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「B型肝炎ワクチンの定期接種化等に関する要望」 日本小児科学会

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世界初のがん予防ワクチン、HBVワクチンが日本ではネグレクトされているよ・・・という記事は当ブログでもいろいろ記事にしてきましたが。

9月19日に小児科学会から要望書がでました。
(肝臓とか感染症、公衆衛生の専門の人たちはどう考えているのか・・・)

平成24年度の厚生労働科学研究による肝炎関連の研究枠は決して少なくありません。
が、子どもたちを守るという最優先事項について、予算根拠や事業関連書類をさがしてもみあたりません。なぜでしょう。


『わが国における B 型肝炎母子感染防止の経緯とuniversal vaccination の必要性について』
小児感染免疫 Vol. 21 No. 2 149


小児科の専門団体が国にこのようなお願いをしている、ということは世界の関係者からどう見えるのかがムムムであります。


以下、強調や改行は編集部による改変。

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                        平成 24 年 9 月 19 日
厚生労働大臣
小宮山 洋子 殿
                       公益社団法人 日本小児科学会
                              会長 五十嵐 隆

要 望 書


B型肝炎ワクチンの定期接種化等に関する要望

厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会から予防接種制度の見直しについて(第二次
提言)が平成 24 年 5 月 23 日に公表されました。この中でB型肝炎について、

1類疾病の「致命率が高いこと、または感染し長期間経過後に重篤になる可能
性が高い疾病になることによる、重大な社会的損失の防止を図る目的で予防接種を行う
疾病」に位置づけ、広くワクチン接種を促進していくことが望ましい

と記載されています。
この提言に沿って、速やかにB型肝炎ワクチンの定期接種化を実現して頂けるように要
望します。

日本ではB型肝炎ウイルス(HBV)に起因する肝癌の死亡者数は年間約 5,000 人、肝硬
変による死亡者数は 1,000 人と推計されており、子宮頚癌による死亡者数の2倍以上
に達しています 1)。
また医療経済面では、医療費助成制度が設けられるなど、B型慢性肝疾患の治療には高
額な費用負担が生じます。加えて、HBV のキャリア状態が終息したと判断された人も、
近年の多様化している免疫抑制療法の治療中に HBV 感染の再活性化が起こり非常に重
篤な肝炎を起こす事例(de novo 肝炎など)が日本には多いことが判明し、その予防や
治療のために多額の医療費が必要になっています 1)。

日本ではこれまで HBV の母子感染予防に力を入れ、大きな成果をあげてきたと評価で
きます。一方、近年これらの予防措置からはずれる症例も多く、また若年成人を中心
に現在も年間 6,000 人以上の新規感染者がいると推計されます 2)。

このため母子感染予防だけでは制御できない現状があり、水平感染を視野に入れた感染防止対策が強く求められています。
とくに小児の HBV 感染者は無症状でも体液中のウイルス量が多く、感染源になりやす
い可能性も考えられ、保育所や運動部での集団感染事例も散見されます。このためか
HBV キャリア小児が保育所通園を断られるなど、深刻な事態も発生しています。

HBV 感染者が1歳未満の場合 90%、1〜4歳の場合は 20〜50%、それ以上の年齢にな
ると1%以下の確率でキャリアに移行します。一方、乳児にB型肝炎ワクチンを接種す
ると 95%以上で抗体が獲得され、感染防止効果は 20 年以上続き、安全性も高いことが
確認されています 1)。

このため、世界保健機関(WHO)は全ての小児へのB型肝炎ワクチン接種を勧告しており、2010 年の時点ですでに 179 か国がこれを導入しています。

以上のような経緯から、B型肝炎ワクチンの定期接種化は極めて重要な施策であり、
早期に実現できるよう、よろしくお願い申し上げます。これに関連して、乳児へのワク
チン接種回数を減らし、接種費用の軽減を図るために、他のワクチンとの混合ワクチン
の開発・導入を早急に検討して下さるようにお願いいたします。

また、小児 HBV 感染では家族内感染が多くを占めることから 2)、定期接種化と並行し
て、HBV キャリアの同居家族へのワクチン接種も緊急の施策として進めて頂けるように
お願い申し上げます。

1)厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 ワクチン評価に関する小委員会報告書
2)厚生労働科学研究 肝炎等克服緊急対策研究事業「B 型肝炎の母子感染および水平感染
の把握とワクチン戦略の再構築に関する研究」平成 23 年度 総合・分担研究報告書 研
究代表者 森島恒雄

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えーっと、WHOのHBVやワクチン関連会議にも、日本の関係者は出席しています。

そこでどんな会話がなされているか(されていないか)は、海外の関係者から情報が入ります。とほほ。

HBVワクチンの歴史(復習)

1965年 B型肝炎ウイルス発見

1971年 肝硬変/肝癌家系の調査で慢性肝障害患者とHBs 抗原キャリアの家族集積の存在が明らかに

1972年 日本と台湾で、HBV キャリア妊婦からの出生児が HBs 抗原陽性になることを確認。

    血液製剤スクリーニング開始

1975年 厚生省(当時)B 型肝炎ワクチン開発協議会を中心としHBVワクチンの開発開始

1984年 血漿由来B型肝炎ワクチン承認

1985年 遺伝子組換え技術を応用した沈降B型肝炎ワクチン発売

1986年 母子感染防止事業開始

1992年 WHOがすべての加盟国に対して、国の予防接種プログラムに1997年までにHBVワクチン を入れるように推奨。

1998年  WHOの会議で、HBVのEliminationとEradicationの戦略が話し合われる。

2000年 GAVIが途上国でのワクチン普及の支援を開始

2005年 WHO西太平洋事務局が5歳以下の慢性肝炎の子どもを2012年までに人口の2%以下にするとの目標を設定。

2007年  WHO加盟国の88%がHBVワクチンを子どもの予防接種プログラムに導入。
     誕生時の接種率が27%、3回接種完了率は65%。

2008年  SAGEの肝炎ワーキンググループがDr. Liang Xiaofengのリーダーシップもとはじまり、すべての加盟国に、自国の状況にもとづいたB型肝炎対策に関するゴール設定をするようにはたらきかける。

5年前の2007年の時点で、世界の新生児の4400万人がB型肝炎を3回接種。

未接種の子どもの75%は下記の10か国に集中。

インド ナイジェリア 中国 インドネシア 日本 エチオピア 英国・北部アイルランド パキスタン ニジェール フランス 。

Source: WHO/UNICEF coverage estimates 1980-2007, August 2008, 193 WHO Member States. Date of slide: 08 September 2008



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