厚生労働省の保身アナウンスのせいで、昨日だけで、ワクチンが入手しづらくなったというメールが北海道と九州を含む19人のドクターからきています。
問題は実際の不足だけでなく、こうした混乱や困惑、不信にまで広がるということです。
不活化ポリオワクチンのときは、その代替選択肢があるのに、国の(ワクチンメーカーの)都合で、生ワクチンのリスクを赤ちゃんや保護者にとらせようという態度に激怒して(あきれて、あきらめて)、開業医さんが未承認ワクチンのリスクをしょいこんでのりきりました。
神奈川県知事のようにリーダーシップをはっきして、より多くの人を救った人もいました。
でも、当時、国内にはポリオは流行していませんでした。
中国での症例報告で、風向きは少し変わりましたが、「風が吹いている」と思うほどに、メディアを通じて紹介された、装具をつけたり車いすにのったポリオの患者さんの姿に多くの人が心を痛めました。
今、一番悲鳴をあげているのはおなかのなかの赤ちゃんです。
虐待なら「ああ、鳴き声がそういえばきこえていたわ。前からおかしいとおもっていたのよ〜」とかコメントする"善意の傍観者"が後出し訳知りコメントでをします。
おなかの中の赤ちゃんは誰に助けを求めればいいのでしょうね。
不活化ポリオワクチンで未承認輸入ワクチンの扱いを経験した医師は各地にいますので、詳しいことは地域の対策の際にその先生方におたずねください。
以下は小ネタです。
まず、いま、麻疹や風疹のワクチンにはどのようなものがあるか?ですが。
1つだけはいっている単身(たんみ)のワクチンにはM(Measles、麻疹)ワクチン、R(Rubella、風疹)ワクチンがあります。 先進国にはこの選択肢がないところもあります。
MMRで98%接種率、、、なら個別のワクチンは不要ですし在庫処分などももったいないですから。
日本で現在採用しているMRワクチンは世界全体でみるとマイナーな選択肢です。
「麻疹」+「風疹」の2種混合ワクチンです。
(ベトナムが日本の支援でMRワクチンを作る工場案件があります。日本基準で作れるならここから急いで輸入するという案もありですか?コールドチェーンの問題はありますが)
そして、世界のデフォルトはMMRワクチン。「麻疹」+「ムンプス(おたふく風邪)」+「風疹」の3種混合ワクチンです。おとなりの韓国、台湾、シンガポール、香港などもこちらを採用。
日本は「ムンプス」をはずして2種混合にしたわけです。ですので、こちらも実は感受性者がたくさんいて、数年おきの大流行が(今回の風疹のように)成人でおきたら、またたいへんです。
大人で流行性耳下腺炎になると、精巣や卵巣が腫れたり、難聴などの合併症につながったり。
泌尿器科に片側がぷんぷくりん に腫れたおにいさんやおじさんがたくさん入院する図はあまり想像したくありません。
お母さんにチョイチョイと廊下に呼び出されて、「うちの息子、種なしにはなりませんよね?」なんて会話をしたくはありません・・・。
参考: 砂川先生 「ムンプスワクチンの歴史」Blog 感染症の病理学的考え方
http://blog.livedoor.jp/garjyusaiga/archives/52149092.html
さらに。MMRVワクチンは、上記に+「水痘(水ぼうそう)」です。ばりせら、、、ですね。
メットしては、1回で済む(痛み、事故の確率が減る)、デメリットとしてはそれぞれの効果がどうなるのか?副反応がでやすくないのか?といったことが検討事項になります。もちろん臨床試験+市販後調査の中でモニタリングはおこなわれています。メリットとリスクと個人集団医療経済いろいろなことを考えて、採用している国ではこのワクチンに利あり、としているわけです。
気になるお値段ですが、、、、
米国CDCのワクチン価格リスト(2013年4月現在)をみると、
メルク社のMMR Adult M-M-R®II 10 pack - 1 dose vials CDC価格 $37.171 プライベート価格 $54.066
水痘がはいった4主混合 同じくメルク社
MMR/Varicella ProQuad® 10 pack - 1 dose vials CDC価格 $95.117 プライベート価格 $144.615
英国は4種はなくてMMRの3種。基本無料なので価格がよくわかりませんが、英国のトラベルクリニックではMMRワクチンは25ポンドとなっています。
経費がのってこの値段でしょうから、もとはもっと安い。
日本では開業医さんやインターナショナル系クリニックがPriorixを輸入されているようです。
