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Channel: 感染症診療の原則
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ウガンダのエボラ出血熱アウトブレイク 対応その後

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8月6日のニュース:ウガンダと国境を接するタンザニアの村で、こども1人を含む2症例がエボラ出血熱疑いでケアを受けていると英語メディアが伝えています。

今回のウガンダでのアウトブレイクは、どこからはじまったのか。国境なき医師団の医師をソースとする記事が伝えているところによると、まず3カ月の女児が死亡。この子どもの葬儀に参加した人たちが発症をしています。
多くの農村部がそうであるように、遺体の扱いや埋葬は家族や親類によって行われます。

Deadly Ebola outbreak in Uganda was spread at funeral for baby

7月の葬儀には65名が参加しており、このうち15名が発症。11名がすでに死亡しています。
この女児と母親が体調不良になったのは7月12日。

このアウトブレイク地の実情はよくわかりませんが、アフリカの農村部には、遺体を家族が水で清める習慣などがあるところも。
(ウガンダではイスラム教は少数派ですが)、例えばイスラム教のコーランには「死者の清め」の規定があり、
1.死者の陰部を三回、それぞれ新しい布で洗う。
2.未使用の濡れた布で死者の口を洗う。
3.未使用の濡れた布で鼻孔を洗う。
4.死者の顔を洗う。
5.右手と左手を洗う。
6.局部を洗う。
7.右足と左足を洗う。
8.頭からつま先まで全身を洗う。

といったことがおこなわれたりします。
類似の清めの習慣などがあれば、エボラウイルスの感染リスクとなることが想像できます。
重症例や死体との直接の接触がリスク因子。これはかなり明確。
Transmission of Ebola hemorrhagic fever: a study of risk factors in family members, Kikwit, Democratic Republic of the Congo, 1995. Commission de Lutte contre les Epidémies à Kikwit.
J Infect Dis. 1999 Feb;179 Suppl 1:S87-91.

WHOはコントロールは順調、という反応ですが、医師は対応が遅れていることを指摘。その理由は、典型的なエボラの症例ばかりではないため。
After Delay, Doctors Say Ebola In Uganda Is Stymied

2012年6月に掲載された Ebola and Marburg Hemorrhagic Fevers: Neglected Tropical Diseases?
PLoS Negl Trop Dis. 2012 June; 6(6): e1546.



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