「自然」というキーワードは、素敵なイメージでもあり、とても怖くもあり。
自然災害の多い日本では、経験から学んで、次なる災害への備えが行われてきました。
2011年3月の東日本大震災時の感染症の話題として「破傷風」がありました。これはワクチンで予防できる病気です。
Tetanus Prevention After a Disaster(米国CDC)
Immunizations After a Natural Disaster(米国CDC)
他の事例でも話題になっています。
参考「津波の被災地で破傷風が急増(国境なき医師団、2005年 インドネシア)」
被災地に支援に向かう人たちにも破傷風ワクチン接種がよびかけられました。(怪我をすると危険)
途上国では、衛生的ではない環境で生まれた「新生児破傷風」や、靴を履いていない子どもが足の裏や指を怪我して破傷風を発症し、命を落とすことがあります。
日本では、乳幼児の三種混合(破傷風、ジフテリア、百日咳)ワクチンの接種率は高いものの、接種をしていない・免疫のない層での症例報告が高齢者を中心に毎年100前後あります。
では、子供は安全かというと、「自然派」な人たちの中にはワクチンは一切しませんという方もいて、しかし、自然は好きなので土いじりなどもさせているという状況があります。
ワクチンでの免疫は終生免疫ではないために、外国では成人のブースターワクチンも推奨されています(日本では園芸や林業に関わる人たちは職業上やっていますが、あとは知っている人だけがやっている)。
災害発生時にあわてて接種を希望しても、ライフラインが崩壊している場合、病院の冷蔵庫も止まっていたり、そもそもワクチン対応をする余裕があるのかわかりません。
災害が起きる前の対策の一環として、ご家族の免疫をつけておくことと、その記録は重要ですね。
2011年3-4月当時の症例の詳細がIDWRに掲載されています。「感染症週報(45週)」にあります。
2011年3月11日の東日本大震災後2011年3月〜2012年3月の期間に、岩手県と宮城県等の医療機関から震災に関連した破傷風症例計10例の届出があった。このうち7例について、自治体とともに積極的疫学調査として追加調査が実施できた。今回はその7症例(表1中の症例1〜3、5、6、8、9)についての調査結果のまとめを報告する。
速報 東日本大震災に関連した破傷風
症例1 呼吸困難 開口障害 歩行障害
症例2 構音障害 後頭部頭重感
症例3 開口障害 背部痛
症例5 開口障害 嚥下障害
症例6 開口障害 嚥下障害 構音障害
症例8 開口障害 項部硬直
症例9 開口障害 痙笑
重症2例 中等症3例 軽症2例だが 前例軽快
【症例1:56歳、男性】
主訴:呼吸困難、開口障害、歩行困難
基礎疾患:無 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日に津波に流され、右大腿内側に挫創を受傷。A病院形成外科を受診し抗菌薬(薬剤名・投与量不明)の投与を受けた。
3月20日(受傷後9日)に咽頭の腫脹を自覚、次に開口障害、呼吸困難と歩行障害を認めたことから、Bクリニックを受診したのち、C病院感染症科へ救急搬送となった。
臨床経過:臨床所見より破傷風と診断され、抗菌薬(薬剤名・投与量不明)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(投与量不明)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。84日間の入院後、軽快し退院となった。
【症例2:69歳、男性】
主訴:構音障害、後頭部頭重感
基礎疾患:高血圧、狭心症 感染地域:岩手県(報告自治体:岩手県)
現病歴:
3月11日に津波に巻き込まれ、3月12日(受傷後1日)に瓦礫の下から発見された。全身打撲および左第2-4指に挫傷を受傷。避難所で応急処置を施されるも止血せず、D病院救急を受診し入院となった。創の縫合処置、点滴、抗菌薬(CFPN-PI 300mg/日)にて軽快したことから、3月13日(受傷後2日)に退院し避難所に収容された。
3月19日(受傷後8日)にD病院で創の処置をうけた。また、同日から構音障害と後頭部頭重感を自覚していたため、
3月20日(受傷後9日)に避難所の仮設診療所を受診したところ、破傷風、脳出血、脳梗塞が疑われ、D病院へ救急搬送となった。頭部CTで両側基底核の陳旧性小梗塞の所見を認めたが、破傷風を否定できないため破傷風グロブリン(250単位)を投与された後、さらにE病院へ救急搬送となった。
臨床経過:臨床症状・検体検査より破傷風と診断(確定診断は3月25日)し、抗菌薬(PCG 2400万単位/日)、破傷風トキソイド(入院時および退院時)、破傷風グロブリン(250単位)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。66日間の入院後、津波で受傷した腱板損傷手術のため転院となった。
【症例3:56歳、女性】
主訴:開口障害、背部痛
基礎疾患:糖尿病(無治療) 感染地域:岩手県(報告自治体:岩手県)
現病歴:
3月11日に職場で津波に巻き込まれ、流木又はシャッターにより右下腿前面に縦15cm×横6cmの弁状の挫創を受傷。
3月12日(受傷後1日)にF病院を受診し、縫合処置と抗菌薬(CCL750mg/日)の処方を受けた。
3月14日(受傷後3日)より創部に発赤・熱感など感染徴候を自覚したが、医療機関を受診せずに抗菌薬の内服を継続していた。
