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Channel: 感染症診療の原則
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今週の MERS-CoV SFTS インフルエンザ A/H7N9 風疹

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ちょっと前に、H7N9に過剰に騒いでいた人たちをみて、インフルエンザよりコワーと思っていたのですが、
別の、臨床の現場の人が注目しなくてはいけない情報が増えている感染症にはあまり動くでもない関心もなさそうな風景が、感染症と同じくらいコワイ。

今週のニュースサマリー。

新型コロナウイルスnCoVは、その後いろいろな名前の候補がありましたが、最終的にMERS-CoVになったそうです。
Middle EastでMEです。名前って大事。

そのMERS-CoVで医療関係者が死亡。

5月23日 Expat dies of coronavirus infection in Qassim
http://www.arabnews.com/news/452650


地理的な関係や人とものの交流から、すでにヨーロッパで症例が報告されています。

報告をしているのはサウジアラビア、チュニジア、UAE、ヨルダン、カタール、イギリス、ドイツ、フランス。


下記に関連のEurosurveillanceの記事を経時的にならべていますが、今週の新しい動きとしてはお名前がついたということと、病原体はどこからきたかの手がかりを得るために動物での調査が行われています。検体は米国CDCに送られたそうです。
Saudis to send animal samples to US in MERS-CoV probe


関連情報はどこをみておくか?
ヨーロッパCDC(ECDC)のリスクアセスメントが早いのでこちらをチェック。WHOより早い。
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2012年9月
SEVERE RESPIRATORY ILLNESS CAUSED BY A NOVEL CORONAVIRUS, IN A PATIENT TRANSFERRED TO THE UNITED KINGDOM FROM THE MIDDLE EAST, SEPTEMBER 2012
Eurosurveillance, Volume 17, Issue 40, 04 October 2012

2012年9月
NOVEL CORONAVIRUS ASSOCIATED WITH SEVERE RESPIRATORY DISEASE: CASE DEFINITION AND PUBLIC HEALTH MEASURES Eurosurveillance, Volume 17, Issue 39, 27 September 2012 

2012年12月 
ASSAYS FOR LABORATORY CONFIRMATION OF NOVEL HUMAN CORONAVIRUS (HCOV-EMC) INFECTIONS
Eurosurveillance, Volume 17, Issue 49, 06 December 2012

2013年2月 
CONTACT INVESTIGATION OF A CASE OF HUMAN NOVEL CORONAVIRUS INFECTION TREATED IN A GERMAN HOSPITAL, OCTOBER-NOVEMBER 2012
Eurosurveillance, Volume 18, Issue 8, 21 February 2013

2013年3月
EVIDENCE OF PERSON-TO-PERSON TRANSMISSION WITHIN A FAMILY CLUSTER OF NOVEL CORONAVIRUS INFECTIONS, UNITED KINGDOM, FEBRUARY 2013
Eurosurveillance, Volume 18, Issue 11, 14 March 2013
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あと今週のダニ系。
国内16例目感染を確認=ダニ媒介疾患−宮崎県
時事ドットコム
マダニからウイルス検出=SFTS、国内初確認−山口
時事ドットコム

ダニウイルスによる疑惑患者、釜山でも治療の途中死亡
東亜日報 MAY 25, 2013
ダニによる感染死亡、備えれば恐れる理由などない
東亜日報 MAY 22, 2013
野生ダニによる死亡者、韓国では昨年初めて発生
2013年5月22日



Person-to-Person Transmission of Severe Fever With Thrombocytopenia Syndrome Bunyavirus Through Blood Contact
Clin Infect Dis. 2012 January 15; 54(2): 249–252.

感染症予防法の改正について(重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症の追加)
Y’s Letter Vol.3 No.26

"しかし一方で、ダニ媒介のみならず、中国では血液を介したヒトーヒト間による接触感染症例も報告されています。報告によると医療機関内でのヒトーヒト間の感染伝播の原因として、個人防護具を装着しなかったことが挙げられており、ある感染伝播事例では感染患者の蘇生術における気管挿管時に、手術時と同様の個人防護具は着用していたものの、フェイスシールドやゴーグルを着用していなかったため、保護してない皮膚や粘膜に血液が飛び散り感染した疑いが示唆されています。これらのことから感染予防としてはダニ媒介経路と血液媒介経路を遮断することが重要です。"

まだダニ全体の調査含めた疫学データが十分とはいえませんが、未知の病原体を含めてどのような状況の時にどのような感染防御ができるか、感染予防を「国から通知が出たから」「都からやれっていってないから」「ICTが言わないから」できないと、リスクが生じます。

多くの場合、新しい感染症の場合は「後から」○○○だった、と報告が来ます。
そのようなときに、ノーマークだった〜とならないためには、スタンダードプレコーションってだいじだなーとおもいますね。

で、H7N9の話は日に日に少なくなっているのですが、英語の情報をもらさずみるためには、CIDRAPの特設ページをみます。

Study: H7N9 shows limited aerosol transmission in ferrets
とか新しい話題でしょうか。動物でですが。


上海が警戒態勢を解除し、5月8日のニュースで「「大流行の可能性低い」 H7N9型で香港大の医師が統計分析」という発表もありました。

感染しても発症しない人、発症しても軽症だから病院に来ない人、サーベイランスであがらない人という大きな分母があるのでしょう、というところにおちついてきているようですが。動物はあまり具合が悪くならないので、ずっと感染源が人の側にいつづける、だから報告は続くでしょう、、、基礎疾患のあるタバコ吸っている高齢団例は重症化因子ですね、、、というところです。

日本では先週から今週にかけて新たな動き。

日本ではタミフル2倍服用を推奨 H7N9型で学会提言
5月18日
感染症学会、鳥インフルエンザA(H7N9)対応で暫定指針を公表
5月20日

風疹。
大阪府、大阪市、愛知県、名古屋市、兵庫県、、、、と成人ワクチン接種費用補助がきまりました。
補助は6月からね〜とか、自費で先に抗体検査してね!とか、誰がアドバイスしたんだろう?と疑問な現象もおきていますし、埼玉県が補助していませんし(知事から返事をもらった知人がいます。「補助しない」そうです)。

GWの影響でいっとき報告が減ったのですが、まがGW前にもどっています。大阪は東京より報告が多い。
もとの人口が違うのに。

男性が接種しに行くと「男性は接種いらないんだよ」と断られたり、「あなた、2年前うちで出産したときの風疹抗体値16じゃない。今無料だけど対象じゃないよ」と恐ろしいアドバイスをしたり、「いいですよお。9月に「風疹単独の」ワクチンが入荷したら、すぐ電話でご連絡しますねっ!」といわれたり。
いえ、都心の医療機関なんですけどね。

えーっと。・・・各国各地各医療機関、いろいろ、いろいろなのであります。

皆様どうぞご無事で。

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