年は日本助産師会が予防接種のセミナーをしていましたが、今年はない?のでしょうか。あるいはすでに都道府県レベルに教育プログラムが普及しているのかもしれませんね。だとしたら素早い動き。

こちらは院内学習会等で使える資料。
VPDの会が保健師/助産師/看護師向けの冊子を作成 こちらから取り寄せ可能

思春期の性教育、両親学級、「こんにちは赤ちゃん事業」などで活躍中の助産師さんたち。
今後も期待しています。


が、ときどき、助産師に予防接種をしないほうがいい、、といわれている人の相談がきます。

「助産師と自然療法そして「お手当て」18  <マクロビと予防接種>」
http://d.hatena.ne.jp/fish-b/20130125/1359063753

以前もホメオパシーがらみで少ししらべました。
今回の風疹流行対策でも、風疹レメディなるものがワクチンのかわりにすすめられています。こわいですね〜。


「イギリスに行き、帰りに上海に寄りました」

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とある診察室。

今日はどうされましたか?

「熱が38度あってかぜっぽいです。海外からもどったばかりなので、保健所に聞いたらこちを受診しなさいといわれました」

お年と職業は?今回は海外はどちらに行かれたんで

「27歳、外資系サラリーマンです。出張でまず本社のあるロンドンに行き、そのあと上海でアジア地域の会議に出てもどってきました。
エミレーツ航空の機内で、となりにいたアラブ系の人がずっと咳をしていて、マスクをしなくていやだなあと思っていました。最近いろいろ流行っているところにいっちゃったし。だいじょうぶですかねえ。」

どれくらい滞在されましたか?

「ロンドンには6日、上海には4日滞在しました。3日前にもどりました」

他に気になる症状はありましたか? ノドがいたいとか。

「昨日から蕁麻疹がでてます。上海でたべたものがわるかったですかね」

手足にぼつぼつ・・・。胸のおとはきれいですねえ。ででででも、ぶつぶつはけっこうすごいですねえ(汗)。
今までにワクチンとかは・・・

「小さい頃のはよくおぼえていません。出発前には特にしていません」


えーと、、、海外帰りの場合は、、(と、外来の書類をさがす)

とりあえず読む。「中国での鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症」

検査をするんだったっけ?

以下の4項目全てを満たしている患者が鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス検査診断の候補。

ー 38℃以上の発熱と急性呼吸器症状がある            →お熱はあるが急性呼吸器症状はなし
ー臨床的又は放射線学的に肺病変(例:肺炎又はARDS)が疑われる。→なし。酸素飽和度も問題無し。chest XPも不要。
ー発症前10日以内の中国への渡航又は居住歴があること。→ある
(ただし、他の感染症又は他の病因が明らかな場合は除くこと) →考える


いちおうインフルエンザキットしておくか。
でも陰性だ。よかった。


さらにいちおう、新型のコロナウイルスはなんだっけ

ー38度以上の発熱と咳を伴う急性呼吸器症状を呈し
ー臨床的又は放射線学的に実質性肺病変(例:肺炎又は ARDS)が疑われる者であり
ー発症前10日以内にアラ ビア半島又はその周辺諸国に渡航又は居住していた者。 →飛行機の隣の人だから関係ないか〜
(但し、他の感染症によること又は他の病因が明らかな場合は除く)


食事も飲み物もOKだし帰宅の患者さん。ナースにマスク着用等の注意を伝えてもらおう。

あ。念のため。ロンドンは都会だよなあ。何か注意があったかなあ。

念のためHealthMapをみておこう。

え、イギリスはMMRワクチン緊急キャンペーンを100万人にするだって?何がおきているんだ?

Measles vaccination campaign begins - video


あわわわわわ(待合室に人がいっぱいいたような・・・がくがくぶるぶる)

い、いや。日本を出国前に風疹に感染したとも考えられないか?ちょうど2週間前後だ。ブーメラン風疹か?

しかもワクチン接種歴無し・・・

あの〜ご家族は、

「結婚したばかりの妻と両親と同居しています」

し、新婚(- -;)

う、うーん。

というところで目が覚めました。夢でよかった。






同じ事が東京で起きたら・・ボストンの不幸中の幸い

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NEJMの最新号からのコメント。「ボストンの不幸中の幸い」

•爆発が起きた時に、既に多数の救急隊員や警備員・警察官がマラソンの為に待機していた。

•マラソンの日≒マサチューセッツ州の休日だった。このため病院が混雑してなかった。

•爆発が午後3時という病院の勤務交代の直前の時間に起こったので帰るチームとこれから働くチームの両者が病院に居た。

• ボストンという街自身が7ヶもの外傷治療センター、多数の世界のトップクラスの病院を持ち、更に救急隊員が賢明な布陣・分布体制をとっていたので必要なマンパワーがすぐに得られた。

