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Channel: 感染症診療の原則
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[Q & A 八重樫先生]薬剤師ベッドサイドティーチング セミナー

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薬剤師さんに熱く語っていただいた八重樫先生から、質問への回答をいただきました。

講義を受けている前提でのやりとりですので、特定の症例に適切かどうかは、各自でご判断ください。

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Q: 人工呼吸器のモードによって鎮静や筋弛緩剤などの薬剤の用法用量の違いや選択の違いはあるのでしょうか。

質問ありがとうございます。あくまでも概論で、各患者さんの鎮静具合により必要最小量に調節するので、投与量は逐次変わってきますが、人工呼吸器のモードによって鎮静は大量に必要だったり少量で済んだりすることはあります。大量に必要な例はPEEPが高い、吸気圧が高い、IRV(inverse ratio ventilation;生理的な呼吸と逆で吸気が呼気より長いモード)があります。講義で扱った基本的なモードのA/Cモード、SIMVモードではその中間です。少量で済む例は、CPAP+PSモードやAPRV (Airway pressure release ventilation:話が複雑になるので割愛します)モードがあります。それらの鎮静が大量に必要なモード(特にIRV)では筋弛緩も必要なことが多いです。薬剤選択に関してはより人工呼吸器離脱が近い場合(毎日自発呼吸試験もしくはSIMVモードの状態)ではより体内に蓄積しやすいミダゾラムよりも短時間作用型のプロポフォールやデクスメデトミジンが用いられる傾向があります。

Q; 呼吸器内科での抗生剤の使用方法で、カルバペネム系や抗MRSA薬(バンコマイシン、タゴシッドなど)を約1ヶ月間近くそれも併用で使用しています。
これは問題ないのでしょうか。耐性菌など心配です。勉強不足で申し訳ありません。よろしくお願い致します。

丁寧な言葉遣いの中にも抗菌薬の乱用による耐性菌出現を危惧した非常に素晴らしい問題意識を持った質問だと思います。患者さんの状態によっては上記でも適切な場合もありますし(ドレナージしきれていない膿胸で起因菌がカルバペネムしか効かない耐性が強いグラム陰性桿菌とMRSAの両方が培養で検出されている等)、危惧されているように、その治療が本来不要の治療であれば、耐性菌の出現を招きます。培養を取っていない、本来はde-escalationもしくは中止できる抗菌薬を中止しないことは可能性が高いですね。ただ、後者の確率は高いのですが、話してみないと本当に不要なのかどうかはわかりませんので、その呼吸器内科の先生とお話ししてみることをお勧めします。その際に責め立てる口調が出ないように気を付けてください。不用意に敵を作ることは今後協力して働きづらくなるので先生のためにも、患者さんのためにもならないと思います。たとえ抗菌薬の適切な使い方をその呼吸器の先生が知らなかったとしても、2004年の卒後臨床研修必修化以前の医師卒後教育では抗菌薬の適切使用のトレーニングを受けていない医師の数の方が多いのです。林先生が言う「なべおたま」(なるほど、勉強になります、おっしゃる通りです、たしかに、またご指導お願いします)を活用して話をするのも手です。呼吸器の先生なら日本呼吸器学会の市中肺炎や院内肺炎や介護医療関連肺炎のガイドラインを基に話すのも手かもしれません。また、他の抗菌薬の適切使用ができる先生にまず相談してその先生から働きかけてもらうのも手です。そこまでは考えていないのかもしれませんがgood luckです。

Q. NPPV使用時の吸入薬使用量で4〜6倍用いるとありましたが、ガイドラインなどあるのでしょうか?
(量の目安)

非常に良い質問です。米国胸部医師学会で出しているガイドライン(CHEST 2005; 127:335–371)には使用量については記載がなく、私が知る限り書いていません。1回4吸入(actuation)で吸気時に投与すればネブライザーとMDIはNPPV使用モデルで到達薬剤量は同等という研究もあり(Respir Care 2005;50(12):1649)、米国で教育を受けたとおり4−6吸入というのを話しましたが、議論が分かれるとことです。下記の参考文献に記載されているようにNPPVでの投与量に関しては定説がありませんので、今後のさらなる研究結果が期待されるところです。といっても現場でどうしたら良いかわからないと困るので言いましたが、私は1回4吸入用いています。
J Aerosol Med Pulm Drug Deliv 2012;25(2):63

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