細菌性赤痢の症例を診断した際、それがsonneiとflexneriなのか、といった区別がありまして、感染経路や対策を考えるときはそれが同じ感染源（レストランや食材）なのか、ということを知るためには、菌のより細かな情報が重要になってきます。
保健所に届け出をすると、「その菌株ください」と行政（地方衛生研究所）から依頼がきますので、診断の際には細菌検査室に「とっておいてくださいね」と声をかけておくと後の作業がスムーズです。
トラディショナルには海外で経口感染で、なんですが
「中国への研修旅行帰国後、細菌性赤痢感染が判明した学生グループの事例―新潟市」
海外にいってないけど輸入した食材で感染するパターンもあり、
「「由来が同一と推察された細菌性赤痢による食中毒事例および赤痢患者発生事例−福岡市」
激烈な症状ですと受診して診断につながることもありますが、症状が軽いと受診しなかったりで、知らないうちに地域に広がる可能性もあります。
細菌性赤痢が地域でエンデミックになったりすると影響を受ける人が拡大してしまいます。
＜速報＞幼稚園における細菌性赤痢の集団発生事例―福岡市」
「いずれの株も、12薬剤〔アンピシリン（ABPC）、セフェピム（CFPM）、ナリジクス酸（NA）、ノルフロキサシン（NFLX）、テトラサイクリン（TC）、ストレプトマイシン（SM）、カナマイシン（KM）、クロラムフェニコール（CP）、スルファメトキサゾール/トリメトプリム合剤（ST）、ホスホマイシン（FOM）、セフォタキシム（CTX）、セフタジジム（CAZ）〕による薬剤感受性試験（K-B法）の結果、NA、TC、SMおよびSTの4薬剤耐性であり、パルスフィールド・ゲル電気泳動（PFGE）（Xba I処理）試験においても同一パターンを示した。したがって、これらの解析結果から、本事例は同一の感染源であり、園児間および家族間での二次感染が発生したことが推察された。」
菌株を詳しく検討してもらえると（行政に検体を提供する際にはコストはかかりません。結果は臨床医にフィードバックされます）感染症治療的にも重要な情報が得られます。
ところで、細菌性赤痢は性的接触でも広がるのは感染症ギョウカイでは知られていることですが、アメーバ赤痢はSTDという認識はあっても、細菌性赤痢のことはよく知らん、という人が多い印象です。
（同じルートでA型肝炎もブレイクします）
今年の6月、米国シアトルでは保健医療関係者向けにアラートが出ています。
「Health Alert: Shigellosis among MSM in King County June 6, 2011」
そして、公衆衛生の対応として、「セックスと細菌性赤痢」なる文書がHPで公開されています。
King County Public Health
今年の9月にEIDにこんなレポートがあったわけです。
Ciprofloxacin Resistant Shigella sonnei among Men Who Have Sex with Men, Canada, 2010
2011年9月Emerging Infectious Diseases •
シプロ耐性、で流行。こういった情報は医師には重要です。
そして、誰にどのようなリスクがあるのか？ですが、MSM（男性と性交をする男性）でブレイクしているのだとしたら、その人たちに健康を守るための情報提供が必要です。
手指衛生のほか、
発熱したりお腹の調子悪かったら（下痢・腹痛）ドクターに相談してくださいね、という啓発（保健所がポスター掲示などをすべきでしょう）。
治療が終わるまではしばし性交は延期してくださいね（看護師からアドバイス必要です）。
周囲の人に同じ症状の人はいませんか？いたらご受診・相談を（積極的症例探索）。
海外ではよくあるアウトブレイクのパターンのひとつ（関係者あまり驚かず）。
1999年に国立感染症研究所のIASRでもMMWR記事（アウトブレイク）が紹介されています「男性同性愛者における細菌性性感染症の再出現､1997〜99年−米国・シアトル」
Shigella sonnei Outbreak Among Men Who Have Sex With Men―San Francisco, California, 2000-2001 2001年 MMWR
Shigella flexneri Serotype 3 Infections Among Men Who Have Sex with Men --- Chicago, Illinois, 2003--2004
2005年 MMWR
NSW Health investigates possible Shigella outbreak
2008年 オーストラリア
NSW州
Outbreak of UK acquired Shigella flexneri in men who have sex with men