• 爆弾の性能が悪かった & 建物の外で起きたので爆発の圧力が拡散された。(戸内であったらもっと惨状に・・)更に周辺の建物が崩壊せず救出しやすかった。

•外傷治療専門家の世界では、イラクやアフガニスタンで経験を積んだ軍の外科医や救急医が次第に全米各地に知識を広めていた。
・またボストンの医療従事者は爆弾の爆発による災害の対処法を既にまなんでいた。

・事件の4年も前にボストンの救急の責任者で現在は連邦緊急事態管理庁(federal management emergency agency:FEMA)の副責任者のRich Serinoは既にテロ経験豊かなインド、パキスタン、スペイン、イギリスの専門家を集めて勉強会を開いていた。

地元の感染症対策をご存じ?(兵庫県から学んでみる)

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世の中の人や、メディアは、もしかしたら「医療機関には必ず感染症診療や感染管理に詳しい人がいるはずだ」と思っているかもしれません。
が、実際には違います。

組織上の最高責任者は院長など管理部門ですが、日々の実践をしているのは感染管理チーム(ICT)、そこでのリーダーは医師(ICD)、実務のリーダーは看護師(ICN)というところが多いのではないでしょうか。
ICNは半年間研修をしていますが、ICDは自分の時間を使って研修会を受けに行って、申請手続きをして得ます。
さまざまな責任を負う立場であることを考えると、ICDに日常的に情報その他のサポートがあったほうがいいのではないかと思うわけです。

全ての医療機関に専門家はいないとしても、地域に「あそこに聞けば教えてくれる」「最後はあそこに相談(対応)してもらおう」というリファレンス病院や専門家がいると安心につながります。
いるのかもしれませんが、コミュニケーションがとれていないとそもそもうまく活用できないかもしれません。

加算ではじまっている地域連携などはそういった関係づくりのとっかかりになるのかもしれませんね。
外部の目や声で「それはおかしいのではないか」とか、「こちらのほうがいいですよ」というアドバイスとかあると助かります。
(誰でも自分のことや自施設のことだとてんぱったり感情がはいって冷静になれないときもありますから)

保健所以外に相談先病院はどこでしょう?ですが、たとえばこんなリストがあります。

感染症指定医療機関の指定状況(平成24年4月1日現在)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02.html

それぞれの病院の対応レベルやキャパシティは把握していませんが、指定を受ける条件をクリアしているのだろう(専門の医師がいるとか)と考えます。
もっとも交通事情が必ずしも整っていなければ県内にあっても活用が難しかったりするときいていますが。

メディアも取材をする先を選ぶときに参考になるリストかもしれません。

昨日、どこかの病院がインフルエンザ対策の話で、病原体不明対応のフルスペックPPEをきて、某TV局がその映像を流してしまったそうです。
(画像として好まれるのでしょうね)

感染症対策としては、そのような誤解につながる情報発信はマイナスでしかないです。実際に対応をしなくてはいけない医療機関内でのPPEは病原体や症状、処置の内容によって判断選択が可能です。必要があれば必要な物品を必要なだけ使います。

H7に感染した人が「そのようにあつかわれるのだ」的誤解をされると、人権問題につながります。
また、「それなら受診はやめておこう」という早期対応から逆の反応につながるおそれもあります。
今でも検疫や感染症で「つかまって」「入院」となると、すごい施設に隔離されるのだと思っている人たちがいますから。
(そういった<具体的ではない>漠然とした恐れが病気になった人への誹謗中傷につながるんですよ)
ICD講習会でも、こういった話の勉強会を増やしたほうがいいのでは?

根拠に乏しい対応で右往左往しているなかに、本命の出血熱うたがい症例が来て、「軽症者でベッドがうまってますっ!」なんてことになったら危機管理以前の失敗といわれます。



さて。医療者は「行政との連携」で、何をすればいいのかの具体的な学習の場がありません。せめて、現在activeな関連資料に目をとおしたり、院内や地域の勉強会に疫学データの講師として招いて交流して顔見知りになっておくことをおすすめします。
(なんとなく大学の偉い先生が講師になることが多いですが、現場レベルの連携を考えると、実務者同士の情報交換のほうが学びは大きいと思います)

行政の資料とは、たとえばこのようなものです。
感染症対応の経験の豊富な兵庫県の資料をみてみることにしましょう。

兵庫県健康福祉部健康局疾病対策課が2009年の新型インフルエンザ騒動のあとに作った資料です。

PDF 「兵庫県における感染症の予防のための施策の実施に関する計画」(「兵庫県感染症予防計画」)平成22 年3 月兵庫

"兵庫県では平成15年5月に発生したSARS患者の県内旅行事例の経験から、マニュアルの改訂、近隣府県との連携強化、医療体制の充実、患者発生を想定した実地訓練の実施など、感染症対応体制の強化に取り組んできた。"

