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Channel: 感染症診療の原則
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その熱や下痢はなんだ:渡航地、行動、滞在日数で考える

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下痢ほど奥深いものはありません。解剖学的にも奥深いものがあったりします。
ひとことで、げり、といっても、患者さんの表現からしてちがいます。
もともと「ゆる」系のかたはあまり問題視をしません。
もともと「つまり」系の方も、驚くかというと、「でていいじゃん」と肯定的にみたりします。

ちょとちゆるくなっても下痢という人もいますし、1日に数回トイレに以ねばならない水要便であっても「げり」といわれたりします。

お腹が痛い,長引く場合には受診してくださる患者さんも増えます。

ものによっては悪化したり、周囲に感染させるとまずいお尻系の感染症もあるので、長引くとか一定の頻度/性情だったら受診をしていただきたいところであります。
が、ときどき下痢止めや抗菌薬をざっくりすぎる出し方で渡しておわりなクリニックもあったりしますので、受診のすすめも難しいと感じるこの頃です。

さて。
受診をすると、医師は次のようなことをたずねます。基本的なところでは食べ物情報。
下痢になりやすい食べ物がありますのでそれをさぐります。

そのとき一緒にいた人は同じような症状ないですか?とも聞きます。一緒にいた人のことを知られたくない場合は教えてもらえません。
 (同じツアーで集団発生、という事例もありますので団体旅行かを確認することも大事)

あれ?とおもったら保健所に電話、です。

「広域対応により探知できたインドネシア・バリ島旅行者での細菌性赤痢の集団感染について―渋谷区」IASR 2009年

「バングラデシュツアーにおける腸チフスの集団発生」IASR 2004年

中国への観光旅行帰国後、細菌性赤痢感染が判明した事例−山形県 IASR 2007年

先進国でもおきるときはおきる。
「ハワイからの帰国者における細菌性赤痢集団発生事例」IASR 2006年

デングはハイシーズンのときは要注意です。
「フィリピンへの団体旅行で感染したデング熱3症例」IASR 2001年

「韓国修学旅行が原因と考えられる腸管出血性大腸菌O111などによる高校での集団感染事例−金沢市」IASR 2004年

「中国(上海、北京)への修学旅行者における腸管出血性大腸菌O157感染事例−佐賀県」IASR 2006年

こちらはオーストラリア。
「修学旅行先において腸管出血性大腸菌 O26に感染したと思われる事例−佐賀県」2008年 IASR

安全そうなイメージの国でもおきます。
「マレーシア、シンガポールへの修学旅行での細菌性赤痢感染事例−神戸市」IASR2006年

いまだと「風疹じゃ?」と検査前確率でいわれてしまうかもしれませんが、、流行地への渡航歴がありワクチン接種歴がなかったら麻疹シフトをしないと保育園などでは0歳児に拡大してしまうリスクがあります。
<速報> 広島県内における海外からの輸入麻疹およびそれに引き続く関連患者の発生 2011年 IASR

海外に行った,,,という場合は「旅行者下痢症」というとてもメジャーなカテゴリーの患者さんになります。
Yellow BookTravelers’ Diarrhea
どこに?
 何日くらい?
 現地で何をしたんですか?(ガンジス川で泳いだとか、チャオプラヤ―側におっこったとか)

生野菜、生果物、氷の入った飲み物、、、はかなり疑わしく、
それは意図的に避けたとしても、裏に回ってお皿やコップを洗う現場をみたら「きゃあああ」なこともあります。

日本って安全な国なんだなあとつくづく思う瞬間です。

で、大事なのは感染から発症までの日数です。
病原体によって特徴がありますので、症状とあわせて、ドクターが「あれかなこれかな」と考える情報源になります。

これから出発される方には、こちらのパンフレットもお渡ししたいところです。パスポートセンターや旅行会社のカウンターにぜひおいてください。

旅行者の○○、、、という勉強も、機会があったら学習したいテーマ。
教科書類はお高いですが、CDCのサイトに素晴らしいコンテンツがあるのでまずこちらで勉強します。
Persistent Travelers’ Diarrhea
Fever in Returned Travelers

まあ、食べ物の話は聞きやすいのですが、下痢や発熱など感染症系ではsexual contactのリスクも確認しなくては、です。
ドキドキしないで上手に聞けるようになるといいですね。

(診察したドクターが手を洗わないのもどきどきしちゃいますがー ぼそぼそ)

HIV感染症とドクターG

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日本におけるHIV感染症の黎明期。それは感染症科が不在の施設では(感染症科があっても肝炎だけとかの感染症科だった)呼吸器や血液内科が担当していました。
漠然と感染症に強い、免疫不全の感染症に慣れている・・といった暗黙の了解に基づくものでした。

さて、今日、HIV感染症で求められる診療科は?
ずばり解答は総合診療ドクターGでしょう。



それを物語るのが、本日のICAAC2012年の学び

症例:
62歳女性です。HIV感染症診断後7年。CD4は300、ウイルス量は4Logです。

HIV感染症以外の余病:
肥満、糖尿(Type2)、冠動脈疾患、高血圧、高脂血症、食道炎、重症骨粗鬆症、重症うつ病、軽度肝機能障害・・と並びます。

服用中の薬剤:
Metformin、Metoprolol、Lisinopril、Hydrochlorothiazide、Simbastatin、Omeprazol、Calcium、VitaminD、citalopram、Low dose ASA
おお、これぞ見事なPolypharmacy !!

さてあなたの選ぶHAARTは?

