すっかり報道もされなくなっているHIV感染症ですが、日本ではエイズ発症で報告される人が増えたりと、決して対策がうまくいっているよ〜という状態ではありません。
幸い、といいますか、男性と男性でセックスをする人の間での集中的な流行であり(concentrated epidemic)、general populationへの拡大はおきていない、というのが発生動向調査で把握されていることです。
WHOはこのpassiveなサーベイではなく、second generation surveillanceをやって、より精度の高い状況把握に努めなさいといといってもう10年くらいたちますが、日本では、「この地域」「この集団で」どれくらいのプレバレンスなのかという疫学調査は行われていません。
多くの国は、住民健診の血液や尿の検体を用いて、個人情報リンクをはずしたかたちでやります。
日本でも技術的・方法的にはできますが、まだやっていません。
倫理委員会もパスする確立した手法ですから、研究班主導でやればいいのですけどね。
国の人口ピラミッドさえかえてしまうほどにHIVの流行が問題となっている国では、少しでも感染リスクを下げる方法(なるべくお金のかからない、失敗の少ない方法)が模索されています。
その一つが、男性性器の包皮切除です。
日本では男性向けの週刊誌や漫画の広告にセーターを途中までかぶったイケめんが、「包茎はだめだよ」的メッセージをにおわせて受診を促します(医学的には別に必要なことではないので、美容目的、と考えておきます)。
日本ではそのような扱いの包皮ですが、ジンバブエでは国会で「議員自ら」という話があるそうです。
25日のニュースにあったので紹介します。
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「ジンバブエの男性議員らが率先して包皮切除、HIV感染防止が目的」 【6月25日 AFP】
ジンバブエの男性国会議員らが22日、HIV感染拡大を防ぐ新たな試みの一環として、自発的意志での包皮切除手術を受けた。アフリカ南部ジンバブエでのHIV感染率は、10人に1人となっている。
国会の建物内に設けられた移動診療所には有志議員44人が集まり手術を受けた。最新の医療技術により、必要となるのは局部麻酔のみで術後もすぐに職務に戻れるという。
集まった議員の先陣を切って手術を受けたモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)首相率いる民主変革運動(Movement for Democratic Change、MDC)のある議員は、「自分がやり遂げたことを誇らしく思う」と手術が終わって数分後に語った。
2015年までに、国内の男性120万人に包皮切除手術を受けてもらいたいと考えているジンバブエ。21日にも多くの閣僚や議員らがHIV検査を受けており、こうした取り組みについてラブモア・モヨ(Lovemore Moyo)議長は、HIV検査や包皮切除手術を受けたことを議員らが公にすることで先例になると説明した。
医学研究により、包皮切除でHIVの感染リスクを60%減少させることが分かっている。(c)AFP
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Male circumcision for HIV prevention WHO資料
1994年の国際エイズ会議当時、「こんな方法で減るのかなー」と思っていたのですが、2000年代に入り、次々と大規模スタディが中止になりました。それは効果が早くに確認されて、さっさと導入するべし的なエビデンスになったからです。
昔から、宗教等の習慣で割礼の行われている地域とそうでない地域では、男性の陰茎がんの有病率に違いがあることなどは把握されていました。
アフリカ
アジア
コンドームの使用、性感染症の有無・既往など他の因子も影響はしているのですが、包皮のあるなしでリスクがかなりことなることはわかっています。
女性→男性のHIV感染は特に期待があります。
(これが男性→男性と同じということではないあたり、日本や先進国では推奨とまではされない根拠のひとつ)
Larger foreskin size increases HIV infection risk
AIDS MAP 14 October 2009
他の性感染症では同じというわけではなく、いろいろなデータが出ています。
しかし、コンドームがない、あってもつかわない、もらっても売りに行ってしまう、、というような地域では公衆衛生上、優先順位の高い予防策のひとつになっています。
Male Circumcision and Risk for HIV Transmission and Other Health Conditions: Implications for the United States
米国CDC資料
・・・上手な先生がやらないと怖いなあと思うのですが。