そうです。SARSもでした。


"また、平成21年に発生した新型インフルエンザについては、国内での感染者第1例目が神戸で発生し、その後、関西での流行を経験したことから、県では「新型インフルエンザ
検証委員会」を設置して対応状況の検証と新たな対応策等の検討がなされた。"

2009年の新型インフルエンザも関西から対応がはじまりました。


"2 感染症の予防や治療に重点を置いた対策
今日、医学・医療の進歩により、多くの感染症の予防や治療が可能となってきているため、感染症発生状況等の動向及び原因に関する情報を収集、分析し、その結果を県民
へ積極的に情報提供することにより、県民一人ひとりが感染症の予防を実行できるようにする。
また、感染症患者等については、良質で適切な医療を提供することにより早期治療の推進を図る。このことにより、従来の集団的予防に重点を置いた防疫行政から、科学的な根拠に基づく県民個人個人の予防及び早期治療に重点を置いた地域社会全体での予防対策の推進を図る。"

どのあたりが根拠として妥当かは感染症では難しいこともありますが、それは「前提」であって、そのうえでどのあたりを重視していくかというリスクアセスメントや意思決定が重要になってきます。
すくなくとも病原体による違い、重症レベルの違いなどで初期、まんえん期、終息期などでもかわるので、マニュアル思考(やそれを強化するような訓練)ではだめですね。


"3 人権の尊重
感染症の予防と患者等の人権尊重の両立を基本として、患者等を社会から切り離すのではなく、患者等の個人の意思や人権を十分に尊重し、一人ひとりが安心して医療を受
けることができ、早期に社会復帰できるような環境整備に努める。
そのため、感染症に関する個人情報の保護に十分留意し、感染症に対する差別や偏見の解消のため、報道機関に協力を求める。また、あらゆる機会を通じて感染症に関する
正しい知識を普及啓発するとともに、患者等の人権を損なわないようにしなければならない。"


2009年のインフルエンザは幸い、季節性インフルエンザと同レベルですみましたが、アセスメントや判断、連絡が滞ることによって不必要な個人生活の制限という人権問題がおきました。
ニュースや通知が、一番ホットなエリアの話の軸で動き、「そんな状況にないんですけど、うち」なところが困惑もしました。



"第3 感染症のまん延防止のための施策
発生時の対応
1 基本的な考え方

(3)人権の尊重
県及び政令市による一定の行動制限等を伴う対策は、患者等の人権を尊重したうえで必要最小限のものとし、措置を行う場合には、科学的な根拠を示すとともに、医療関係者等による十分な説明と患者等の同意に基づくことを原則とする。また、審査請求等に関する教示等の手続きを厳正に行う。"

重症な患者さんはICUなどで対応をしますが、(おこってはいけないことですが)超軽症の人を、病院や行政の都合で特別な部屋に入れるようなことがある場合は、なぜ患者さんがそのような目にあうのかの(苦しい)説明をして、患者さんは意見を述べることができる、ということまで伝える必要があります。
感染症や感染管理のプロとして「それはおかしくないか?」と思うことがあれば、早めに対処しておくことが重要です。


"(7)人権に配慮した措置
対人措置を講ずるに当たっては、感染症の発生及びまん延に関する情報を対象となる患者等に提供し、その理解と協力を求めながら行うことを基本とし、人権の尊重の観点から必要最小限のものとするとともに、審査請求に係る教示等の手続き及び感染症法第20条第6項に基づく患者等に対する意見を述べる機会の付与を厳正に行う。"

なぜ、感染症関係では人権のことが繰り返しいわれるのかは、看護学校や医学部でも学習していると思いますが、時間の経過とともに意識や記憶が風化しますので、繰り返し学習する必要がありますね。


"5 指定感染症及び新感染症への対応

県民に正しい情報を提供し、感染症のまん延やパニックの発生防止に努める.
(略)
健康福祉事務所(保健所)ごとに初期診療体制の確立を図り、地域における医療提供体制に混乱を生じないように努める."

