2012年9月27日 いつ頃から針や注射器はディスポになったのか 1
2012年9月29日 いつ頃から針や注射器はディスポになったのか 2
という記事を書きました。
そして国の委員会の調査結果を待っていたわけですが、、、
厚生労働省健康局結核感染症課B型肝炎訴訟対策室が担当をしている、第6回集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会が12月20日に開催されました。
配布された印刷資料はこちら。
ちなみに、前回の配付資料と議事録。これより前の資料は、こちらにあります。
今回の会議の資料を全部見ました。以下一部抜粋。
[資料1]検証項目ごとの調査手法及び内容
2.「日本におけるB型肝炎ウイルスの感染及び感染拡大被害の実態」
(2)B型肝炎ウイルスの感染実態(文献調査:垂直/水平それぞれの感染拡大への寄与について検討)だそうです。
3.「B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について」
文献調査:HBVが発見された昭和48年以降の論文や教科書などを収集
アンケート調査:開業医、保健所長など医療・公衆衛生従事者等を対象とし、当時の認識について把握
ヒアリング調査:関係学会や肝炎に関する有識者数名を対象とし、当時の認識及び背景等についての情報を把握。
4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握および対応
関係学会、医療関係者による把握及び対応、自治体及び予防接種従事者による把握及び対応、邦による把握及び対応
文献調査:昭和23−63年の文献検討
5、諸外国における予防接種制度及び予防接種に伴う感染防止対策の実態(アメリカ、イギリスなどの諸外国)
検証項目2「B型肝炎ウイルスの感染実態」
使用したデータセットは2つ。
1)日本赤十字社の献血での、"初回供血者"のHBs抗原陽性率(全体の80%以下が40歳以下の年齢層)
2001−2006の6年間で、3,748,422人
2)岩手県予防医学協会 節目検診受診者のHBs抗原陽性率(対象は40歳以上の年齢層)
2002年〜2006年の6,304,276人のデータ
1986年〜2009年の447,578人のデータ
感染を知らないまま潜在しているHBV感染者の推計数(5−74歳):79.4万人(73.5〜85.3万人)
全年齢におけるB型肝炎ウイルス感染者の推計数:90.3万人(83.7〜97.0万人)
ピークが55ー59歳。 垂直感染以外では、全体で約41万人、男性が27万人、女性が14万人という推定値が記載されています。
資料はこの他に、海外の状況、アンケート調査用紙が公開されています。
議論は傍聴していないのでよくわかりませんが、資料がこれしかない中で、報道記事を読むといろいろ疑問が湧いてきます。
そもそも、調査担当者は、上記の推計値を書いているのみで、これが予防接種によるものだとは結論づける資料は入っていません。
会議の中でそのような結論づけるやりとりがあったのかは議事録を読まないとわかりません。
B型肝炎が家庭内で祖父母や父親から子どもに感染したり、集団生活や性行為などで水平感染することは古くから知られていることですので、田中教授の資料にある推定41万人(男性27万人、女性14万人)のなかでどこが予防接種かの説明が必要になります。
そもそも、感染症ですから性別や年齢だけでなく地理情報とのリンクも重要です。
今回のデータセットで十分なのか?
この時期の針や注射器が問題だとするなら、歯科診療での感染リスクはどう考えるのか。
なぜわからなかったんだ、なぜディスポにしなかったんだ、ということは科学的なエビデンスの発見や普及に関連する話なのでありますが(それを文献やヒアリングで検討)、1992年にユニバーサル接種をWHOが推奨したのに、キャリアの数が決して少なくない日本で今もなお導入されていないのはなぜかという話も出てきませんね・・・・これ以上感染者を増やしたくない、という軸はどこにあるんでしょうか。
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B型肝炎感染者数:最大で28万人に…厚労省の推計
毎日新聞 2012年12月20日
子どものころの集団予防接種が原因でB型肝炎に感染した人が、最大28万人に上ることが20日、厚生労働省の推計で分かった。注射器の使い回しを放置したとして、国の責任が問われた訴訟を受けて設置された同省検討会で初めて公表された。
検討会によると、B型肝炎ウイルスの感染者は全国で90万人と推計される。全感染者の少なくとも3分の1が集団予防接種が原因で感染したとみられる。ほかに、母親から出産時に子どもにうつったり、感染した人の血液を通じてウイルスが体内に入ったりして感染するケースもある。
推計は田中純子・広島大教授(疫学・疫病制御学)が実施。1950〜89年に生まれた人について、感染率や母子感染率を求め、母子感染者以外が41万6587人(男性27万4989人、女性14万1598人)と推計した。母子感染以外の男女の共通の感染理由を予防接種と考え、女性の推計数の倍にあたる約28万人を最大値とした。
集団予防接種では、88年まで注射筒の交換が徹底されず、注射針や筒に残ったB型肝炎ウイルスに感染した人がいる。
B型肝炎訴訟の和解基本合意によると、予防接種により感染したことを証明する一定の書類や条件がそろえば、症状に応じて国が50万〜3600万円の和解金を支払う。【久野華代】
