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Channel: 感染症診療の原則
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遭遇したくない、船の中での感染症

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ノロウイルスが流行する時期には、各地でアウトブレイクがおきるのですが、クルーズ船の中での事件も毎年おきています。

・・・そこに医師やナースとして同乗していたらたいへんです(- -;)。

トイレや洗面所、共用施設を通じてお客さん、介抱をする人に広がって行きます。
次の港が見えるとき、甲板には脱水で目がくぼんだひとたちが並んで「早く、落ち着いたトイレにいきたい・・・」と視線をおくってきます。

とにかくたいへんです。

Eurosurveillanceにはクルーズ船内で別の感染症アウトブレイクの速報が載っていました。こちらは致死的なものでもっと怖いです。

船に医師やナースとして乗る時は、このようなことがおこりうるのだという心構えと準備をしておくしかないですね。

CLUSTER OF INVASIVE NEISSERIA MENINGITIDIS INFECTIONS ON A CRUISE SHIP, ITALY, OCTOBER 2012
Eurosurveillance, Volume 17, Issue 50, 13 December 2012

10月初旬に、クルーズ船のスタッフ(26-47歳)が4名同じ日に髄膜炎を疑う症状で病院に入院しました。

3つの大陸の異なる3つの国が出身でした。(想定する菌のセロタイプが広がります)

全員が厨房で働くスタッフでした。(濃厚接触や影響が出そうな人が広がります)

4名のうち1名が死亡。

入院の翌日に、髄液の検査で髄膜炎菌が原因であると把握されました。
菌はセログループC、multilocus sequence typing (MLST)でPorA 、FetA、 porB領域をチェック、
C:P1.5-1,10-8:F3-6:ST-11株とわかりました。
(イタリア国内で循環しているタイプの髄膜炎菌とは異なる)

rifampicin, ciprofloxacin, ceftriaxone には感受性、 penicillin と ampicillinは低感受性でした。

髄膜炎菌の場合は、濃厚接触者に曝露後予防投与をする必要がありますので、公衆衛生当局が緊急対応に動きました。
ciprofloxacin を乗客とスタッフ約2000人に対して投与することが決定となりました。
(詳細は上記リンクで)

(写真:編集長とその師匠。曰く、「だから、だからいわんこっちゃない!!。ペニシリン耐性髄膜炎菌など抗菌薬乱用のなれの果て・・)


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