窓口での値段は病院によってことなっています。
説明書がネットにありました。
グラクソスミスクラインのPriorix の説明書 PRIORIX® PRODUCT INFORMATION
カナダはグラクソスミスクラインのMMR+V(水痘も入っているMMRワクチン)を採用。
Priorix-Tetra™です。
米国が使っているメルクのProQuadは採用されていません。
目をアジアにむけてみます。
バンコクのマヒドン大学のトラベルクリニックではおいくら? http://www.thaitravelclinic.com/cost.html
お安い〜。米ドル表記がありがたい。
シンガポールのクリニックではおいくら? http://www.shimclinic.com/singapore/vaccination/
なるほどなるほど〜。各国採用ワクチンもちがえば値段もちがいますね。日本に輸入する時にはどうするか?ですが。
バムサに関連の解説記事がありました。ありがたい。
「渡航者用未承認ワクチンの輸入」
解説資料 2011年 「未承認ワクチンの輸入業者」
トラベルクリニックの元祖といえば原宿のKing Clinicです。
こちらのホームページを読むだけでも、講習会に出るくらいの情報量があります。すごいです。
輸入ワクチンの取り合いの実績があります。
VPDの会 国内未承認ワクチンで健康被害が生じたら?の解説。
関心のある方はバムサの記事にある未承認ワクチンや薬剤を扱っている専門商社(IMMCなど)にお問い合わせください。
編集長はといえば・・・昔、国立国際医療研究センター(当時は「研究」がはいっていませんでしたが)で、HIV感染症の患者さんの診療をしていたときに、不活化ポリオワクチンを扱っていたそうです。
お子さんが生ポリオワクチン・・・でおむつ交換などで感染したら、免疫不全の人たちはたいへんなことになりますので。(生ワクチンについては注意が必要です)
編集長、その後も、未承認の薬剤を扱うこともしょっちゅうありました。
ちなみに、HIV感染症の場合は東京医大の臨床検査医学講座(福武教授)のところのエイズ治療薬研究班が扱う薬剤リストをみておくといいですし、熱帯病・寄生虫治療薬関連では、宮崎大学の熱帯病治療薬研究班の扱う薬剤リストをみておくといいとおもいます。
(信頼できる薬局や薬剤師が米国にいるので、世界の薬剤情報収集はかなり楽)
問題は実際の不足だけでなく、こうした混乱や困惑、不信にまで広がるということです。
不活化ポリオワクチンのときは、その代替選択肢があるのに、国の(ワクチンメーカーの)都合で、生ワクチンのリスクを赤ちゃんや保護者にとらせようという態度に激怒して(あきれて、あきらめて)、開業医さんが未承認ワクチンのリスクをしょいこんでのりきりました。
神奈川県知事のようにリーダーシップをはっきして、より多くの人を救った人もいました。
でも、当時、国内にはポリオは流行していませんでした。
中国での症例報告で、風向きは少し変わりましたが、「風が吹いている」と思うほどに、メディアを通じて紹介された、装具をつけたり車いすにのったポリオの患者さんの姿に多くの人が心を痛めました。
今、一番悲鳴をあげているのはおなかのなかの赤ちゃんです。
虐待なら「ああ、鳴き声がそういえばきこえていたわ。前からおかしいとおもっていたのよ〜」とかコメントする"善意の傍観者"が後出し訳知りコメントでをします。
おなかの中の赤ちゃんは誰に助けを求めればいいのでしょうね。
不活化ポリオワクチンで未承認輸入ワクチンの扱いを経験した医師は各地にいますので、詳しいことは地域の対策の際にその先生方におたずねください。
以下は小ネタです。
まず、いま、麻疹や風疹のワクチンにはどのようなものがあるか?ですが。
1つだけはいっている単身(たんみ)のワクチンにはM(Measles、麻疹)ワクチン、R(Rubella、風疹)ワクチンがあります。 先進国にはこの選択肢がないところもあります。
MMRで98%接種率、、、なら個別のワクチンは不要ですし在庫処分などももったいないですから。
日本で現在採用しているMRワクチンは世界全体でみるとマイナーな選択肢です。
「麻疹」+「風疹」の2種混合ワクチンです。
(ベトナムが日本の支援でMRワクチンを作る工場案件があります。日本基準で作れるならここから急いで輸入するという案もありですか?コールドチェーンの問題はありますが)
そして、世界のデフォルトはMMRワクチン。「麻疹」+「ムンプス(おたふく風邪)」+「風疹」の3種混合ワクチンです。おとなりの韓国、台湾、シンガポール、香港などもこちらを採用。