Backbone:
会場の人気#1:TDF/FTC。#2:ABC/3TC OR ZDV/3TC

3rdDrug:
さて・・以下のどれにしますか?
EFV, RAL、Rilpirivine(second-generation NNRTI)、Elvitegravir/cobicistat、MVC if R5 tropic、Other・・
会場の意見は割れましたが、RALが最多でした。

さて問題を整理すると
EFV:うつで駄目
RTVのBoostはCholesterolで駄目>>ATV/R、DARU/R ??
ATV/R:Omeprazolで駄目
NVP;CD4が400で肝機能障害で駄目
Quad FDC:薬剤相互作用で駄目、β遮断剤で駄目
Ripivirine:PPIはコントラで駄目。Omeprazolが駄目

結論:全てをバランスできるGIMが大事。
We need 総合内科ドクター by Gerald Stein



(写真:長年続いたエイズ学会恒例のInteractive Session。「HIV感染症はGIM」を体現するKhalsa医師と)

耐性HIV感染症 今でもいるの?

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ICAACDVD2012年の学び、本日のお題は耐性HIV感染症。
「Clinical management of Antiretroviral therapy experienced patients」

めっきり見なくなりましたね耐性の問題・・。
HAARTを始めて半年後、一年後のCD4上昇率も、ウイルス量検出限界以下達成率も飛躍的に改善しています。

そんな今日、耐性HIV感染症の悩みなんて一種の非日常・・?

でも、やはりCompliance、AdherenceがPoorなPopulationを一定数かかえる国では今でも問題なのです。

それでは症例に参りましょう。
PresenterはPablo Tebas、スペイン系アメリカ人。発音は完璧スペイン系。

70歳男性 ウイルス量(VL)62, CD4:400

HIV感染症の診断は1986。最近調子が悪い・・という事で来院。
既往歴:KS、Castleman、CAD、CRF、高Lipid・・まあこんなとこですね。

さあて、HAARTの歴史は
1:ZDV/3TC/IDV/EFV(字を見るだけで吐きそう・・)
2:ABC/SQV/RTV/EFV(サキナビルなんて懐かしい・・(笑)
3:d4T/3TC/EFV(懐かしい)
4:d4T/3TC/NFV(超懐かしい)
5:TDF/FTC/EFV(おお、Modernだね)

この後、Adherence問題でウイルス的Failure

さあ、問題です。次のHAARTは何にする?

Pablo先生のチョイスは
TDF/FTC/ZDV+Kaletra

このお陰でVL検出限界以下+CD4:400 >>めでたし!!

ではない!! 心筋梗塞起こしました。

これに対してはAtrovastatin、Gemfibrozilが・・。そしてHAARTはATZ/r+ZDV/3TC 

これで高Lipid、腎機能が悪化

さあ、問題です。次のActionは?
1:Atrovastatin量の増加
2:AtrovastatinをRosuvastatinに変更
3:プロテアーゼ阻害剤をRALへ
4:プロテアーゼ阻害剤をRilpirivineへ
5:わからん!!

Judy Aberg 先生:
SWITCHMRK研究を見て! 脂質は良くなるかも知れないけど、やはりKaletraはRALよりも安全なのよ。
このような沢山のHAARTを経験した症例では、耐性検査に表現されないArchiveされた耐性が沢山隠れているの。
だからNNRTIやRALのようなIntegrase阻害剤は耐性バリアの低さゆえに駄目なの。
Lancet. 2010 Jan 30;375(9712):396-407

という事で、こういう症例はやはりエキスパートに相談ですね。
少しずつ抗ウイルス薬を試しては変更・・は、絶対にしてはいけないのですから・・

(写真:駒込病院 2012年度卒業生ら。 そういえば明日から2013年度、駒込病院の毎週講義Series開始だ・・)

深読み 各地の風疹対策

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明日9日のNHK「クローズアップ現代」は、聖路加つながりの齋藤昭彦先生が登場します。
編集長は東海大学で講義のため、録画予約をしたそうです。

風疹大流行 〜遅れる日本感染症対策〜

ぜひご覧ください。19時30分と、歳放送0時10分〜です。


編集長が学術顧問をしている、サクラの松本会長は、関連会社社員の対象社員のワクチン接種費用補助の期限を最初から切っていました。

「いつでも(接種)できると思うと人は動かないものだ」と。

たしかに。そのときしかチャンスが無い!というのと、あとでも大丈夫らしい・・・では行動科学上もインパクトが大きく違いますね。

さらに、「感染症対策なら、スピーディに、もっとも有効な策をとるべきだろう。ゆっくりやったら効果がない。その間に広がってしまう」とも語っていました。

医療者ではなくても、そのようなセンスがある人もいるわけですが、感染症関連のことを決める会議に詳しくない人たちがいるとどのようなことになるのか。

いまだに「妊婦はご注意!」とか書いている自治体をみると、とほほ感をとおりこして、怒りを感じます。


「費用補助の対象の男性は「妊婦の夫」。その証明として母子手帳やそのコピーを持参すること。」としている自治体があります。

今回の流行の多くは20ー40代の男性で、妊婦への感染が問題なわけですが、まず、母子手帳をいつもらいにいくかというと、

ありゃ?生理こないわー。
マツキヨで買った尿検査したらプラスだわー。あらあら。
じゃあ、病院いかなくちゃー。いついこうかなあ。お金いくらかかるんだっけ。そういえば、相手にいわなくちゃ。
病院で母子手帳もらうよういわれたわー。
平日昼間もらいにいかなくちゃ〜。

「妊婦の夫」判定されるのはここからです。

世の中の女性は必ずしも「あ!妊娠なう」とかすぐに気づく訳ではありません。月経不順だったり、不正出血があったり、もともとおおらかな性格だったりすると、気づくのがかなりあと、というひともいるわけです。

・・・という流れですので、風疹に感染したら一番まずい妊娠初期にウイルス曝露しちゃうんじゃね?と思ったら、男性のカテゴリーをこんなに厳しく狭くとるのは、そもそも何の対策なんだよ?なわけです。

女性がこれから妊娠予定がある人、ならそのパートナーでよかったんじゃ?

