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Channel: 感染症診療の原則
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分母分子 と その周辺

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健康や医療関連のニュースをみるときに、数字が出てきたら「分母と分子」に注目する必要があります。

例えば、感染症疫学の最初のコマで習うこととしては、、、

その数字は「真」(しん)の変化なのか?です。

よく言われるのはこのようなこと(スライドをクリックすると大きくなります)。



そのほかに、集計作業において、忘れそうなことも挙げておきましょう。





応用問題です。

皆さんの県の、HIV感染症での有病率はどれくらいですか?

どのように評価しますか?

日本のデータはハイリスク層集中的に流行しているのに、統計がかなりざっくりしすぎています。




もうひとつ応用問題です。男性は妊娠しないよ、という話。




また、18歳女性の半数は性交を開始していません。
という条件のもとで、

18歳における母体保護統計上の分子(中絶件数)と、分母(18歳女子人口)でみると(みてもいいんですが)、分母にセックスをしていない女性も入ってくるので、真のリスクは過小評価になっているという限界を知っておくことが大事です。


過去にみたすごい新聞記事の中では、調査対象にアンケートを配ったら、回収率が「4%」だった、というものがありました。

つまり、あまりに低すぎて内容をどうこういえないはずなのですが、そこで分母4%分の数字にして、結果を語っていました。
発表する側の問題もありますが、聞いていて書いていておかしいなあ、、、と思わないのかなと考えた事例でした。


分子と分母はどこからきているのか?



ネットのパネル調査も、分母は大きいですが、ネットフレンドリーな情報収集や思考・行動をしている人というバイアスがかかります。バイアスがいけないのではなく、バイアスが生じうることを理解したうえで、対策をたて、解釈の際には限界をもとに論じるという誠実さが大事であるということです。
また、再検証する人や別対象で反復してくださる方からのデータにも心と頭を開いて、さらなる生産的なコミュニケーションにつなげたいものです。

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