日本は「ムンプス」をはずして2種混合にしたわけです。ですので、こちらも実は感受性者がたくさんいて、数年おきの大流行が(今回の風疹のように)成人でおきたら、またたいへんです。
大人で流行性耳下腺炎になると、精巣や卵巣が腫れたり、難聴などの合併症につながったり。
泌尿器科に片側がぷんぷくりん に腫れたおにいさんやおじさんがたくさん入院する図はあまり想像したくありません。
お母さんにチョイチョイと廊下に呼び出されて、「うちの息子、種なしにはなりませんよね?」なんて会話をしたくはありません・・・。
参考: 砂川先生 「ムンプスワクチンの歴史」Blog 感染症の病理学的考え方
http://blog.livedoor.jp/garjyusaiga/archives/52149092.html
さらに。MMRVワクチンは、上記に+「水痘(水ぼうそう)」です。ばりせら、、、ですね。
メットしては、1回で済む(痛み、事故の確率が減る)、デメリットとしてはそれぞれの効果がどうなるのか?副反応がでやすくないのか?といったことが検討事項になります。もちろん臨床試験+市販後調査の中でモニタリングはおこなわれています。メリットとリスクと個人集団医療経済いろいろなことを考えて、採用している国ではこのワクチンに利あり、としているわけです。
気になるお値段ですが、、、、
米国CDCのワクチン価格リスト(2013年4月現在)をみると、
メルク社のMMR Adult M-M-R®II 10 pack - 1 dose vials CDC価格 $37.171 プライベート価格 $54.066
水痘がはいった4主混合 同じくメルク社
MMR/Varicella ProQuad® 10 pack - 1 dose vials CDC価格 $95.117 プライベート価格 $144.615
英国は4種はなくてMMRの3種。基本無料なので価格がよくわかりませんが、英国のトラベルクリニックではMMRワクチンは25ポンドとなっています。
経費がのってこの値段でしょうから、もとはもっと安い。
日本では開業医さんやインターナショナル系クリニックがPriorixを輸入されているようです。
窓口での値段は病院によってことなっています。
説明書がネットにありました。
グラクソスミスクラインのPriorix の説明書 PRIORIX® PRODUCT INFORMATION
カナダはグラクソスミスクラインのMMR+V(水痘も入っているMMRワクチン)を採用。
Priorix-Tetra™です。
米国が使っているメルクのProQuadは採用されていません。
目をアジアにむけてみます。
バンコクのマヒドン大学のトラベルクリニックではおいくら? http://www.thaitravelclinic.com/cost.html
お安い〜。米ドル表記がありがたい。
シンガポールのクリニックではおいくら? http://www.shimclinic.com/singapore/vaccination/
なるほどなるほど〜。各国採用ワクチンもちがえば値段もちがいますね。日本に輸入する時にはどうするか?ですが。
バムサに関連の解説記事がありました。ありがたい。
「渡航者用未承認ワクチンの輸入」
解説資料 2011年 「未承認ワクチンの輸入業者」
トラベルクリニックの元祖といえば原宿のKing Clinicです。
こちらのホームページを読むだけでも、講習会に出るくらいの情報量があります。すごいです。
輸入ワクチンの取り合いの実績があります。
VPDの会 国内未承認ワクチンで健康被害が生じたら?の解説。
関心のある方はバムサの記事にある未承認ワクチンや薬剤を扱っている専門商社(IMMCなど)にお問い合わせください。
編集長はといえば・・・昔、国立国際医療研究センター(当時は「研究」がはいっていませんでしたが)で、HIV感染症の患者さんの診療をしていたときに、不活化ポリオワクチンを扱っていたそうです。
お子さんが生ポリオワクチン・・・でおむつ交換などで感染したら、免疫不全の人たちはたいへんなことになりますので。(生ワクチンについては注意が必要です)
編集長、その後も、未承認の薬剤を扱うこともしょっちゅうありました。
ちなみに、HIV感染症の場合は東京医大の臨床検査医学講座(福武教授)のところのエイズ治療薬研究班が扱う薬剤リストをみておくといいですし、熱帯病・寄生虫治療薬関連では、宮崎大学の熱帯病治療薬研究班の扱う薬剤リストをみておくといいとおもいます。
(信頼できる薬局や薬剤師が米国にいるので、世界の薬剤情報収集はかなり楽)