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Channel: 感染症診療の原則
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「途上国の薬局」 と グリベック

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ジェネリック薬をたくさん世界に供給しているインドは「途上国の薬局」といわれています。
自国だけでなく、他の途上国にもたくさん輸出していますし、先進国も輸入をしています。
インドで合資会社をつくったり、ベンチャーをたちあげたり、製造工場をつくったりと、各社が巨大な人口・市場を求めてインドにその手をのばしています。

(抗菌薬については多剤耐性菌に関連して批判も多数ありますがーその話題はまた別の機会に)

先発品をもっている会社にとっては知的財産の保護の問題もあります。

人道的に必要だから、、、とぶっちぎりをしたのはエイズの治療薬が有名ですが、他の領域でもいろいろ問題がおきています。


今回が話題になっているのはグリベック。日本でもとてもお高い。

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「インド最高裁、大手製薬会社の特許で最終審理 ジェネリック業界に影響もロイター 8月21日

スイスの製薬大手ノバルティスが抗がん剤「グリベック」の特許認定をインド特許局に求めている訴訟で、インド最高裁が今週、最終審理を開始。
 ノバルティス側の訴えが認められれば、インド製薬業界のルールが書き換えられ、インド企業による安価な後発医薬品(ジェネリック薬)製造が抑制される可能性がある。

ノバルティスはインド特許局にグリベックの特許を申請したが、同局は既存薬の化学構造を変えただけで新薬ではないとして、特許の認定を拒否。
 今回の訴訟で特許が認定されれば、ノバルティスは同薬の独占販売権を手にし、インド企業による後発薬の生産が中止されることになる。
 インド特許局は今年3月、独バイエルの抗がん剤「ネクサバール」が高額すぎて大多数の国民の手に届かないとして後発医薬品の販売を認めており、今回の訴訟で再び海外メーカーとインド政府間の緊張が高まっている。
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グリベックGleevecは米ドルでは月に約2600ドルです。(国境なき医師団)
インドのジェネリックでは、1月あたり200ドル。大きくちがいます。
エイズのジェネリックでもおなじみの、Cipla社もこんなにやすいんですね。

グリベック錠 2749円 1日4錠 服用すると1日11,200円。1か月分で約336,000円。薬局窓口では約11万円負担することに(収入等により年間12〜120万円の自己負担)。

「抗悪性腫瘍剤「グリベック®錠100mg」、公知申請によりFIP1L1-PDGFRα陽性の好酸球増多症候群,慢性好酸球性白血病の治療薬として効能追加の承認を取得」ノバルティス 2012年2月


人道主義一本でいけば、値段を下げろということでしょう。
開発にかかっているお金や、開発のインセンティブの喪失が与える社会への影響を考えるというのも正論ではあります。

他の薬剤のパテントの問題にも飛び火することはまちがいありませんので、インドの裁判所がどのような判断を下すのかご注目ください。

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