どの感染症が流行したとしても、並行して通常の医療を守る必要があります。破たんしないような心がけを平時から大切に。
最初の混乱期には、パニックになる人もいるので、ホットライン(相談電話)を設定して、医療機関に電話が集中しないようにするとか、そういった学習がありました。

・・・・といった資料がたぶんみなさんの地域にもあるはずですし、時々改定しないと????な内容になってしまうこともあるので、現場の医療者も参加して策定や見直しができるといいですね。
(対策やケアのところも重要なので、医師だけでなく感染管理ナースにも参加してもらうことをおすすめします)


以上がインフルエンザがらみで目をとおしていったところなのですが、兵庫県は先天性風疹症候群がこのブレイク中に2例も報告されている風疹流行エリアなので風疹に関連した記載にも目がとまりました。


"(2)臨時の予防接種県は、予防接種法で規定する1類、2類疾患のうち厚生労働大臣が定めるもののまん延を予防するため、緊急の必要があると認めるときは、市町(政令市を含む)に対して臨時の予防接種を指示するとともに、臨時の予防接種実施体制の構築について、必要な支援を行う。"

※先の予防接種法改正のときに、この1類2類はA類B類に変わりました。今後、原稿を書いたりスライドをつくるときは改変しましょう。

緊急の必要があるときは、臨時の予防接種を指示、、、臨時の予防接種実地体制の構築に必要な支援を行う、、、とありますが、東京、千葉、神奈川はしていますけれども兵庫県は今日現在していませんね?
このレベルの流行や母子感染は容認ということでしょうか。
リスクアセスメントの責任者は県知事?感染症担当部署?

さらに。

"4 積極的疫学調査(2)積極的疫学調査の実施
積極的疫学調査を行う場合は、
ア 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は四類感染症が発生し、又は発生した疑いがある場合
イ 五類感染症等に係る感染症発生動向調査において通常と異なる傾向が認められた場合 "

通常と異なる傾向があったら調査ができる(調査します)という設定になっています。
大ごとになってから対応しても感染症は難しいからですね。
通常と異なる「傾向」の段階で動かないといけないというのが過去の学びです。

ぜひ地元の資料をみてください(10年以上前とかならリニューアルをしましょう!)

三大横綱GNR used to be・・・ Polymyxinについて

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Major Killer 三大横綱 used to be・・・

E.coli, Klebsiella, Pseudomonas aerginosa といった陣容でしたが、最近の臨床現場、とくにHospitalist、Intensivistの中では恐らく・・

P.aerginosaは残りますが、Acinetobacter baumannii、そしてKlebsiellaはKPCという怪物に置き換わりました。なので
現在の3大Killer:P.aerginosa、Acinetobacter baumannii、KPCとなります。

まあ、更に正確み申し上げるとAcinetobacterのようなVirulenceの低いものはKillerというよりは葬儀屋ですが、、。

すなわちAcinetobacterが問題になるような医療環境を持つSocietyは、その高度医療で高齢化その他で免疫低下しているHostをケアしてる・・

これらにUniversalに効く抗菌薬は殆ど無くなりました。「うちのCarbapenem、ヒット率6割・・トホホ」といったご相談が引きも切りません。

さて、これらのKillerに対して比較的健闘しているのがPolymyxinとその仲間たちです。

という事で前置きが長くなりましたが、本日のICAACDVDの学びはポリミキシンとその周辺であります。
題して「Mechanism of Activity and Resistance of Polymyxin」であります。
演者はJian Li先生。中国訛りの英語が少しだけ聞きづらかった・・

#1:作用機序
PolymyxinのGNRに対する作用機序は複数。そのうちの一つが「外膜OMと細胞膜CMを”繋げてしまい”これによりリン脂質の交換を行いそして殺菌」する。
というものです。絵入りで説明されても分からなかったけど・・

#2:耐性機序
・主として”Lipid A”の変化 あるいは lipopolysaccharide:LPSの消失に基づくPolymyxinのUptakeの減少。(編集長、言われたままに書いてる)
でもLi先生がおっしゃりたい事は耐性機序が多数あるということ。曰く「Not all resistant cells are the same」

#3:会場からの質問 (唯一、編集長がついて行けた質問)
・GNRってLPSが無くても生きていけるの? <<Li先生の回答:臨床分離株に良くありますよ・・!!

(写真:連休中の編集長&トーマス)

アリストテレスもいってます。

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ゴールデンウィークで色々と思いを巡らしている若手諸君に伝えたい事。
編集長が20年間、若手医師、とくに臨床留学を志す若手医師に伝えてきた事。それは・・

人生の苦労の80%は、まだ起きてない将来に対する不安・心配である。

という事です。

本当に人間は心配するのが好きなんだな・・

アリストテレスもいってます。

Fear is pain arising from the anticipation of evil.


その他、連休も医療機関で働き、日本の医療を支えてくれている若手医師・医療従事者へ

"Obstacles are those frightful things you see when you take your eyes off your goal." - Henry Ford
人生の邪魔。それは、あなたが人生のゴールから目を離した瞬間に目に入る恐ろしいもの。 ヘンリー・フォード

"One never notices what has been done; one can only see what remains to be done." - Marie Currie
成し遂げた事なんて気づかないものよ。見えるのは、これから成し遂げなければならないものだけ。 マリー・キューリー

(写真:編集長 when he was with 将来に根拠の無い希望)

埼玉、大阪、兵庫、愛知の風疹:ワクチン補助の動き(のなさ)

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4月26日にこのようなTweetをみかけました。

T Ume @niceume
Goal of the rubella vaccination is to prevent the consequences of infection during pregnancy. This idea is not fully understood in Japan.