川崎市はイケてます。

■妊娠している女性の夫(児の父親)
■23歳以上(平成2年4月1日以前 生まれ)の妊娠を予定または希望している女性
まあ、ここまでは多くの自治体と一緒(19歳以上、にしているところが多いみたいですが)
さらに

■23歳〜39歳の男性(昭和49年4月2日〜平成2年4月1日 生まれ)

もはいっています。
まさに、リスク層をケアしようというアイデアや決断をどうしたのか、川崎市にきいてみたいですね。
キラリと光る公衆衛生医がいたのか、熟知している議員がいたのか、いやいや、元感染研感染症情報センターの岡部先生が川崎の衛研にいらっしゃるからか。

なので、妊婦の夫(母子手帳をもっているひとだけ。きりっ)と書いているところを深読みすると、なんのためのワクチンだか実はよくわかってないのでは?と深読み(妄想?)したりするわけです。

東京都中央区は、人口が少なくお金的には恵まれている自治体です。
東京都が補助についてアナウンスをしたのが3月14日なので、「3月14日から31日までに自費で接種した人には償還払い」という太っ腹ぶりです。さすがです。

先に接種した人たちが、しょんぼり、がっかり、ときにプリプリしていますので、償還払いはありがたい。しかし、これは手続きの煩雑さ、入金などにとられる手間ひまコストが大変です。
ワクチンの費用以上に、自治体は間接経費を負担しているのだ,ということも忘れてはいけませんね。

しかも、多くの自治体が「平成26年3月31日まで補助します」あるいは「平成25年12月末まで」としているところ、5月31日が申請の締め切りです。

これは、冒頭に紹介した、松本会長的な発想で、「さっさと皆を接種に動かして、この風疹の流行を抑制するのだ」という決意の期限設定なのでしょうか。

深読み、であります。

東京より感染がひろがっている関西の自治体が何もしないのは、焼け野原にするつもりなのか?という深読みもあるのですが、ワクチン反対論のひとたちのなかには、今回皆が風疹にかかって免疫がついていいね!と書いているひとたちもいます。

その狭間で妊娠初期に感染する女性の絶対数が増えてしまいます。それでいいのか。
自分ではない誰かのリスクに思いをはせるとか。お金がないなかで、弱者のケアは後回しになるのか。

意思決定プロセスが議事録で残っていればあとで検証しましょう。
議事録も無いレベルで決まっているとしたら、そのレベルで決めれることなのだという前向きな解釈をして、今ある不都合を改善するよう提案するのも一案。

HIV感染症:新しい肺炎球菌ワクチン Schedule ご存じ?

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肺炎球菌ワクチン
2012年のCDCのRecommendation

#1:19歳以上のHIV感染者で肺炎球菌ワクチンやった事ない症例
「the pneumococcal 13-valent conjugate vaccine」をやれ!
そして更に最低8週間以上の間隔をあけて「pneumococcal 23-polyvalent vaccine」をやれ!
そして更に2回目を5年以上経過してやれ!

#2:以前に「pneumococcal 13-polyvalent vaccine」やった症例

最低8週間以上間隔あけて、もう一発「pneumococcal 23-polyvalent vaccine」やれ!
そして更に2回目を5年以上経過してやれ!


新しいワクチンが出れば推奨も変わるのが普通の国。

(編集長:但しガラパゴス島では、今日も明日もなにも変わらないぜ!!)

お見逃しなく!!

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いよいよ明後日に迫りました!!

市中病院でみる世界の感染症

今回は病理です。

30分で明日からNEJMの病理写真が読める
という日大砂川先生の講演

グローバルな視点から見た日本の病理医の現状
という田澤SRL会長の講演

これを見逃す手ははない・・

6/4 「HIV感染症 臨床ベーシックUpdate」

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1年間に約1500例、届け出のあるHIV感染症。
感染症のドクターは、院内で「もしかして?」となったときに一番最初に相談がきます。
ときどき新しい情報を得にでかけましょう。


駒込病院でお世話になっている今村先生がオーガナイザー。

企画や実質が次世代にうつり、activeな情報発信が行われていて何よりです。

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HIV感染症治療東京フォーラム 「HIV感染症 臨床ベーシックUpdate」

本セミナーは、感染症に携わる医療者の方々を対象に、HIV感染症治療全般のベーシックな臨床を中心に最近の状況をご紹介いたします。
会場は第87回日本感染症学会学術講演会会場(パシフィコ横浜)より徒歩約5分です。
学会への参加予定の有無に関わらず、ご興味・ご関心をお持ちの皆様のご参加をお待ちしております。

日 時: 2013年6月4日(火) 17:00〜18:30
会 場: 横浜ワールドポーターズ 6階会議室1+2

        〒231-0001 神奈川県横浜市中区新港2-2-1 

        Tel: 045-222-2400  http://www.yim.co.jp



Program:

第1部 17:00〜 症例提示(Case 1,2)

第2部 18:00〜 HIV感染症治療Overview



座長: 今村 顕史 先生(がん・感染症センター都立駒込病院 感染症科 医長)

講師及びコメンテーター:

相野田 祐介 先生(東京女子医科大学 感染症科)
中村 造 先生(東京医科大学病院 感染制御部)
西島 健 先生(国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター)
村松 崇 先生(東京医科大学病院 臨床検査医学科)
吉村 幸浩 先生(横浜市立市民病院 感染症内科)



参加対象: 感染症に関わる、または興味のある医療従事者(医師、研修医、薬剤師、看護師、検査技師等)

参加申し込み: 以下を記載の上、メールでお申し込み下さい。jp.hiv-project@viivhealthcare.com

  氏名・所属・HIV診療経験有無(経験症例数)   

  *50名で閉め切らせていただきます。

参加費: 500円(当日お支払いください)

共催: HIV診療教育研究会・ヴィーブヘルスケア株式会社

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ななめ読み。H7N9, H7N3, 新しいコロナウイルス

