きのこ関連の話の続きでもあるのですが・・
感染症と話がそれますが、感染症の話にも通じるので、内部被ばくについての地道な取り組みを紹介したいとおもいます。
アピタルとMRICに掲載されたものの転載です。 臨床の先生が書いています。
311のあとに、実際におきている被害やリスクと、噂やネット、ヒステリー的に増幅された実質以上のリスクとのギャップが深刻になっています。
深刻、というのは、例えば極端な生活の制限や、家族内・友人知人とのコミュニケーショントラブルまでになっているような事例もあるからです。
リスク発生直後に、「最悪の事態を考えて」めいっぱいの安全確保をするのは緊急時の対応として妥当でありますが、その後のリスクを定量的、定性的に評価し、複数の意見を見聞きしたうえで情報整理や生活の立て直しをしている人が大方だとは思いますが、そのあともずっと厳戒態勢をひいたまま、あるいはヒートアップしていっている人たちもいます。
根拠となる1次情報を得ることが、数字そのものとしても、誠実なコミュニケーションのためにも重要なのですが、ここで坪倉先生が紹介してくださっているのは、食事によって数値が異なるよ、という具体的な事実です。
理屈上はそうだろう、と理解できますが、関係者の協力を得て検査をするということは、現在とてもたいへんなことです。
そうした事実を、(すでに関心が低下しつつある)社会に発信していくこともとても大切。
以下の強調(大きさや色)はブログ編集部によるものです。
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内部被曝通信 福島・浜通りから〜地域ごとの結果が公表されないと、全体が見えない
南相馬市立総合病院 非常勤内科医 坪倉 正治
2012年10月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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震災復興支援放射能対策研究所が、ひらた中央病院の内部被曝検査結果( http://www.fukkousien-zaidan.net/reserch/index.html )を公表しました。
非常に良くまとまっているので、是非一度ご覧ください。
7月以来の報告になります。2012年4月1日から、7月31日までに内部被曝検査を受診した8,200人(うち15歳以下が4,979人)が対象です。
全体として検出限界未満の方は、8,127名(99.11%)、有限値を検出したのは73名(0.89%)でした。
セシウム137を検出した71名のうち、男性が88%、40歳以上が約80%でした。男性が多く、高齢の方が多い状況は変わりません。ブログ第5回( https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/NrFJ0o4Ufi )も参照下さい。
今回の検査結果で注目すべきポイントは以下の2点だと思います。
1つ目は、検出値が二極化してきているということです。ほとんどの人が検出しなくなってきています。以前、10〜30Bq/kgあたりで検出されていた方が、排泄によって検出限界以下になってきている印象です。これは、今現在の日常生活での慢性被曝が極端に抑えられているからこそ、このような値が実現しています。
それに対して、一部でかなり高めの値の方が散見されるようになってきています。20Bq/kg以上の方は4名(男性3名、女性1名。4名とも60才以上)で、一組の夫婦と2名の男性でした。そのうち3名が50Bq/kg以上でした。
今回の検査で50Bq/kg以上は3名ですが、その全員が自宅で現在の食品基準値を大幅に超える汚染食品を継続的に摂取していることが分かっています。
シイタケで14万Bq/kgだったり、イノシシで約900Bq/kgだったり、詳細については、このブログの
第22回 ( https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/TFKaiDii52 )、
第25回( https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/PXtxX1xnFs )、
第31回( http://www.asahi.com/health/hamadori/TKY201210050155.html )でも紹介させていただいています。
上記の様に値が完全に二極化してきています。
現状では、スーパーで一般に流通している食べ物を食べている方は、検出限界以下の群に全員が含まれ、高い群には含まれていないことはデータが示しています。
高い群に入るのは、明らかに出荷制限がかかっていたり、規制値を大幅に越えていたりする食べ物を、未検査で継続的に食べている方に限定されています。
今現状課題は、このような値の高い値の方々をどのようにして見つけるか、どのようにして検査に来ていただき、話をして、今後につなげて行くかということです。検査自体はもちろん強制ではありませんし、応募があった方のみです。
いわゆる検診なので、興味がなく受診しない方までリーチするのが非常に困難です。現在、その原因をアンケート形式で調べ始めています。また、集まればご紹介します。
2つ目は、地域別の検査結果を公表している点です。受診者の居住地域ごとの検査結果を公表しています。上記URLの図8、9になります。
16才以上の受診者でのセシウムの検出率は、県北地域では2.55%(全年齢で2.13%)、県中地域では1.43%(同0.33%)、相双地域では4.23%(同3.90%)、いわき地域では1.92%(同1.22%)という結果です。
相双地域でやや検出者の割合が多いのは、受診者の年齢と性別の分布が異なる(年配の男性の受検が多いため)ことも関係しています。この公表で、今現在の福島県内で場所によって、大きく検出率が異なる訳ではないことも分かります。
今まで病院や自治体が単独で検査をし、結果を公表することはあっても、地区ごとの発表はありませんでした。今回のように細かく発表することで初めて、全体像の把握が可能になります。
欲を言えば自治体ごとの結果公表があると尚更よかったと思っているのですが、地域ごとでの検査結果が出たのはまずは一歩前進です。
ちなみにこちらのリンク( http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=26211 )は福島県の発表している検査結果です。苦言になりますが、もう少し細かくしてくれないと、何が大事なのかわかりません。
図:場所ごとの結果の図です。ひらた病院のスタッフ達のがんばりにエールを送りたいと思います。
↓
http://www.asahi.com/health/hamadori/TKY201210120205.html
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安全や安心のために、測定をしたり、公表のために日々協力・尽力をされている皆様ありがとうございます。