半年前から海外からの問い合わせがつづいていますが、なぜに国や自治体は感受性者の接種率を上げる努力をしないのだ?という問いがあります。

3月14日に東京都が、補助をするつもりのある自治体をサポートしますといいました。
神奈川県は絶対に補助をしないといっていましたが、4月に非常事態宣言をして補助をはじめました。
千葉県も絶対に補助をしないといっていましたが、やはり4月に補助を開始しました。

埼玉県は補助をしていません。知事からの回答は
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風しんの予防接種の必要性は理解していますが、県民の皆さんの健康を守る全てについて公費で対応するのは難しいのが現状です。ご理解くださるようお願いします
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ということだそうです。独自に難病支援とかしています、という説明付。

「感染症、風疹の対策というものをわかっていないのでは?」という疑問がわきます。

それでも、昨日は 青森県むつ市、沖縄県那覇市、埼玉県の戸田市、新座市、坂戸市、栃木県栃木市などの助成のニュースが流れていました。

東京よりも流行レベルが高くなっている大阪府。
枚方市が補助を発表しましたが、大阪市はどうなったのでしょうね。
愛知県、兵庫県もする予定はないのでしょうか。

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NHK Worldでニュースになっていた日本の風疹 4月30日

Rubella infections at record high this year

The number of rubella patients so far this year in Japan has hit a record high.

The National Institute of Infectious Diseases says 4,763 people were diagnosed with rubella, or German measles, from January to April 21st.

That's about double compared to all of last year, when the largest number of patients was diagnosed since record-keeping under the current method began in 2008.

Nearly 90 percent of the patients are 20 or older. Many of the men are in their 20s to 40s, while the women are mostly in their 20s.

Common symptoms include fever and rashes. The virus can spread through coughing or sneezing.

Babies born to women who contract the disease during early pregnancy may develop severe eye, ear or heart problems.

More than 500 people a week have been diagnosed with rubella so far in April.

Senior researcher at the institute Keiko Taya says many people will be traveling over the holidays at the start of May, so the infection may spread further. She said rubella usually peaks around June, so she advises people to get vaccinated as soon as possible.
Apr. 30, 2013 - Updated 06:30 UTC
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こどものサッカー からの脱却(インフル、風疹、出血熱)

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インフルエンザH7N9については、感染研の鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応(5月2日)が新しくなっていました。
GW中にご関係のみなさまありがとうございます。
日本語の情報はありがたいですね。

英語もみわたします。でも、globalなところで考えると、(今回は特にですが)中国語情報もみておきたい。
昨年ECDCにでかけたときは、複数言語を理解するepidemiologistがいるのはデフォルトなのですが、不足する言語についてもなるべく分かる人を採用していて、リスク管理のロジからして予算のかけかたが違うことを学びました・・。
米国CDCにも中国からの研究者を入れて交流したり、上海にあるCDCの拠点に人を派遣して、リアルタイムで情報を得る仕組みができています。
そういった情報戦略にお金をかけるのがうまくないことを何でカバーするのか。が課題。

それはさておき。CIDRAPのサイトには、情報共有のパワーポイントデータもあって便利です。情報発信を、発信して終わりと考えず、どうやって広く現場や関係者に普及させていくかの、ひとひねりがありがたいです。

5月2日の時点のエピカーブ。メモリのふりかたで印象がかわりますが、
週単位でみると

日単位でみると

年齢群でみると


日本はH7N9だけにシフトしていますが、、、こちらのグラフはH5N1との比較。年齢群が違うという特徴がありました。


地理情報で見ると


この1週間、特に現場での対応を左右するような新しい情報はないですね。

積極的な症例探索(active case finding)は、どれくらい「積極的」なのかわかりませんが(地域によって違いそう・・)
最初の頃に検査をされていた分母が「重症例」、現在は、接触をした人たちなどに広く網をかけていますので、軽症例や発症はしていない感染者がはいってきます。

濃厚接触をした人は家族や医療者で、健康監視をされていますが1000人を超える調査のなかでも感染例は把握されていません。

H5N1が高病原性で鳥さんがバタバタ死んでいるのに、H7の鳥さんはあまり具合が悪くならない。その意味では気づきにくいし広がりやすい。
処分をするのだというときの説得や経済保証もたいへんだなあと想像します。