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スクリーニングで軽症例がひろわれるようになり、鳥の調査でかなり広く侵淫しているようだとわかり、市場をしめて曝露を減らすという大鉈をふるったあと、、時間もたってだいぶトーンダウンしてきた中国のH7N9の話題。
この先も、重症呼吸器感染症(インフルエンザ様)のサーベイランスであがってくる症例はあるとおもいます。
どこかの時点で血清サーベイが行われて、無症状で感染している人たちが把握されると、流行の分母の規模にせまれるでしょう。

H7N9は低病原性トリインフルエンザですが、高病原性インフルエンザの症例報告がアジアで、トリでのH7N3のアウトブレイクが台湾やメキシコで把握されています。

Notes from the Field: Highly Pathogenic Avian Influenza A (H7N3) Virus Infection in Two Poultry Workers ― Jalisco, Mexico, July 2012(MMWR)
日本語:2人の養鶏業従事者の高病原性鳥インフルエンザA(H7N3)ウイルス感染−メキシコ、ハリスコ州、2012年7月

Jalisco、スペイン語なのでハリスコ、なんですね(^^;)。

(たくさんあるウイルスがどのように分類され、ヒトにどの程度のインパクトをもつのか、、、はときどき勉強してはまた忘れ状態です)


ここ1週間は、新しいコロナウイルス感染症が原因とされる死亡例やヒトヒト感染疑い例などが話題になっています。

医療者への感染うたがい例もあり、あわせて注目していかないといけませんね。

ICPの坂本先生のブログの記事から関心を高めていきましょう。

5月8日
中国で感染して台湾で診断された患者さん、回復へ


さて。5月10日のニュース。

「カナダはH7N9のワクチン臨床試験に参加せず」。
Canada not planning H7N9 bird flu vaccine studies; will watch US results: PHAC

写真のPPEも参考になります。

10日、新規症例報告が20日間ないので、、上海はH7N9の厳戒態勢を解除。
市場閉鎖にどれくらいお金が投じられたのでしょうね。
上海将继续做好动物H7N9禽流感防控工作

また市場を再開したら報告されるかもしれませんが・・・

この先も積極的に検査をバンバンすれば症例は増えていくと思います。
何の目的でどこまでやるか?ですね。

東京都が10日にまわしてきた通知はよくわからなくて、肺炎症例じゃなくても検査しろ的な話になっていたような。
重症例じゃない人までばんばん検査を出しなさいということですかね。
自治体に行政検体だしたら、1件1万数千円しますけれども。

現場では臨床的にどうかということや、基礎疾患があるのかとか、そういった個別のケアの話。

WHOがサウジに新しいコロナウイルス感染症の調査にでかけた(8日)という記事。

HIV感染症 予防投与PrEP

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本日はHIV感染者と非感染者のCoupleに対する予防投与。
感染している人を治療するとPartnerの感染率は著しく低下しますが、更に未感染のPartner自身にも抗HIV薬を投与・・というDrasticなもの

なかなか日本の医療文化からは生まれにくいAggressiveなアイデアですが、既に米国では昨年の6月からFDAに認可されています。

相手がPositiveな方は、ツルバダを服用して・・

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm312210.htm

本日は予防投与PrEPとその周辺でございます。(古い!? スミマセン。これが編集長のPaceなので)

ちなみにFDAはリクエストします
#1:PrEPする時、服用者は間違いなくHIV陰性を確認して!!
#2:ツルバダを売るGilead社は予防投与服用にもかかわらずHIV感染したPartnerのウイルス株の耐性を調べる事。

さて症例ですが・・

35歳MSM CD4:400-500,ウイルス量4Log 本人希望にてHAARTやってない。PartnerはHIV陰性。

さて、このPartnerにPrEPするかい? その根拠は? というのが質問その1。
・Cohen先生の有名な論文はNEJM2011にありますが、この場合99%はHeteroのCoupleでした。(こちらはHIV感染者にHAART)
・その前にMSMの論文がGrant RらによりNEJM20132010 こちらはMSMで非感染者に投与(これこそPrEP)>>この論文からFDAの上記の認可に結びつきました。

シンポジストの意見は結構割れました・・。但し恐れられた耐性出現は殆ど無し。

さて、PrEPするなら組み合わせは?・・が質問その2 >>回答は・・
・これも割れました。結論はこれからの研究成果を待とう。
・割れなかったのは、PrEPしてもSafe Sexの実行大事。(STDはHIVのみでないから・・)
・一番人気は
Elvitegravir, Cobicistat, Emtricitabine, and Tenofovir Disoproxil Fumarate [Quad FDC Tablet:商品名Stribild] ああ長い・・
この、fixed-dose combination elvitegravir (ELV), cobicistat (COBI), emtricitabine (FTC), and tenofovir disoproxil fumarate (TDF)
は新しいインテグラーゼ阻害剤でシンポジスト達に人気でした。

・ちなみにCobicistatはCYP8Aを抑制して血中濃度を高くする働き。尿細管に作用し少しCreatinineが上がるので注意。本当の糸球体濾過量の低下ではなく8週間くらいで落ち着くとの事。 8週以後、Creatinine上がるならば問題なので調査せよ・・との事。

え? 面白くない? 
編集長:Me too!!

(写真:編集長 on special pillow)


出会い・・

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本当に人間の出会いとは不思議なものです・・

何気ないビジネスシーンでの名刺交換で終わるかな・・と思った人と公私ともに極めて長いお付き合いになる事も・・
そんな感慨をもったのが昨日の「第8回市中病院でみる世界の感染症」セミナでした。
砂川先生の「病理診断学の初歩・・」といった講義も魅力一杯でしたが、田澤氏の「グローバルな視点から見た日本の臨床検査の現状・・」も圧巻。

参加者はあんぐりと口を開けて、その怒濤の事実を突きつけられたのでした。例を挙げると・・

13億の人口を持つ中国が皆保険で国民をカバーする率は、すでに1億の人口しかない日本を凌駕している・・
中国の遺伝子検査の量は、領域によっては既に米国のそれを凌駕している・・
2重、3重の査察制度に監視されている米国の臨床検査制度に対して、日本では全くの野放し状態にある病理、細菌検査領域・・
年間数億の赤字を出しながら行われる日本の外注細菌検査・・
米国病理医。その恵まれたの待遇+その数は日本の10倍。(人口は3倍)・・