3月18日(受傷後7日)に発赤・腫脹が右下腿全体に拡大してきたため、避難所の巡回医師の診察を受けたところ、外科的加療が必要と診断され再度F病院を受診し、創部の一部開放と洗浄消毒の処置を受けた。
3月20日(受傷後9日)に、巡回医師に右下腿に握雪感を指摘されたため、F病院でレントゲン検査を受けたところ、右前脛骨筋上にガス像が認められ、破傷風トキソイド、抗菌薬(CTRX1g点滴静注)の投与を受け、同日G病院形成外科へ搬送、入院となった。
3月21日(受傷後10日)に開口障害及び背部痛が出現したことから破傷風の疑いにて形成外科より救命救急センターに転科となった。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断され、抗菌薬(PIPC/TAZ 13.5g/日)、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。64日間の入院後、全身及び創の状態が改善しF病院へ転院となった。
【症例5:82歳、女性】
主訴:開口障害、嚥下障害
基礎疾患:甲状腺癌手術、脳腫瘍手術 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日の津波後、両側足底にひび割れのある足で泥の中を歩いた。
3月22日(受傷後11日)に食思不振を自覚し巡回医師の診察を受けたが、この時点では異常所見を指摘されなかった。
3月25日(受傷後14日)に開口障害、嚥下障害を自覚したため、H病院を受診した。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断され、抗菌薬(PCG 1200万単位/日)、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。その後、集中治療を要すとの判断から、
3月27日(受傷後16日)にI病院に転院となった。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。その後、軽快し退院(入院期間は不明)となったが、退院時、気管切開部のろう孔が後遺症として残った。
【症例6:61歳、女性】
主訴:開口障害、嚥下障害、構音障害
基礎疾患:高脂血症 感染地域:宮城県(報告自治体:さいたま市)
現病歴:
3月11日に津波から避難する際、右手第3指にガラス片による5mmの切創、下肢に打撲・擦過傷を受傷した。自宅が流されたことから、倉庫2階に数日避難していた。
3月25日(受傷後14日)に開口障害、構音障害を自覚したことから、
3月26日(受傷後15日)にJ病院を受診した。
臨床経過:破傷風が疑われ、抗菌薬(PCG 1600万単位/日)、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。同日ICU管理の必要性の考慮から、さいたま市のK病院へ搬送され、抗菌薬(PCG2400万単位/日、SBT/ABPC 6g/日)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(投与量不明)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。62日間の入院後、軽快し退院と
なった。
【症例8:65歳、女性】
主訴:開口障害、項部硬直
基礎疾患:高血圧 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日の震災により両膝下に擦過傷を受傷。
3月29日(受傷後18日)に口周囲の筋硬直を自覚し、災害対策本部医療班を受診したところ、エチゾラムの処方を受けた。しかし自覚症状の改善がなかったため、
4月1日(受傷後21日)同医療班を再受診したところ、開口障害の所見と診断されL病院外科へ救急搬送となった。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断され、抗菌薬(薬剤名・投与量不明)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(投与量不明)を投与された。人工呼吸器装着・集中治療室利用あり(気管切開なし)。21日間の入院後軽快したが、構音障害・嚥下障害が残存していたためリハビリ目的で転院となった。
【症例9:70歳、男性】
主訴:開口障害、痙笑
基礎疾患:胆石症、心房細動、胃癌術後 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日に津波に流され、鎖骨骨折と左足関節挫創を受傷。
3月13日(受傷後2日)にM病院を受診した。
3月27日(受傷後16日)に発熱を自覚したため、M病院を再受診し、点滴処置と解熱薬処方を受けた。
4月1日(受傷後21日)に開口障害、発語障害、嚥下障害を自覚。
4月3日(受傷後23日)にN病院を受診し、MRI検査にて頭蓋内病変を否定された。
4月4日(受傷後24日)にO医院を受診、6日(受傷後26日)にP病院へ紹介となった。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断を受け、抗菌薬(PCG 2400万単位/日)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。集中治療室利用あり(人工呼吸器装着・気管切開なし)。14日間の入院後軽快し退院となった。
