駒込病院における半年以上かかる「原則の講義」が再開されました。
何しろ時間の制約もなく、参加者も適宜入れ替わるカンファなので、脱線・脇道だらけのLectureとなります。
(Systemicな話しを聞きたい方はPfizer製薬の若手医師セミナやDVDを見て下さい)
現在は基本中の基本、4ヶの軸の話し付近ですが、今日は例の「周辺・余録」の話しです。
それは「抗菌薬の強さ」について。
研修医の諸君は「青木には強い抗菌薬、弱い抗菌薬という区分は無い」というコメントが衝撃的なようでした。
あるのは「スペクトラムの広い抗菌薬、狭い抗菌薬という区分」くらい・・
当然、お利口さんからは「Static VS Cidal」はといった疑問は出るのですが、臨床まじめにやってれば患者の基礎状態のほうがよほどCidalに効いてくる・・という事は自明の事です。
Cidalな抗菌薬を使ってもダラダラと発熱が続く好中球減少症が、白血球数の回復と共に瞬時に解熱する・・という経験をすると「自慢の抗菌薬」などというものが色あせて見えてくるものです。
逆に「白血球、あんたはエライ!!」という感謝の気持ちが湧いてきます。
一見、臨床的に「抗菌薬が”強い”、”切れが良い”・・」という現象は、実際は、患者が元気・・という事や、炎症反応が遷延しない・・という事だったりするのです。
PGY1の諸君。臨床Worldへようこそ。このような常識が良い微生物専門家、疫学専門家への道なのです。
(写真:昔、若かったY沢医師と編集長。失礼、Y沢は今も若い・・)