感染症と話がそれますが、感染症の話にも通じるので、内部被ばくについての地道な取り組みを紹介したいとおもいます。
アピタルとMRICに掲載されたものの転載です。 臨床の先生が書いています。
311のあとに、実際におきている被害やリスクと、噂やネット、ヒステリー的に増幅された実質以上のリスクとのギャップが深刻になっています。
深刻、というのは、例えば極端な生活の制限や、家族内・友人知人とのコミュニケーショントラブルまでになっているような事例もあるからです。
リスク発生直後に、「最悪の事態を考えて」めいっぱいの安全確保をするのは緊急時の対応として妥当でありますが、その後のリスクを定量的、定性的に評価し、複数の意見を見聞きしたうえで情報整理や生活の立て直しをしている人が大方だとは思いますが、そのあともずっと厳戒態勢をひいたまま、あるいはヒートアップしていっている人たちもいます。
根拠となる1次情報を得ることが、数字そのものとしても、誠実なコミュニケーションのためにも重要なのですが、ここで坪倉先生が紹介してくださっているのは、食事によって数値が異なるよ、という具体的な事実です。
理屈上はそうだろう、と理解できますが、関係者の協力を得て検査をするということは、現在とてもたいへんなことです。
そうした事実を、(すでに関心が低下しつつある)社会に発信していくこともとても大切。
以下の強調(大きさや色)はブログ編集部によるものです。
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内部被曝通信 福島・浜通りから〜地域ごとの結果が公表されないと、全体が見えない
南相馬市立総合病院 非常勤内科医 坪倉 正治
2012年10月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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震災復興支援放射能対策研究所が、ひらた中央病院の内部被曝検査結果( http://www.fukkousien-zaidan.net/reserch/index.html )を公表しました。
非常に良くまとまっているので、是非一度ご覧ください。
7月以来の報告になります。2012年4月1日から、7月31日までに内部被曝検査を受診した8,200人(うち15歳以下が4,979人)が対象です。
全体として検出限界未満の方は、8,127名(99.11%)、有限値を検出したのは73名(0.89%)でした。
セシウム137を検出した71名のうち、男性が88%、40歳以上が約80%でした。男性が多く、高齢の方が多い状況は変わりません。ブログ第5回( https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/NrFJ0o4Ufi )も参照下さい。
今回の検査結果で注目すべきポイントは以下の2点だと思います。
1つ目は、検出値が二極化してきているということです。ほとんどの人が検出しなくなってきています。以前、10〜30Bq/kgあたりで検出されていた方が、排泄によって検出限界以下になってきている印象です。これは、今現在の日常生活での慢性被曝が極端に抑えられているからこそ、このような値が実現しています。
それに対して、一部でかなり高めの値の方が散見されるようになってきています。20Bq/kg以上の方は4名(男性3名、女性1名。4名とも60才以上)で、一組の夫婦と2名の男性でした。そのうち3名が50Bq/kg以上でした。
今回の検査で50Bq/kg以上は3名ですが、その全員が自宅で現在の食品基準値を大幅に超える汚染食品を継続的に摂取していることが分かっています。
シイタケで14万Bq/kgだったり、イノシシで約900Bq/kgだったり、詳細については、このブログの
第22回 ( https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/TFKaiDii52 )、
第25回( https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/PXtxX1xnFs )、
第31回( http://www.asahi.com/health/hamadori/TKY201210050155.html )でも紹介させていただいています。
上記の様に値が完全に二極化してきています。
現状では、スーパーで一般に流通している食べ物を食べている方は、検出限界以下の群に全員が含まれ、高い群には含まれていないことはデータが示しています。
高い群に入るのは、明らかに出荷制限がかかっていたり、規制値を大幅に越えていたりする食べ物を、未検査で継続的に食べている方に限定されています。
今現状課題は、このような値の高い値の方々をどのようにして見つけるか、どのようにして検査に来ていただき、話をして、今後につなげて行くかということです。検査自体はもちろん強制ではありませんし、応募があった方のみです。
いわゆる検診なので、興味がなく受診しない方までリーチするのが非常に困難です。現在、その原因をアンケート形式で調べ始めています。また、集まればご紹介します。
2つ目は、地域別の検査結果を公表している点です。受診者の居住地域ごとの検査結果を公表しています。上記URLの図8、9になります。
16才以上の受診者でのセシウムの検出率は、県北地域では2.55%(全年齢で2.13%)、県中地域では1.43%(同0.33%)、相双地域では4.23%(同3.90%)、いわき地域では1.92%(同1.22%)という結果です。
相双地域でやや検出者の割合が多いのは、受診者の年齢と性別の分布が異なる(年配の男性の受検が多いため)ことも関係しています。この公表で、今現在の福島県内で場所によって、大きく検出率が異なる訳ではないことも分かります。
今まで病院や自治体が単独で検査をし、結果を公表することはあっても、地区ごとの発表はありませんでした。今回のように細かく発表することで初めて、全体像の把握が可能になります。
欲を言えば自治体ごとの結果公表があると尚更よかったと思っているのですが、地域ごとでの検査結果が出たのはまずは一歩前進です。
ちなみにこちらのリンク( http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=26211 )は福島県の発表している検査結果です。苦言になりますが、もう少し細かくしてくれないと、何が大事なのかわかりません。
図:場所ごとの結果の図です。ひらた病院のスタッフ達のがんばりにエールを送りたいと思います。
↓
http://www.asahi.com/health/hamadori/TKY201210120205.html
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安全や安心のために、測定をしたり、公表のために日々協力・尽力をされている皆様ありがとうございます。