なんだー、人にうつりにくいのかー、というのは早計(今ある情報だけでは、そうかもねー、ですが)。またウイルス変異というものははいつおこるかわからないのですが、おこっていないことについて消耗するほどに力をそそいで、他のことがお留守ではこまります。
風疹のことは別途書いているのでここでは省略しますが、よく「日本の対応は、こどものサッカーのようで、ボールがあるところにワーッと皆がむらがり、その他のことが・・・」といわれます。(専門部署が確立していないから、ということもありますが)

ちょっと前はメディアが「殺人ダニ!」とフトゲチマダニが媒介しているのではないか?と推測されている感染症が話題でした。
インフルエンザはH5N1の広がりが恐れられていました。
コロナウイルス情報をアップデートしている感染症関係者はどれくらいいるでしょうか。

外来で○○対応、というようなお達しが増えて、しかも数日単位で変更になってどれが現在activeなものか現場でわかりにくくなるとか、特定のもの以外へのリスク意識がさがるという副反応も生じます。

ヒトヒト感染、がH7N9でも関心事項の一つですが、病院に来た時点では通常のインフルエンザっぽいわけです。あとで「そうだったね!」とわかります。
SFTSはもっとわかりにくいですね。西日本とそれ以外では医療者の関心も異なるかもしれませんが、受診や転院してきた時点ではすぐにわからないかもしれません。
複数の医療者が曝露をします。

SFTSは、ダニだけでなく、血液を介したヒトーヒト間による接触感染症例も中国で報告されています。
医療機関におけるヒトーヒト間の感染伝播の要因としては、「個人防護具を装着していなかった」ことが指摘されています。
(日々、地道な、必要とされることをたんたんとやることがいかに大切か)
重症患者なので蘇生や気管挿管の際にフェイスシールドやゴーグルをつけていなかった事例が紹介されています。

Person-to-Person Transmission of Severe Fever With Thrombocytopenia Syndrome Bunyavirus Through Blood Contact.
Clin Infect Dis. 2012; 54: 249?252.

Human-to-human transmission of severe fever with thrombocytopenia syndrome bunyavirus through contact with infectious blood.
J Infect Dis. 2013;207:736-739.

A family cluster of infections by a newly recognized bunyavirus in eastern China, 2007: further evidence of person-to-person transmission.
Clin Infect Dis. 2011;53:1208-1214.

年に2回の感染対策講習会で、引き続き、基本的なことを伝えていきましょう。

コクシジオイデス症のアウトブレイク

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「コクシジオイデス症 Coccidioidomycosis」は「valley fever」ともよばれます。
日本では4類の全数報告で、診断をしたら保健所に届け出をする必要があります。

米国のArizona, California, Nevada, New Mexico, Utah などの流行地への渡航歴がある患者で診断されています。

Increase in Reported Coccidioidomycosis ― United States, 1998–2011 MMWR March 29, 2013 / 62(12);217-221
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6212a1.htm

日本語のサマリーはこちらに。
66%はアリゾナ州、31%はカリフォルニア州とのことです。

カリフォルニアの発電で28例のアウトブレイクというニュース。
"CA investigating Valley fever outbreak that sickened 28 workers at solar plant sites"が5月1日にありました。


青木編集長によりますと、ふつうの抗菌薬がきかない肺炎ではコクシジオイデスを考えるのが米国西部の常識、とのことです。
ケンタッキーは?ときいたら、ヒストプラズマとブラストマイセス、、とのことでした。

以前、宮崎県の症例検討会ではずした症例は宮崎肺吸虫でしたが、地元の先生方の鑑別にはあがっていました。
地域流行する感染症の情報も、周辺情報とともに学べるといいなとおもいます。

日本でも輸入感染症として診療することがあります。

「肺コクシジオイデス症5例の臨床的検討」日呼外会誌 23巻1号(2009年1月)

2年間に5例経験した、という報告です。

"年齢・性別:27~65歳(平均39歳),全例男性. 渡航歴:5例中3例はパイロット訓練生でカリフォ ルニア州の研修施設に約1ヵ月間滞在,1例は仕事で アリゾナ州に約2週間滞在,1例は旅行でネバダ州, ユタ州に約2週間滞在した"

まさにendmic 地域ですね。

"発見動機:全例が健診で胸部異常陰影を指摘され当院を受診した"

渡航歴をしっかりきくことが大事ですね。

職業上の曝露リスク:
IDWRの説明によると、
"本症が日本で発症した場合、菌の同定には特別な注意が必要である。
本菌は菌糸状発育しているシャーレの蓋を不用意に開けただけで、分生子が空中に舞い上がり室内を汚染する。患者と直接接触する医師や看護師より、患者の検体から培養された真菌を取り扱う検査技師や研究者に二次感染の危険がある。米
国では過去に200名近い研究者および臨床検査技師が感染を経験しており、死亡例も少なくない。"