この続きは上記リンクでお読みください。
自然災害の多い日本では、経験から学んで、次なる災害への備えが行われてきました。
2011年3月の東日本大震災時の感染症の話題として「破傷風」がありました。これはワクチンで予防できる病気です。
Tetanus Prevention After a Disaster(米国CDC)
Immunizations After a Natural Disaster(米国CDC)
他の事例でも話題になっています。
参考「津波の被災地で破傷風が急増(国境なき医師団、2005年 インドネシア)」
被災地に支援に向かう人たちにも破傷風ワクチン接種がよびかけられました。(怪我をすると危険)
途上国では、衛生的ではない環境で生まれた「新生児破傷風」や、靴を履いていない子どもが足の裏や指を怪我して破傷風を発症し、命を落とすことがあります。
日本では、乳幼児の三種混合(破傷風、ジフテリア、百日咳)ワクチンの接種率は高いものの、接種をしていない・免疫のない層での症例報告が高齢者を中心に毎年100前後あります。
では、子供は安全かというと、「自然派」な人たちの中にはワクチンは一切しませんという方もいて、しかし、自然は好きなので土いじりなどもさせているという状況があります。
ワクチンでの免疫は終生免疫ではないために、外国では成人のブースターワクチンも推奨されています(日本では園芸や林業に関わる人たちは職業上やっていますが、あとは知っている人だけがやっている)。
災害発生時にあわてて接種を希望しても、ライフラインが崩壊している場合、病院の冷蔵庫も止まっていたり、そもそもワクチン対応をする余裕があるのかわかりません。
災害が起きる前の対策の一環として、ご家族の免疫をつけておくことと、その記録は重要ですね。
2011年3-4月当時の症例の詳細がIDWRに掲載されています。「感染症週報(45週)」にあります。
2011年3月11日の東日本大震災後2011年3月〜2012年3月の期間に、岩手県と宮城県等の医療機関から震災に関連した破傷風症例計10例の届出があった。このうち7例について、自治体とともに積極的疫学調査として追加調査が実施できた。今回はその7症例(表1中の症例1〜3、5、6、8、9)についての調査結果のまとめを報告する。
速報 東日本大震災に関連した破傷風
症例1 呼吸困難 開口障害 歩行障害
症例2 構音障害 後頭部頭重感
症例3 開口障害 背部痛
症例5 開口障害 嚥下障害
症例6 開口障害 嚥下障害 構音障害
症例8 開口障害 項部硬直
症例9 開口障害 痙笑
重症2例 中等症3例 軽症2例だが 前例軽快
【症例1:56歳、男性】
主訴:呼吸困難、開口障害、歩行困難
基礎疾患:無 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日に津波に流され、右大腿内側に挫創を受傷。A病院形成外科を受診し抗菌薬(薬剤名・投与量不明)の投与を受けた。
3月20日(受傷後9日)に咽頭の腫脹を自覚、次に開口障害、呼吸困難と歩行障害を認めたことから、Bクリニックを受診したのち、C病院感染症科へ救急搬送となった。
臨床経過:臨床所見より破傷風と診断され、抗菌薬(薬剤名・投与量不明)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(投与量不明)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。84日間の入院後、軽快し退院となった。
【症例2:69歳、男性】
主訴:構音障害、後頭部頭重感
基礎疾患:高血圧、狭心症 感染地域:岩手県(報告自治体:岩手県)
現病歴:
3月11日に津波に巻き込まれ、3月12日(受傷後1日)に瓦礫の下から発見された。全身打撲および左第2-4指に挫傷を受傷。避難所で応急処置を施されるも止血せず、D病院救急を受診し入院となった。創の縫合処置、点滴、抗菌薬(CFPN-PI 300mg/日)にて軽快したことから、3月13日(受傷後2日)に退院し避難所に収容された。
3月19日(受傷後8日)にD病院で創の処置をうけた。また、同日から構音障害と後頭部頭重感を自覚していたため、
3月20日(受傷後9日)に避難所の仮設診療所を受診したところ、破傷風、脳出血、脳梗塞が疑われ、D病院へ救急搬送となった。頭部CTで両側基底核の陳旧性小梗塞の所見を認めたが、破傷風を否定できないため破傷風グロブリン(250単位)を投与された後、さらにE病院へ救急搬送となった。
臨床経過:臨床症状・検体検査より破傷風と診断(確定診断は3月25日)し、抗菌薬(PCG 2400万単位/日)、破傷風トキソイド(入院時および退院時)、破傷風グロブリン(250単位)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。66日間の入院後、津波で受傷した腱板損傷手術のため転院となった。
【症例3:56歳、女性】
主訴:開口障害、背部痛
基礎疾患:糖尿病(無治療) 感染地域:岩手県(報告自治体:岩手県)
現病歴:
3月11日に職場で津波に巻き込まれ、流木又はシャッターにより右下腿前面に縦15cm×横6cmの弁状の挫創を受傷。
3月12日(受傷後1日)にF病院を受診し、縫合処置と抗菌薬(CCL750mg/日)の処方を受けた。