2011年 UK
43週までに細菌性赤痢は259例。日本の感染症週報IDWRをときどきみると、いろいろなことに気づきます。
保健所に届け出をすると、「その菌株ください」と行政（地方衛生研究所）から依頼がきますので、診断の際には細菌検査室に「とっておいてくださいね」と声をかけておくと後の作業がスムーズです。
トラディショナルには海外で経口感染で、なんですが
「中国への研修旅行帰国後、細菌性赤痢感染が判明した学生グループの事例―新潟市」
海外にいってないけど輸入した食材で感染するパターンもあり、
「「由来が同一と推察された細菌性赤痢による食中毒事例および赤痢患者発生事例−福岡市」
激烈な症状ですと受診して診断につながることもありますが、症状が軽いと受診しなかったりで、知らないうちに地域に広がる可能性もあります。
細菌性赤痢が地域でエンデミックになったりすると影響を受ける人が拡大してしまいます。
＜速報＞幼稚園における細菌性赤痢の集団発生事例―福岡市」
「いずれの株も、12薬剤〔アンピシリン（ABPC）、セフェピム（CFPM）、ナリジクス酸（NA）、ノルフロキサシン（NFLX）、テトラサイクリン（TC）、ストレプトマイシン（SM）、カナマイシン（KM）、クロラムフェニコール（CP）、スルファメトキサゾール/トリメトプリム合剤（ST）、ホスホマイシン（FOM）、セフォタキシム（CTX）、セフタジジム（CAZ）〕による薬剤感受性試験（K-B法）の結果、NA、TC、SMおよびSTの4薬剤耐性であり、パルスフィールド・ゲル電気泳動（PFGE）（Xba I処理）試験においても同一パターンを示した。したがって、これらの解析結果から、本事例は同一の感染源であり、園児間および家族間での二次感染が発生したことが推察された。」
菌株を詳しく検討してもらえると（行政に検体を提供する際にはコストはかかりません。結果は臨床医にフィードバックされます）感染症治療的にも重要な情報が得られます。
ところで、細菌性赤痢は性的接触でも広がるのは感染症ギョウカイでは知られていることですが、アメーバ赤痢はSTDという認識はあっても、細菌性赤痢のことはよく知らん、という人が多い印象です。
（同じルートでA型肝炎もブレイクします）
今年の6月、米国シアトルでは保健医療関係者向けにアラートが出ています。
「Health Alert: Shigellosis among MSM in King County June 6, 2011」
そして、公衆衛生の対応として、「セックスと細菌性赤痢」なる文書がHPで公開されています。
King County Public Health
今年の9月にEIDにこんなレポートがあったわけです。
Ciprofloxacin Resistant Shigella sonnei among Men Who Have Sex with Men, Canada, 2010
2011年9月Emerging Infectious Diseases •
シプロ耐性、で流行。こういった情報は医師には重要です。
そして、誰にどのようなリスクがあるのか？ですが、MSM（男性と性交をする男性）でブレイクしているのだとしたら、その人たちに健康を守るための情報提供が必要です。
手指衛生のほか、
発熱したりお腹の調子悪かったら（下痢・腹痛）ドクターに相談してくださいね、という啓発（保健所がポスター掲示などをすべきでしょう）。
治療が終わるまではしばし性交は延期してくださいね（看護師からアドバイス必要です）。
周囲の人に同じ症状の人はいませんか？いたらご受診・相談を（積極的症例探索）。
海外ではよくあるアウトブレイクのパターンのひとつ（関係者あまり驚かず）。
1999年に国立感染症研究所のIASRでもMMWR記事（アウトブレイク）が紹介されています「男性同性愛者における細菌性性感染症の再出現､1997〜99年−米国・シアトル」
Shigella sonnei Outbreak Among Men Who Have Sex With Men―San Francisco, California, 2000-2001 2001年 MMWR
Shigella flexneri Serotype 3 Infections Among Men Who Have Sex with Men --- Chicago, Illinois, 2003--2004
2005年 MMWR
NSW Health investigates possible Shigella outbreak
2008年 オーストラリア
NSW州
Outbreak of UK acquired Shigella flexneri in men who have sex with men
2011年 UK
43週までに細菌性赤痢は259例。日本の感染症週報IDWRをときどきみると、いろいろなことに気づきます。