与えられる出会いを大切にして行きたい・・と改めて思わされた事です。

(写真:編集長と田澤氏とSeattle ヘルスサミットで。右肩だけ写っているのは某事故調委員長)

風疹対策 当事者の声

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感染症の対策は誰が何をもとに検討しているか?ですが、
日本は「誰が?」が国や自治体レベルでも不透明です。

テレビやメディアで「国民の声」とか軽々しい表現がありますが、主語がそれだと、結局はないにひとしい、場合に寄っちゃ声の多い利害関係者の思うつぼになりかねません。

根拠としては、科学として把握されている感染症の自然経過(ほうっておいただヒトや社会はどうなるのか)、対策に必要な技術や資源、コストなどを考えて政策として決まっていく訳です。

「リスク・アセスメント」をしているのは誰かです。
誰もしていない、アセスメントをしなくていいと決めたのなら、いつかおこるかもしれない、しかたのないdisasterとして受け入れるという「決断」の責任は首長や議会にあるのではないかと思います。

リスクアセスメントの結果、何もしないということもあるとおもいます。あまり有効な対策がないとか、理想論はあるけれど、フィージビリティに欠けるとか、そこまでお金がないとか。

アセスメントの結果○○をしよう、○○はしない、という判断は誰がしているのか(責任をおっているのか)?はどうでしょうか。

現在、風疹は流行していて、地域集中的に、そして時間経過とともに地理的に、他の年齢群にも拡大中であることは感染症発生動向調査が約2週間おくれの事実を伝えています。(感染症によっちゃ1−2週間情報が送れることがどれほど致命的かということもあるんですが)

できることは小さなことから(情報発信)大きなことまで(ワクチン費用補助や国への提言)いろいろですが、
山梨県富士吉田市のように、風疹の流行を止めましょう、というアピールをしているところもあります。
大流行地でも「妊婦は気をつけてください」的ずれた記載しか載っていないところもあるので、対照的です。

以上は行政の話にとどまりません。
関連する専門団体、なども、現在もHPをみても何も載ってない(会員へのアピールもない)ところもあります。

その、しーん、とした不気味さのなかで(興味が無いの? うちは専門団体だけど何もしなくていい何もしなくていい、という判断なの?)、当事者の人たちが声をあげ、顔をだし、うったえています。

(余談ですが、、、当事者である成人の患者さんは自分で自分の体の写真を撮影して、ネットで症状の語りとともに公開しているヒトが多数います。さながら症例検討会のようです・・・)


不活化ポリオワクチンのときと同じ構図を見ます。

ポストポリオ症候群の痛みをコントロールしながら、車椅子や杖をつきながら、なんども署名を出しにいったり、小さな子が装具をつけてリハビリをしたり、厚生労働省の陳情にでかけたり。
10年近い経過の中で、日本はだめなんだよ、的あきらめや、狭いところでの批判はするけど、変えるための具体的な動きをつくれなかった。つくったのは当事者やそのサポーターのみなさんでした。


カニママさん(Twitter ID @kanimama ) さんのホームページは、当ブログでも以前紹介をさせていただきました。

「カニサンハウス たえこの部屋」

NHKのスポットにも出演され、多くのインタビューに対応されているご家族もブログで発信されています。

「COTO*HANAぶろぐ」
   パパのブログも。

「あのひとみたいになりたくないって思われてもいいから」と活動を続ける気持ちを語っています。


下記のニュース含め、当事者が懸命に伝える語りは、STOP風疹の右側の動画シリーズで見ることができます。




カニママさんの長女、たえこさんの記事ものっている漫画ももう一度紹介させていただきます。
細かい文字は苦手、、という方にもわかりやすい、教育的な資料だと思います。






天国にいるわが子へ―ずっと、いっしょだよ秋田書店


妊娠中の感染症の問題は風疹だけではない。
その問題も実は生じているのですが、まだ風疹対応におわれてうまく情報は流れていません。(助産師団体や母子保健課などが包括的に取り組むべき話題)

「トーチの会」の情報発信にもご注目下さい。

医療者や専門家にはまだまだできる1次予防やケアがあるのだ、と思います。
ワクチンや治療がないとしても。そこに、関心とサポートのこころで側にいることこそがCaring。
Caringについての英語の教科書の最初にはそうかかれています。

Neisseria meningitidis その1

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ええ、本日のお題は髄膜炎菌でございます。
ICAACDVDの学び2012は、「New Insights in Bacterial Meningitis」というセクション

Brandtzag, Petterさん。PresenterさんはEngland訛りの方でした。

#0:まず、世界的なEpidemiology的な話から・・
Meningococcusは世界中で悪さしてます。
特にアフリカでは髄膜炎ベルトが有名・・

#1:地域によって罹患年齢と血清型Serotypeが異なります。
・一般的に先進国では10代後半のPopulationに多くSerotypeはB,C多いのに、アフリカなど開発途上国では幼児か成人に多くSerotypeはA。

以上、本日は簡単ですが髄膜炎の第一回目でした。
TBC To Be Continued なのでStay tuned

(写真:編集長の新しい御用達、煮干しラーメン)

はじめて診た乳がんは男性だった

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青木編集長、弘前、沖縄、ケンタッキーと様々な修羅場や言語の壁にぶつかりながらサバイバルを続けてきました。

その中で、「おお!」という経験もなんどか。

5月12日の母の日にあわせて乳がんキャンペーンがあったそうですが、乳がんといえば、青木編集長がはじめて診た乳がんは男性だったとのこと。

どれくらいの有病率か?ですが、こちらは英国のデータ。
Breast cancer incidence in males

リスク因子は年齢。

1年間で実数でみると、男性が397例、女性は49,564例。

データやグラフ、文献の見せ方がきれいなサイトですね。

こちらは米国のデータ

男性の乳がんの治療は2013年2月15日更新情報。

人数がすくない疾病では、ピアな情報が得にくいですし、乳がんであることの理解もなかなか得られないかもしれません。
Facebookで情報発信しているひともいます(英語)。

