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Channel: 感染症診療の原則
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【募集】 FETP15期生  実地疫学専門家(Field Epidemiologist) 養成プログラム

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国によってその役割期待や養成プログラムには違いがあるのですが、各国に感染症の実地疫学の専門家を育てるコースがあります。

日本国内にできたのは、堺でのO157集団事例がおきたのがきっかけ。
当時、アウトブレイクもさることながら、「専門職がいない」ことに、支援を申し出た(観察していた)国々が驚いたというのは今でも国際会議で聞く話です。

もっとも古い(各国が見本とした)プログラムは米国のEIS(Emerging Intelligence Services)プログラムであり、1950年からの歴史を持っています。

米国は感染症以外のことも扱うプログラムですが、毎年80名近くを養成。日本人としては、現在、国立感染症研究所 感染症情報センターの神谷 元先生が研修を受けられています。(国に養成プログラムがある場合、米国が受け入れるのは大変珍しいといわれています)

EUの感染症センターである ECDCにはEPIETという同様のプログラムがあります。ECDCは米国と違い感染症危機管理のための機関なので、感染症に特化した訓練を、各国から応募した人をいろいろな国に派遣して育てています(共通言語は英語)。

その、世界の実地疫学専門家養成コースのネットワークはTEPHINETといいます。
世界のカンファレンスは2年に一度、その間にregionalなカンファレンスも開かれています。
今年は世界大会で開催地はヨルダン。日本のFETP生も発表に行くそうです。


日本(語)で、感染症疫学を学びたいなあとおもったら、通常の疫学の基本的な本と、ECDCで専門家養成に関わっているこちらの先生の本を読むことになります。
感染症疫学―感染性の計測・数学モデル・流行の構造昭和堂


日本のプログラムについては、具先生がIDATENで紹介されたものがわかりやすいとおもいます。

国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース( FETP )
の紹介(1/3)−FETPとは何だろう? −



日本のFETPプログラムは、「ここでしか経験できない」こともたくさんあるので、2年間挑戦してみよう!という人にはお勧めなのでありますが、問題は他の国と違って無給であることです。
他の国では家族がいてもやっていけるくらいの給与が出ますので、仕事をやめて参加という手もありますが、日本のコースは無給のため、例えば県や市からの派遣でないと現実的に難しいという意見をよくききます。

プログラムじたいも、もともとは自治体が公衆衛生医を派遣してくるという想定で始まっていますが、どの地域にも医師不足、それも臨床だけでなく公衆衛生医も不足しており、そのなかで2年間まるまる1人派遣しますというところが少ないのも事実。
医師と獣医が想定されていますが、過去に薬剤師、臨床検査技師、看護師(保健師)も参加していますので、自治体がお給料つきで派遣をしてくだされば、最終的には地域に感染症のepidemiologistが誕生し、その後のリスクアセスメントや危機管理に従事できる人も広がるのですが。


・・・というなかで、1人だけいても変化をつくっていくのは難しい、人を出しっぱなしにできないと考えた地域が、地元で同様の研修(座学中心ではありますが)を展開しています。

青森県のプログラムは、FEPT修了生で、感染症対策に深くかかわっている先生方が担当されています。

東京都でも、保健所の医師や保健師を対象にした研修をこの秋から開始しています(健康安全研究センターで開催)



感染研のコースに関心ある方はぜひチャレンジしてみてください。

平成25年度 FETP研修員募集要項 国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース

------------------------------------------
対象
(1)感染症対策業務に当たる医師、獣医師等
(2)国、又は地方公共団体等において感染症対策等地域保健業務に従事している者、あるいは従事しようとしている者
(3)大学等において感染症対策の専門家の養成に携わっている者、あるいは携わろうとしている者


期間
平成25年4月〜平成27年3月(2年間を標準とする)

内容
国立感染症研究所で実施される初期導入コース、および感染症情報センターのスタッフ並び米国CDC・WHO等の海外専門機関や国内機関から随時招聘される専門家による指導により、次の事項を習得させる。
(1) 感染症危機管理事例(アウトブレイク)の情報収集、リスク評価、実地疫学調査及び対応
(2) 感染症サーベイランスデータの分析・評価方法
(3) 感染症危機管理に関する情報の還元・発信
(4) 疫学的・統計学的研究手法
(5) 感染症危機管理についての教育経験
(6) 公衆衛生の現場で必要とされる疫学・統計学及び関連法規に関する基礎知識
(7) 感染症疫学研究に関する英文論文の作成


5.研修場所 
国立感染症研究所 (必要に応じ国内及び海外の感染症発生地等) 


6.研修修了
所定の修了要件を満たした者については、国立感染症研究所が発行する修了証書及び実地疫学専門家認定書を授与する。
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7.募集人数 
 若干名  ※年によって1人のときもありますが、たいてい4-5名の時が多いのでは・・


8.応募資格  
次のすべての要件を満たしている者
(1) 実地疫学、感染症対策に熱意をもつ医師・獣医師等
(2) 原則として、医師・獣医師等の免許を有し、免許取得後3年以上経過している者
(3) 原則として、地方公共団体、大学、研究所、病院、検疫所等に現在勤務している者、又は 勤務しようとしている者
(4) 一部の講義・実習は英語で行われ、また、国外における活動も研修に含まれるので、その対応が可能な者
(5) 原則として、2年以上の臨床研修あるいは3年以上の公衆衛生活動に従事した経験を有する者

※英語が苦手だと難しい課題もあります(ICNが応募しにくいのはこのあたりに壁が)


9.研修員の身分等     
研修員は、国家公務員法に基づく職員としての身分は有せず、国立感染症研究所の協力研究員としての身分を有する。給与・諸手当は支給されず、また、宿舎は貸与されないものである。

※地方から家族連れで来るのが難しい条件はこのあたり。都内にもともと家や継続できる収入源があればいいのですが。


10. 経費
感染症危機管理事例発生時の実地疫学調査に係る経費及び疫学的研究の経費は、国立感染症研究所が負担する。ただし、通常の研修期間中の滞在費及び交通費は支給しない。


11.採用スケジュール 
平成24年 (第1回) 11月19日 〜 12月3日 応募期間・書類選考
12月17日 面接試験
12月25日 第1回合格発表
平成25年 (第2回) 1月 4日 〜 1月25日 応募期間・書類選考
2月20日 面接試験
3月 4日
第2回合格発表

4月上旬 開講・研修開始             


12. 出願書類
入学願書(様式第1号)、履歴書(様式第2号)、志願調書(様式第3号)
医師、獣医師等免許証の写し、語学力資格の写し
上記リンク先からダウンロード(PDFファイル)。

13. 提出先(照会先)
国立感染症研究所 感染症情報センター 担当:大山
〒162-8640 東京都新宿区戸山1−23−1 Tel 03(5285)1111 内線 5030 Fax 03(5285)1233 

14. 出願締切  
第1回 平成24年12月3日(必着) 第2回 平成25年1月25日(必着)

15. 備  考   
本コースは国際的な実地疫学専門家(Field Epidemiologist) の養成コースに準拠した、厚生労働省の認定する研修である。
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