こちらの先生のサイトで失敗の怖さを勉強しました。
ブログ「包茎と包茎手術」
幸い、といいますか、男性と男性でセックスをする人の間での集中的な流行であり(concentrated epidemic)、general populationへの拡大はおきていない、というのが発生動向調査で把握されていることです。
WHOはこのpassiveなサーベイではなく、second generation surveillanceをやって、より精度の高い状況把握に努めなさいといといってもう10年くらいたちますが、日本では、「この地域」「この集団で」どれくらいのプレバレンスなのかという疫学調査は行われていません。
多くの国は、住民健診の血液や尿の検体を用いて、個人情報リンクをはずしたかたちでやります。
日本でも技術的・方法的にはできますが、まだやっていません。
倫理委員会もパスする確立した手法ですから、研究班主導でやればいいのですけどね。
国の人口ピラミッドさえかえてしまうほどにHIVの流行が問題となっている国では、少しでも感染リスクを下げる方法(なるべくお金のかからない、失敗の少ない方法)が模索されています。
その一つが、男性性器の包皮切除です。
日本では男性向けの週刊誌や漫画の広告にセーターを途中までかぶったイケめんが、「包茎はだめだよ」的メッセージをにおわせて受診を促します(医学的には別に必要なことではないので、美容目的、と考えておきます)。
日本ではそのような扱いの包皮ですが、ジンバブエでは国会で「議員自ら」という話があるそうです。
25日のニュースにあったので紹介します。
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「ジンバブエの男性議員らが率先して包皮切除、HIV感染防止が目的」 【6月25日 AFP】
ジンバブエの男性国会議員らが22日、HIV感染拡大を防ぐ新たな試みの一環として、自発的意志での包皮切除手術を受けた。アフリカ南部ジンバブエでのHIV感染率は、10人に1人となっている。
国会の建物内に設けられた移動診療所には有志議員44人が集まり手術を受けた。最新の医療技術により、必要となるのは局部麻酔のみで術後もすぐに職務に戻れるという。
集まった議員の先陣を切って手術を受けたモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)首相率いる民主変革運動(Movement for Democratic Change、MDC)のある議員は、「自分がやり遂げたことを誇らしく思う」と手術が終わって数分後に語った。
2015年までに、国内の男性120万人に包皮切除手術を受けてもらいたいと考えているジンバブエ。21日にも多くの閣僚や議員らがHIV検査を受けており、こうした取り組みについてラブモア・モヨ(Lovemore Moyo)議長は、HIV検査や包皮切除手術を受けたことを議員らが公にすることで先例になると説明した。
医学研究により、包皮切除でHIVの感染リスクを60%減少させることが分かっている。(c)AFP
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Male circumcision for HIV prevention WHO資料
1994年の国際エイズ会議当時、「こんな方法で減るのかなー」と思っていたのですが、2000年代に入り、次々と大規模スタディが中止になりました。それは効果が早くに確認されて、さっさと導入するべし的なエビデンスになったからです。
昔から、宗教等の習慣で割礼の行われている地域とそうでない地域では、男性の陰茎がんの有病率に違いがあることなどは把握されていました。
アフリカ
アジア
コンドームの使用、性感染症の有無・既往など他の因子も影響はしているのですが、包皮のあるなしでリスクがかなりことなることはわかっています。
女性→男性のHIV感染は特に期待があります。
(これが男性→男性と同じということではないあたり、日本や先進国では推奨とまではされない根拠のひとつ)
Larger foreskin size increases HIV infection risk
AIDS MAP 14 October 2009
他の性感染症では同じというわけではなく、いろいろなデータが出ています。
しかし、コンドームがない、あってもつかわない、もらっても売りに行ってしまう、、というような地域では公衆衛生上、優先順位の高い予防策のひとつになっています。
Male Circumcision and Risk for HIV Transmission and Other Health Conditions: Implications for the United States
米国CDC資料
・・・上手な先生がやらないと怖いなあと思うのですが。
こちらの先生のサイトで失敗の怖さを勉強しました。
ブログ「包茎と包茎手術」