7/7(日)市民公開講座「予防接種 受けなかったらどうなるの?!」

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世田谷の成育医療研究センターで市民公開講座が開かれます。
なかなか市民公開のものはないので、周囲で関心をお持ちの方、どのような情報発信や信頼関係作りを専門家がしようとしているのか見てみたいかたはぜひおでかけください。

主催、共催、協賛、後援、が興味深いですね。
こんなにごっちゃに並べることが可能なんだと学びます。

企画者として興味深いのは・・・・まず会場は病院の講堂ですから、お金かかりませんね。
講師は病院の医師と国立の研究所の医師ですから公文書でおよびするわけです。日曜日ですが。
(講師謝金の規定があります)

後援には厚生労働省が入っています。メーカーがならんでいてもOKなんですね。

ところで、なだたる専門団体も並んでいますし、上記の設定だと企画予算もあまりかけずにできると思いますが、なぜ製薬会社がここにはいっちゃうんでしょうね。
しかも特定の会社だけ。

協賛というのは通常お金を出すサポートです。この企画自体、製薬会社をいれないといけないのか?
不思議ではあります。(市民公開講座に)

主催は「小児医学健康振興財団」です。


ところで、タイトルの「どうなるの?」ですが、健康問題としては、

1)何もおこらないかもしれない(周囲のひとが予防接種をしてくれて集団免疫で守られるから)
2)その感染症になっちゃうかもしれない(感受性者ですからね。当然の帰結)
3)一定の確率で重症化/死亡のリスクがあったり、障害が残るかもしれない
4)周囲の感受性者にうつしてしまうかもしれない

ということでしょう。

健康以外のことではどうでしょうか。国や特定の状況によっては。

1)様々な責任をつきつけられる
2)権利を制限される 
3)余分にコストや手間をとられる
4)周囲に説明がいる

でしょうか。(そういった話ははいっているのかわかりませんが。)

どうなるの?ですが、
受けたくない、なるべく受けたくない、受けない選択肢があるのか知りたい、、、という人が社会には一定数いるわけですので、その人達へのケアをする話がちゃんと入っているのかも関心事項です。
つまり、説得のための話じゃないですよね?ということです。

ぜひ参加したいと思います。

Neisseria meningitidis その2

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ええ、本日もお題は髄膜炎菌でございます。
ICAACDVDの学び2012も「New Insights in Bacterial Meningitis」というセクションの続き

面白いよ・・

#1:保菌者Carrierの話し
髄膜炎菌のEpidemicsが起きている時、その分母を丁寧に見てみると・・

人口の10%がCarrier、1%が発症している。

しかし、更に丁寧に見ていると、Carrierと発症例では抱えている髄膜炎菌の種類が異なっている即ち・・
Carrier:莢膜の無い非病原性の菌、発症例:莢膜のある病原性の菌

これだけですと、何だ、元々発症者は凶暴な菌を抱えていたのね・・という事で本当の分母との比較ではない・・
と思いがち。

Stay tuned


#2:潜伏期間の話し
・一般的な潜伏期間は2-4日(短い!)
・でも咽頭部に2週間以上、保菌している場合には血清中に殺菌性の抗体が生まれる
・保菌の既往があり、一定の抗体価を保持している人は、保菌状態で済ませられるかも・・

(写真:先日のT海大学での講義風景)

5/17 第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会

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5月10日付のアナウンスが下記の審議会ページには10日掲載、傍聴参加できる会議のリストページには5月14日にHPでNew!と掲載され、申し込み締め切りが5月15日。


この会議は、予防接種行政における検討や意思決定において、関係団体や多様な立場の人の意見をヒアリングしたりすることをACIPにならって積極的にとりいれようという議論が1回目からあったので、会議そのものも公開してほしいですね。

厚生労働省ライブチャンネル(USTREAM)


ACIPのほうは過去のものもアーカイブがあります。

信頼を得るためには必要なプロセスだと思います。

ACIP Live Meeting Archive - February 2013

このような工夫をしないと、公開しているといっても、東京近辺の、平日昼間に動ける人しかこれでは1次情報を知ることができません。(メディアの伝える2次情報はまちがっていたりバイアスが入っていたりします)


アナウンス、資料や議事録の公開はこちら。資料の公開は迅速ですが、議事録公開が遅い。

これまでの、厚生労働省厚生科学審議会 感染症分科会予防接種部会


この春から、分科会に格上げ

予防接種・ワクチン分科会

この下にさらに3つわかれています。
予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会

予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会

厚生労働省のHPのなかに、予防接種のページを確立し、こういったものは一覧できるようになるのが理想だと思います。あちこち検索をかけてさがすようでは伝える工夫をしているとはいえませんから。

開催案内はこのような記載になっています。
PDFをダウンロードし、ファックスして参加するという方式です。
関心ある方は、この会議にかぎらず、一度参加されることをおすすめします。

国のさまざまな決定事項を知る良いチャンスです。
医学生や看護学生、薬学生にも、自分たちの仕事に関連あることを学ぶ機会になりますので。

可視化すること、そして関係者が意見や関心をもつことは重要。
声の大きい利益関係者に誘導されないためにも。


今後どのようになっていくのか?をフォローする方は、これまでの話の流れをしっておいたほうがいいです。

厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会における予防接種制度の見直しについて(第二次提言)


赤字や強調は編集部による加工。
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第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会の開催について
標記の会議を以下のとおり開催します。
傍聴を希望される方は募集要領によりお申し込み下さい。