3月14日(受傷後3日)より創部に発赤・熱感など感染徴候を自覚したが、医療機関を受診せずに抗菌薬の内服を継続していた。
3月18日(受傷後7日)に発赤・腫脹が右下腿全体に拡大してきたため、避難所の巡回医師の診察を受けたところ、外科的加療が必要と診断され再度F病院を受診し、創部の一部開放と洗浄消毒の処置を受けた。
3月20日(受傷後9日)に、巡回医師に右下腿に握雪感を指摘されたため、F病院でレントゲン検査を受けたところ、右前脛骨筋上にガス像が認められ、破傷風トキソイド、抗菌薬(CTRX1g点滴静注)の投与を受け、同日G病院形成外科へ搬送、入院となった。
3月21日(受傷後10日)に開口障害及び背部痛が出現したことから破傷風の疑いにて形成外科より救命救急センターに転科となった。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断され、抗菌薬(PIPC/TAZ 13.5g/日)、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。64日間の入院後、全身及び創の状態が改善しF病院へ転院となった。
【症例5:82歳、女性】
主訴:開口障害、嚥下障害
基礎疾患:甲状腺癌手術、脳腫瘍手術 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日の津波後、両側足底にひび割れのある足で泥の中を歩いた。
3月22日(受傷後11日)に食思不振を自覚し巡回医師の診察を受けたが、この時点では異常所見を指摘されなかった。
3月25日(受傷後14日)に開口障害、嚥下障害を自覚したため、H病院を受診した。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断され、抗菌薬(PCG 1200万単位/日)、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。その後、集中治療を要すとの判断から、
3月27日(受傷後16日)にI病院に転院となった。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。その後、軽快し退院(入院期間は不明)となったが、退院時、気管切開部のろう孔が後遺症として残った。
【症例6:61歳、女性】
主訴:開口障害、嚥下障害、構音障害
基礎疾患:高脂血症 感染地域:宮城県(報告自治体:さいたま市)
現病歴:
3月11日に津波から避難する際、右手第3指にガラス片による5mmの切創、下肢に打撲・擦過傷を受傷した。自宅が流されたことから、倉庫2階に数日避難していた。
3月25日(受傷後14日)に開口障害、構音障害を自覚したことから、
3月26日(受傷後15日)にJ病院を受診した。
臨床経過:破傷風が疑われ、抗菌薬(PCG 1600万単位/日)、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。同日ICU管理の必要性の考慮から、さいたま市のK病院へ搬送され、抗菌薬(PCG2400万単位/日、SBT/ABPC 6g/日)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(投与量不明)を投与された。気管切開・人工呼吸器装着・集中治療室利用あり。62日間の入院後、軽快し退院と
なった。
【症例8:65歳、女性】
主訴:開口障害、項部硬直
基礎疾患:高血圧 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日の震災により両膝下に擦過傷を受傷。
3月29日(受傷後18日)に口周囲の筋硬直を自覚し、災害対策本部医療班を受診したところ、エチゾラムの処方を受けた。しかし自覚症状の改善がなかったため、
4月1日(受傷後21日)同医療班を再受診したところ、開口障害の所見と診断されL病院外科へ救急搬送となった。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断され、抗菌薬(薬剤名・投与量不明)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(投与量不明)を投与された。人工呼吸器装着・集中治療室利用あり(気管切開なし)。21日間の入院後軽快したが、構音障害・嚥下障害が残存していたためリハビリ目的で転院となった。
【症例9:70歳、男性】
主訴:開口障害、痙笑
基礎疾患:胆石症、心房細動、胃癌術後 感染地域:宮城県(報告自治体:宮城県)
現病歴:
3月11日に津波に流され、鎖骨骨折と左足関節挫創を受傷。
3月13日(受傷後2日)にM病院を受診した。
3月27日(受傷後16日)に発熱を自覚したため、M病院を再受診し、点滴処置と解熱薬処方を受けた。
4月1日(受傷後21日)に開口障害、発語障害、嚥下障害を自覚。
4月3日(受傷後23日)にN病院を受診し、MRI検査にて頭蓋内病変を否定された。
4月4日(受傷後24日)にO医院を受診、6日(受傷後26日)にP病院へ紹介となった。
臨床経過:臨床症状より破傷風と診断を受け、抗菌薬(PCG 2400万単位/日)、破傷風トキソイド、破傷風グロブリン(4500単位)を投与された。集中治療室利用あり(人工呼吸器装着・気管切開なし)。14日間の入院後軽快し退院となった。
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