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男女共通の因子なのに男性が女性の倍の説明もどこかにないのか?。議事録をまたないとだめですかね。
2012年9月29日 いつ頃から針や注射器はディスポになったのか 2
という記事を書きました。
そして国の委員会の調査結果を待っていたわけですが、、、
厚生労働省健康局結核感染症課B型肝炎訴訟対策室が担当をしている、第6回集団予防接種等によるB型肝炎感染拡大の検証及び再発防止に関する検討会が12月20日に開催されました。
配布された印刷資料はこちら。
ちなみに、前回の配付資料と議事録。これより前の資料は、こちらにあります。
今回の会議の資料を全部見ました。以下一部抜粋。
[資料1]検証項目ごとの調査手法及び内容
2.「日本におけるB型肝炎ウイルスの感染及び感染拡大被害の実態」
(2)B型肝炎ウイルスの感染実態(文献調査:垂直/水平それぞれの感染拡大への寄与について検討)だそうです。
3.「B型肝炎に関する医学的知見およびそれに対する関係機関等の認識について」
文献調査:HBVが発見された昭和48年以降の論文や教科書などを収集
アンケート調査:開業医、保健所長など医療・公衆衛生従事者等を対象とし、当時の認識について把握
ヒアリング調査:関係学会や肝炎に関する有識者数名を対象とし、当時の認識及び背景等についての情報を把握。
4.集団予防接種等によるB型肝炎感染被害発生の把握および対応
関係学会、医療関係者による把握及び対応、自治体及び予防接種従事者による把握及び対応、邦による把握及び対応
文献調査:昭和23−63年の文献検討
5、諸外国における予防接種制度及び予防接種に伴う感染防止対策の実態(アメリカ、イギリスなどの諸外国)
検証項目2「B型肝炎ウイルスの感染実態」
使用したデータセットは2つ。
1)日本赤十字社の献血での、"初回供血者"のHBs抗原陽性率(全体の80%以下が40歳以下の年齢層)
2001−2006の6年間で、3,748,422人
2)岩手県予防医学協会 節目検診受診者のHBs抗原陽性率(対象は40歳以上の年齢層)
2002年〜2006年の6,304,276人のデータ
1986年〜2009年の447,578人のデータ
感染を知らないまま潜在しているHBV感染者の推計数(5−74歳):79.4万人(73.5〜85.3万人)
全年齢におけるB型肝炎ウイルス感染者の推計数:90.3万人(83.7〜97.0万人)
ピークが55ー59歳。 垂直感染以外では、全体で約41万人、男性が27万人、女性が14万人という推定値が記載されています。
資料はこの他に、海外の状況、アンケート調査用紙が公開されています。
議論は傍聴していないのでよくわかりませんが、資料がこれしかない中で、報道記事を読むといろいろ疑問が湧いてきます。
そもそも、調査担当者は、上記の推計値を書いているのみで、これが予防接種によるものだとは結論づける資料は入っていません。
会議の中でそのような結論づけるやりとりがあったのかは議事録を読まないとわかりません。
B型肝炎が家庭内で祖父母や父親から子どもに感染したり、集団生活や性行為などで水平感染することは古くから知られていることですので、田中教授の資料にある推定41万人(男性27万人、女性14万人)のなかでどこが予防接種かの説明が必要になります。
そもそも、感染症ですから性別や年齢だけでなく地理情報とのリンクも重要です。
今回のデータセットで十分なのか?
この時期の針や注射器が問題だとするなら、歯科診療での感染リスクはどう考えるのか。
なぜわからなかったんだ、なぜディスポにしなかったんだ、ということは科学的なエビデンスの発見や普及に関連する話なのでありますが(それを文献やヒアリングで検討)、1992年にユニバーサル接種をWHOが推奨したのに、キャリアの数が決して少なくない日本で今もなお導入されていないのはなぜかという話も出てきませんね・・・・これ以上感染者を増やしたくない、という軸はどこにあるんでしょうか。
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B型肝炎感染者数:最大で28万人に…厚労省の推計
毎日新聞 2012年12月20日
子どものころの集団予防接種が原因でB型肝炎に感染した人が、最大28万人に上ることが20日、厚生労働省の推計で分かった。注射器の使い回しを放置したとして、国の責任が問われた訴訟を受けて設置された同省検討会で初めて公表された。
検討会によると、B型肝炎ウイルスの感染者は全国で90万人と推計される。全感染者の少なくとも3分の1が集団予防接種が原因で感染したとみられる。ほかに、母親から出産時に子どもにうつったり、感染した人の血液を通じてウイルスが体内に入ったりして感染するケースもある。
推計は田中純子・広島大教授(疫学・疫病制御学)が実施。1950〜89年に生まれた人について、感染率や母子感染率を求め、母子感染者以外が41万6587人(男性27万4989人、女性14万1598人)と推計した。母子感染以外の男女の共通の感染理由を予防接種と考え、女性の推計数の倍にあたる約28万人を最大値とした。
集団予防接種では、88年まで注射筒の交換が徹底されず、注射針や筒に残ったB型肝炎ウイルスに感染した人がいる。
B型肝炎訴訟の和解基本合意によると、予防接種により感染したことを証明する一定の書類や条件がそろえば、症状に応じて国が50万〜3600万円の和解金を支払う。【久野華代】
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男女共通の因子なのに男性が女性の倍の説明もどこかにないのか?。議事録をまたないとだめですかね。