1.日時
平成25年5月17日(金) 10:00〜12:00

2.場所
三田共用会議所3階大会議室(A〜E)
      (東京都港区三田2―1―8)
※注 霞が関ではない

3.議題
(1)厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会長の選任について
(2)予防接種基本計画の策定について
(3)その他

4.傍聴申し込み方法
傍聴を希望する方は、別紙の傍聴申し込み用紙に、傍聴希望者の
1「氏名」、2「所属」、3「住所」、4「電話番号」、5「ファックス番号」を記入の上、
平成25年5月15日(水)17時までに、下記申込先宛にファックスでお申し込みください。
希望者が多数の場合は抽選となりますので、傍聴できない場合があります。
申し込まれた方は当方から特段の連絡がない場合、傍聴が可能です。
なお、同一の所属先(企業・団体等)から複数の申し込みがあった場合には、調整させていただく場合がございます。

※傍聴される方は、「傍聴される方への留意事項」を遵守してください

<申込先>
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省健康局結核感染症課予防接種室あて
FAX 03−3581−6251

5.傍聴者される方への留意事項
 会議の傍聴に当たり、次の注意事項を厳守してください。これらをお守りいただけない場合は、退場していただくことがあります。
(1) 入館に当たっては本人確認を行う場合がありますので、送付した傍聴申込書、写真付身分証明書(社員証や免許証など)を持参してください。
(2) 事務局の指定した場所以外に立ち入ることはできません。
(3) 携帯電話等音の出る機器については、電源を切るか、マナーモードに設定してください。
(4) 写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできません(あらかじめ申し込まれた場合は、会議冒頭の頭撮りに限って写真撮影などをすることできます。)。
(5) 会議中に賛否の表明や拍手など、会議の妨げとならないよう静かにしてください。
(6) その他、部会長と事務局職員の指示に従ってください。

※いまのところ、エキサイトしてさわいで連れ出されるような人を予防接種関連の会議ではみたことはありません(ぼそぼそ)

傍聴申し込み用紙(PDF)

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Neisseria meningitidis その3

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髄膜炎菌の話し、続きます。
ちなみに、この研究者、英国で30年間、髄膜炎菌の微生物学的、臨床的、疫学的検討を地道に続けているのです。
髄膜炎菌感染症は、そんなに多い感染症ではないので30年という期間で初めて、一定のDataが集まり、真実が見えてくるのですね・・
髄膜炎菌はアシネトバクターなどと違って、そう頻繁に遭遇しませんから(したくないし・・)、このような地道な努力が大事。

#1:臨床像の分類
・これ分類出来る事すら編集長知りませんでした・・

①髄膜炎+Shock無し    全体の37-49% 死亡率0-1%
②髄膜炎+Shock有り    全体の13-20% 死亡率7-12%
③Shock有り+髄膜炎無し  全体の10-18% 死亡率16-52%
④Shockも髄膜炎も無し   全体の18-33% 死亡率0-5% 

・最後の④にも皮疹はあるのです。髄膜炎菌は抗菌薬開始後、20分で死滅する・・と誰かに聞いたのですが、実は、最後の④の皮疹中には細菌が抗菌薬開始後12時間でも菌が見つかる・・という話しでした。

#2:出血・壊死で失う部位
・皮膚、四肢:この辺は経験しますな・・
・眼球(網膜)、脳:ココココ、これは・・




(写真:湘南藤沢のStaff & PGY1 と辻堂にてラーメンを食する)

週末は仙台が熱い。 5/18-19  全員参加型レクチャーgalaxy

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製薬会社などがいっさいからまない熱い教育活動があるのをご存知でしょうか。

前回は、ふぐツアーと称して、ふだんメチャ忙しい最前線のドクターたちが山口にでかけていましたが、今回は仙台ですよ(牛タンツアーでしょうか?)。

牛タンたべたい・・・・・とつぶやいたら、東北大出身のT下先生から「利休ですよ利休」とすすめられました。G先生にもきいてみよう・・・。

医学部以外の学部でもチャレンジOKとのことです。
医師も参加OK。初期研修の先生などはとても参考になるとおもいます。

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この度、九州大、慶応大など全国各地で開催された
全員参加型レクチャー『galaxy』を、
2013/5/18(土)〜5/19(日)の2日間、
東北地方ではじめて開催することとなりました。

内容は、主に総合診療系の先生方に講師をしていただき、
カンファレンス型や実践参加型などの形式で
レクチャー・ディスカッションを繰り広げていきます。
「このような患者さんが来た時にどのようにするか!?」などの、
実臨床における考え方や診療の進め方・方針など様々なことを学べます。

主に臨床に関する内容ではありますが、
下級生にとっても臨床実習やその後の臨床に必ず役に立つはずです。

東北地方の大学のみならず、他地方からの参加も大歓迎です。
奮ってご参加ください。


 以下のアドレスへ 『件名:参加希望』 とした上で、
  1.大学または所属 
  2.学年または卒後年数
  3.氏名
  4.連絡先(メールアドレス)
  5.参加可能日(両日、5/18のみ、5/19のみ)
の『5点』を明記のうえ、送信してください 


 5/17(金)23:00
 ※ 申し込みはお早めに。


 tohoku_med_conferenceあっとyahoo.co.jp

講師;
片岡裕貴 兵庫県立尼崎病院 呼吸器内科
北和也 阪南市民病院 総合診療科
忽那賢志 国立国際医療研究センター 国際感染症センター
今野 健一郎 聖路加国際病院 救急部・集中治療部
佐田竜一 天理よろづ相談所病院 総合内科
志水太郎 練馬光が丘病院 総合診療科
平島修 瀬戸内徳洲会病院 総合内科
松本謙太郎 大阪医療センター 総合診療科
山本祐 自治医科大学附属病院 総合診療科

