昨年のICAACで興味深いPilot研究の発表がSwedenからありました。
いまや経済力で先進国に猛追をかける国が、時としてAntibiotic stewardshipでは圧倒的にBehindであったりします。
この場合、新しい抗菌薬、とくに広域抗菌薬が、市内で味噌醤油のように入手され使い捨てられて人々の腸管を汚染します。中にはESBL陽性菌も腸管ではぐくまれ、それが適切な下水処理をされないままにガンジス川などに流れ込み・・
さらに、先進国からの旅人は静かに黙想しつつ、川で沐浴しながらESBLを飲み込み、それと知らず軽症の下痢で帰国。やがて、それが・・
さて研究の結果あきらかになった出国時にESBL陰性で、帰国時にESBL陽性となった60人。3か月以内で陰性になる人が6割。1年経過しても陰性とならない人もいるようです。
興味深いことに渡航先については、どの国がESBL陽性となるリスクが高い・・といった事はないようです。
ESBLお持ち帰りのリスクとなりそうなのは40歳以下、60歳以上で下痢しなかった事、基礎疾患がある人・・など。(まあ基礎疾患は医療機関の接点という交絡因子たりえますが・・)
帰国後の抗菌薬の選択に影響を与えるようになるでしょうか?
(写真:米国の医療関連感染症の総責任者Bell先生とFETP卒業生で熱帯医学に詳しい小宮先生)