臓器移植、免疫抑制、発症、というパターンも。
Donor-Related Coccidioidomycosis in Organ Transplant Recipients CID 2003:37 (1 November) • 1265


妊娠とHIV感染症

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Antiretroviral treatmentに関するUpdateのSessionからです。
新しいGuidelineの変更点など・・SourceはIAS-USAのJAMAのやつ 2012;308:(4)387-とDHHS http://aidsinfo.nih.gov

Interactive形式で進行役は Ann C Collier先生 (なかなかSevereな司会・・)

本日は妊娠とHIV感染症について

28歳女性 妊娠8週で、初めてHIV感染症を診断。
CD4:340

ここで第4世代のScreening検査について横道:抗体+24Agの両者を使う。Window期間は2週間程度まで短縮

問題:妊娠中HAARTは何を使うのか?
例:AZT+3TC+ATV・rがTime honouredしかし編集長が以前お招きしたAberg先生はAZTによる貧血を嫌いTDF/FTCを好むと。
Data不十分群:Raltegravir、Darunavir
NVP:CD4>200で駄目
EFV:催奇形性で? 第23トリメスタは良し

Neural tubeの形成は妊娠6週までに・・>>妊娠に気づいた時はEFVは最も危険な時を通過でToo late >>「ええい続けてまえ」という医師も

ここでAntiretroviral Registryというシステムの紹介。今までに1400例のデータを集積している。
http:// www.apregistry.com

妊娠中のARTについて
・NRTI・Backbone
Preferred:AZT.
Alternative:ABC,FTC, TDFのみサルで通常の2倍のDoseで奇形報告

・3rd medicine
Preferred: NNRTI:NVP, PI: ATV/r, Lopinavir/r
Alternative: Darunavir/r, SQV/r
Special situation: NNRTI:EFV, PI:IDV, NFV (おお懐かしい・・); Integrase Inhibitor:RAL

各論少し
・ATZ/r:新生児の高ビリルビン血症は出ない。第2,3トリメスタではATVの濃度低下するので400mgの使用も考慮
・EFV:Neural tube形成される妊娠6週まではHoldしたい。第2,3トリメスタではOkか?
・非常にCD4が高く、ウイルス量が低いならHAARTを第2トリメスタまで待つ人も居る。

(写真:編集長が長年お世話になるUCSDの副医学部長Schooley先生と静岡で・・これも懐かしい)

追伸:東京医大のY先生からAZTとATVのConfusionについてご指摘頂きました。感謝し、修正致しました。これからAZTはZDVとするかな・・

助成だけじゃたりない(風疹の流行を止めよう)

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連休中に流行地の人が各地にでかけ、また流行地に各地のひとがやってきてウイルスが拡散したと考えられます。

このため、これまで成人の風疹を診たことが無い各地の医療者が、待合室での感染予防、診断、当事者と職場や家族へのアドバイスなどに関わるようになります。
これをサポートするために、国立国際医療研究センター国際感染症センターのNCGMレビューコース(5月7日開講、Ustream配信あり)で、大曲先生の前に、総合診療の國松先生による成人の風疹の診療についてのレクチャー配信が予定されています。
関心ある方は明日のアナウンスにご注目下さい。

さて。
何かできることはないか?と考えた時に、啓発やアナウンスを手伝うということがあります。この流行をとめ、風疹の影響を受ける人を1人でも減らすためにチラシをはりませんか?ということで、今一番重要な情報はこちら。

「予防接種の補助がはじまっている」
東京都感染症情報センターのホームページに「成人の風しん予防接種に関する問い合わせ先」があります。

連休中、都内のあちこちを歩きましたが、町中でこの情報を得る場はありませんでした。
誰に、どのように、何を伝えればよいか?を考えた時に、どのような内容を、どこに掲示すればよいかを考えないといけません。

以下は参考例:

基本的なフォーマット


新宿区バージョン


皆様の地域でもぜひ啓発をお願いします


補助はあくまで介入のパーツでしかありません。
それだけでは「感染症対策」ともいえません。

actionにつなげるヘルスコミュニケーション、情報戦略

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ヘルスプロモーションについて学びたいなとおもったときに、どんぴしゃりの講義や本に出会うことはなかなか難しい話でして、その目的が自分のコミュニケーションスキルの改善なのか、特定のあやしげな薬を販売してもうけたいのか、それを依頼されちゃった代理店の立場なのか、真っ当な方法で医療費を下げたい!という熱いミッションがあるからなのかにもよります。