【参加申し込み】
https://sites.google.com/site/galaxysendai1/
  Topページ下部を参照してください

5月18日(土)
  8:30 開場、受付開始
  9:15 開始
  21:00〜22:00 終了

5月19日(日)
  8:30 開場、受付開始
  9:15 開始
  15:00〜15:30 終了

【場所】
  東北大学星陵キャンパス内 臨床講義棟2階 臨床中講堂

【定員】
  120〜140人

【対象】
  医療系学生 (大学・学部・学年不問)
  医師

【参加費】
  無料
  (交通費・宿泊費等自己負担)

【持ち物】
  聴診器(持っている方)
  昼食持参でお願いします


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もやしもん と 愛知県。(兵庫県はどうするのかな)

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あとでまとめの報告書をつくるため、経過の記録をつけています。何月何日にどこが何をしていた、していなかった、○○がこんな発言をしていた、というようなことです。その後の危機管理につなげるためですが。

お笑いネタになりそうな事件もおきています。まだかけません(くー)。
風疹の流行がおわり、妊婦さんが安心して町を歩けるようになった頃にあかします。

今日も興味深いやりとりがありました。

危機管理ってなんでしょうね〜。感染症対策をやるつもりがないなら、「予防が第一」とか「迅速な」とか「地域をこえた連携」とか気軽に書くな。
今日の時点で、H7N9>>>>>風疹と思っているとか、コロナはスルーとか、ほんとうにだいじょうぶかよ?と思う訳ですよ。(ぷりぷり)ええ。誰にいっているのかはそのうち・・。

ってところもあれば、岩田先生と漫画家の石川さんのように、伝える工夫と、拡散していいですよ、許諾とかいりませんよと、通常の垣根をこえて、迅速な危機管理とリスコミをかっこよくやってのけるひとたちもいます。

機能今日の風疹関連の大きなニュースは愛知県と もやしもん。

さて。また週末ですよ。

3月14日に東京都が、自治体が補助をするならその一部を補助しますよ、というアナウンス。とともに国に提言。

その後、
4月24日 神奈川県知事が非常事態宣言をして補助を決めました。
これはちょっとおどろきました。絶対補助しないといっていたので。前言を撤回することができる決断のリーダー。
感染症聞き対応時に、保身やプライドなんて「は?」ですよね。

4月25日 千葉県 風しんワクチン接種緊急補助事業について

川崎市、横浜市、相模原市など政令市は単独で決断もしましたが、神奈川県が補助をきめたので、小さな市や町も助成をはじめています。

そして、東京より流行しているのに、どうするの大阪は〜。CRSが2例でているのにどうするの兵庫は〜。同じくCRS報告のある愛知県は何もしないの〜?とおもっていたら。

東京から遅れること2カ月。5月13日からの補助をはじめたのは大阪府 http://www.pref.osaka.jp/chikikansen/kansen/rubella.html

5月15日 新潟県 「風しん予防接種費用の助成について」

5月16日 愛知県は今日、県知事のTwitterで補助をするという話を知りました。

以下、色や強調は編集部による。
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「午後4時30分から臨時の記者会見を行い、風しんワクチン接種緊急促進事業費補助金の創設について発表しました。昨年の特に7月以降、全国的に風しんの流行が拡大しており、愛知県でも、首都圏、関西圏と比べて多くはないものの、昨年は98件、今年も5月12日までに既に128件が発生しています。」

「風しんに感染すると、発疹、発熱などの症状が現れ、成人においては重症化することもあります。特に妊娠初期の女性が感染した場合、胎児が「先天性風しん症候群」になり、難聴、心疾患、白内障等の障害が発生する恐れがあります。今年に入り、全国で5件の報告があり、うち2件が愛知県です。」

「風しん感染の防止のためには、予防接種を受けることが最も効果的です。このため、今後、愛知県と市町村で風しんワクチンの予防接種の費用の2分の1を助成することとしました。 対象は、妊娠を予定又は希望する女性及びその夫の方です。」

「これに要する経費は、総額1億2600万円。23日開会の5月臨時愛知県議会に補正予算議案を提出します。都道府県では全国で5番目、中部地域では初めてです。県内全市町村にこの補助制度を活用していただくようお願いし、風しんの感染拡大の抑制と先天性風しん症候群の発生防止に努めて参ります。」
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埼玉県とか兵庫県はどうするんですかねえ・・・どちらもCRS報告がすでにありますが。

感染症ですから、対応が遅れるほど不利。
そのリスクをひきうけるのが妊婦と赤ちゃん。
それでいいのか。

感染症診療の原則 余録#1

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駒込病院における半年以上かかる「原則の講義」が再開されました。

何しろ時間の制約もなく、参加者も適宜入れ替わるカンファなので、脱線・脇道だらけのLectureとなります。

(Systemicな話しを聞きたい方はPfizer製薬の若手医師セミナやDVDを見て下さい)

現在は基本中の基本、4ヶの軸の話し付近ですが、今日は例の「周辺・余録」の話しです。

それは「抗菌薬の強さ」について。

研修医の諸君は「青木には強い抗菌薬、弱い抗菌薬という区分は無い」というコメントが衝撃的なようでした。

あるのは「スペクトラムの広い抗菌薬、狭い抗菌薬という区分」くらい・・

当然、お利口さんからは「Static VS Cidal」はといった疑問は出るのですが、臨床まじめにやってれば患者の基礎状態のほうがよほどCidalに効いてくる・・という事は自明の事です。

Cidalな抗菌薬を使ってもダラダラと発熱が続く好中球減少症が、白血球数の回復と共に瞬時に解熱する・・という経験をすると「自慢の抗菌薬」などというものが色あせて見えてくるものです。

逆に「白血球、あんたはエライ!!」という感謝の気持ちが湧いてきます。

一見、臨床的に「抗菌薬が”強い”、”切れが良い”・・」という現象は、実際は、患者が元気・・という事や、炎症反応が遷延しない・・という事だったりするのです。

PGY1の諸君。臨床Worldへようこそ。このような常識が良い微生物専門家、疫学専門家への道なのです。

(写真:昔、若かったY沢医師と編集長。失礼、Y沢は今も若い・・)
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