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Channel: 感染症診療の原則
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梅毒性「直腸炎」を契機にHIV感染が判明

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感染症学会誌86巻4号(7月20日)に掲載されている症例報告。

報告したのは、小林先生(当時駒込病院研修中、現在マヒドン大学留学中)と、柳澤先生、菅沼先生、今村先生、味澤先生のチーム駒込。

HIV感染症も梅毒も感染症上5類の感染症ですが、報告率はHIVが80%、梅毒が5%前後といわれています。

報告数でみると、HIVは年間1500、梅毒がその半分です。
梅毒はもっと(信じられないほど)多いのだと思います。

小林先生が報告されている症例は、20代男性で、主訴が肛門痛と血便。

このような場合、通常、近医を受診して、症状から医師が大腸内視鏡を考えると思います。

そして、実際にそれはおこなわれ、直腸に潰瘍がみとめられたということです。

さて。

ここから先は医師や病院によって展開が変わると思いますが、この病院ではこの時点で男性との性交渉歴を把握できています。
このため他の性感染症の精査も必要ということになる、駒込病院に紹介をされました。
(性感染症の高流行地で診療をしている大腸/肛門系がご専門の都内の先生方は、すでに初期対応に慣れていると思われます)

そして、梅毒の検査値が高値、HIVも判明ということです。

この症例報告は、そのあとどのような検査/治療のマネジメントをすればいいかを学べるとてもよい報告と思いますので、性感染症の診療機会があまり無い方にはおすすめです。感染症学会に入っている先生に学会誌をみせてもらってください(^^)。

一般的なパターンならそう見逃す事はないとおもいますが、「直腸炎」はあまり報告がないのだそうです。


ところで、駒込病院もそうですが、HIV感染症をたくさんみている病院では、梅毒もたくさんみることになります。
HIV判明して受診をしたときに、すでに既往として梅毒がある、あるいは合併している、HIV診療の経過のなかで、突然梅毒の治療が必要になる事が多いからですね。
(ちなみに、梅毒はオーラルセックスでもうつりますし、コンドームを100%使っていたとしても完全には防ぎきれません)

駒込病院を受診したHIV新規症例、約1000例でみると、半数がTPLA陽性。

HIV感染症と梅毒の重複感染 (Vol. 29 p. 242-243: 2008年9月号) 東京都立駒込病院感染症科 柳澤如樹
http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/343/dj3431.html














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