ひとついえることは、コミュニケーション上の課題を学ばないと失敗する、投資した広報費が無駄になるばかりでなく、「別の意図で受け取られてかえって害になる」ということもおきます。真逆の行動をとられたり、偏見差別を助長したりというリスクが常にあり、「努力は美しい」とはいえない厳しさが情報発信者に求められることを知っておいたほうがいいです。

大事と(発信者側が)連呼したり、上から目線の情報提供だったり、なじみのない専門用語が並んでいたり、画像が意味不明のウイルス電子顕微鏡写真だったり(ニュースでなぜか良く使われる)、何それみたいなコミュニケーションを改善しなくてはですが、日本の公的なリソースも、発信者側がいいたいことをつめこむall in oneリーフレットや、解説オンパレード式のものが多いですね。

どうやったらターゲットに情報が伝わるかということは専門領域として存在するのですが、職場にそのような人をもっているのはごく一部の民間企業ではないでしょうか。あまり賢くない代理店などに高額なお金を払って結果はトホホ、みたいな話もよくききます。


米国の大学院に留学してヘルスコミュニケーションを学んでいた友人、のブログには「ヘルス産業のコミュニケーションと誤解してアクセスしてくる」人がいたそうです(^^;)。

いや、世の中いろいろです。

たくさんの時間とお金をかけて学ぶチャンスは多くの人にはないのが現実なので、関連の本を紹介したいとおもいます。


まず、ヘルスコミュニケーションのそもそもの目的は、なんらかの情報介入をもって人や社会を動かそうというもの(あるいは望ましいスタイルの維持)なので、人が何かを感じて、行動にむすびつくかどうかといことの理解が必要になります。
その意味ではどこかの時点で認知心理学のまとまった情報を学ぶことが必要になるとおもいます。
読みやすかったのはこちらの本でした(日本語)。
コミュニケーション心理学―心理学的コミュニケーション論への招待クリエーター情報なし北大路書房

残念ながらといいますか、以下は英語の本です。

こちらは、即時使えるノウハウだけ求めている人はスルーしていいです。
いや、せっかくだから体系的に学びたいのよ、、とか英語が苦手ではない、予算が多少余分にある方にはヘルスコミュニケーションという超各論を学ぶ前の総論を知るためによい1冊です。
Evidence-Based Public Health Practiceクリエーター情報なしSage Publications, Inc


こちらも基礎テキストの領域。即席ノウハウのみでいいならスルーしてOK。
Designing Health Messages: Approaches from Communication Theory and Public Health Practiceクリエーター情報なしSAGE Publications, Inc


これもテキストブックなのですが、具体的な記載が多いので、がっつりやるのはしんどい、しかし聞きかじりではなくある程度勉強したと言いたい人にはこちらがおすすめです。
今回紹介する中では一番読みやすい本だとおもいます。
Essentials of Public Health Communicationクリエーター情報なしJones & Bartlett Pub


いろいろな理屈を学ぶのが好きな方は、ソーシャルマーケティング系もおすすめです。とりあえず2冊紹介。
Social Marketing for Public Health: Global Trends and Success Storiesクリエーター情報なしJones & Bartlett Pub

Social Marketing and Public Health: Theory and Practiceクリエーター情報なしOxford University Press


感染症関係ではリスクコミュニケーションも大きなテーマですね。何度か紹介している本の一番新しい版。
Risk Communication and Public Healthクリエーター情報なしOxford University Press, USA


個別のやりとりのコミュニケーションについては日本語の本もいろいろるので、あえて文化的な文脈の異なる英語で学ばなくてもいいのかもしれれませんが、一応2冊。
Talking about Health: Why Communication Matters (Communication in the Public Interest)クリエーター情報なしWiley-Blackwell

Communicating About Health: Current Issues and Perspectivesクリエーター情報なしOxford Univ Pr (Sd)

(これらは、感染症対策関係の原稿でまとめる際に必要にせまられて、海外の関係者に相談して入手した本)

情報でヒトや社会を動かす、ケアする、、、ですが、
現在、この分野を専門家として勉強しようとおもったら、IT技術などとあわせて、ポリシーに落とし込むところまでを学ぶHealth Informaticsの分野が熱いです。

最近の風疹でも露呈しましたが、感染症の流行監視、そもそも国民における感受性がどれくらいなのか、今回臨時で接種をした人のデータをどうとるのか?というシステムの不備の問題が日本ではあまり話題になりません。
(戦争時代と何もかわっていないんだよ、、、とぼやく声が周囲に。)

お金をかけている国ではどうなっているかの解説記事:
「 健康リスクと疾病の監視・登録システム:米国の現状,展望と課題」(保健医療科学 2010年)

この分野のコンピテンシー 
CDC Public Health Informatics Competencies
こちらはオーストラリア版

いろいろな文献 Health Informatics

大学院がdiplomaやmasterのコースをもっています。
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