ある言葉をきいたときの反応。
わからなければまず調べることになりますが、最初の反応は、、、、
「ひえーーーーーーーーーーー!」 と叫ぶほど驚く。
「ふーん・・・・」 冷製。しかし実はよくわかっていない。
「たぶん、大丈夫じゃない?」 正常バイアス。面倒くさがり。たにんごと。
「しかたないよ」 心が広い。実は何もしたくない。突然、「日本人・文化論」を持ち出す人多し。
「それって陰謀だよ」 見ているソースが粗悪すぎ。論を楽しむことにずれていき、健康危機には関心がない。
・・・などがあるとおもいますが、中には「無反応」という反応もあります。
じーっと眺めていると、「考え中」なのか、「そんな余計なこと言うなよボケ」と怒っているのを顔に出さないように必死にコントロール注なのかよくわかりません。
投げかけられた案件の深刻さに茫然自失・思考停止中なのかもしれません。
とりあえずは(徳田先生に習ったように)バイタルサインと意識状態を確認し、覚醒を促し、コミュニケーションをとります。
少し前にWHOがこれまでの抗菌薬のきかない薬剤耐性淋菌の拡大についてアラートをだし、日本語英語一般メディアが報道しました。
(専門家では周知の事実ですので、このタイミングでアラートになった理由を考えて悪寒戦慄もはしります)
淋菌はこれまでにも、他の薬が効かなくなる過程で、常に「また日本(アジア)からかよ」的冷たい視線も受けてきたのですが、第三セフェムが・・の話も日本から報告が出ているために、各記事にJAPANの文字が並びました。
青木編集長が常々若い研修医の先生方に強調するように、Use it, Lose it(抗菌薬は使えば、効かなくなるリスクをせおう運命にある)ということで、適切に使わないと、将来の選択肢としての治療薬を患者さんのみならず社会が失うことになります。
淋菌やMRSAのように、伝播力がとても強い病原体は要注意です。
性行為のように個人の努力でもコントロールがなかなか難しい経路で広がる感染症への効果的な介入というのはとても限られています。
米国CDCでは、2009年に多剤耐性菌のアウトブレイクについての対策会議をもっています。
CONSULTATION MEETING ON
CEPHALOSPORIN-RESISTANT GONORRHEA OUTBREAK RESPONSE PLAN
当の問題発生地である日本でこのようなレスポンス会議があったのかわかりませんが、厚労省は関連テーマの研究班にお金を出しているので「国として必要な調査はやっている」的理解をしているのかもしれません。
しかし検体を集めて研究をする人たちと、実際に拡大をしないように初期対応をする人たちは別なので、本来ならばアウトブレイクレスポンスチームを厚労省や感染研あるいは自治体の公衆衛生部門が主体的に話し合うことなんだろうと思います。
こちらの、講義スライドが、淋菌の耐性化の歴史を学ぶのに役立ちます。
うしろのほうにはどのように耐性になり広がるかまであります。
感染症に関わる、教育をする人はぜひ保存を。
当初、治療にはペニシリンが使われていました。(っていうか他になかったし)
そして、かなり耐性だ、こりゃヤバい・・・となったのは1976年。
ペニシリンは淋菌につかえんよーとなったのが1989年。
以下は、専門の人向けのお話。
医師、医学生、薬剤師、薬学性は上記の「スライド22」をご確認ください。
"Percentage of Gonococcal Isolates with Elevated Cefixime MICs (≥0.25 µg/ml), 2005–2011"
MICが〜〜〜きゃ〜・・・
とか、
遺伝子変異が〜〜 うわ・・・
とか、
アナログな方法ではありますが、コンドームの啓発も地道にお願いします。
またパートナーとのピンポン感染はとても事態を深刻にしていきますので、性感染症の症例のパートナー(性的接触者)についても検査治療を勧奨してください。
国の「性感染症予防指針」にもそのようにしたまえ、と明記されています。
諸外国では公衆衛生チームがその人たちに検査おすすめ情報を連絡してもくれます。(日本は、患者さんの意向や医療者の関心で対応がだいぶことなります)。
新たに6月8日に公開された厚生労働省ホームページの「性感染症」のページには、パートナーに検査をうながすためのポスターも掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/poster_partner.pdf
ぜひ外来待合室や保健室の廊下などに掲示しましょう。
「それがマナーだ」「性感染症の対応とはそうするものだ」「皆が健康を大切にするための方法だ」というSocial Normが大切だからです。
米国CDCやカナダの公衆衛生局が資金を出して運用しているInSpotは、サイトからセックスをした相手に「検査受けてね」メールを匿名で送ることが可能です。
男性と男性の出会い系サイトでも、性感染症のリスクの生じた人をケアする活動を支援しています。
実際には、こういうことですよ、、と説明する図。
日本でも彼氏も元カレの元カノの元カレというキャンペーンがありました。(ただし日本は報告される症例の9割が男性ですから、元カレの元カレの元カレというべきだったのかもしれませんが)
以下は、マニアックになりますが、、、臨床や公衆衛生、基礎研究で関わる人たち用の情報です。
アジア旅行→ノルウェーにもちこまれた淋菌、、、という報告
Eurosurveillance, Volume 13, Issue 23, 05 June 2008
Surveillance and outbreak reports
A LOCAL OUTBREAK OF QUINOLONE-RESISTANT GONORRHOEA IN NORWAY, JANUARY 2008
こちらはカナダの淋菌アウトブレイク時のレスポンスとしてのバーでの接触者調査。リスクの生じた人に検査・治療を提供し、完治するまでをサポートします。
協力が得られた場合には、菌の遺伝子レベルの検査をして、どの程度同じなのかを確認。
日本ではこれまでに性感染症のアウトブレイクが把握されても、保健所がそれを認知しない(増えていると認識できない)、認知してもいろいろ大人の事情で動かない・公表したがらない、といったことがあり、国民の健康や危機管理としてケアされていません。
耐性菌や治らないようなウイルス感染症が広がることについて、関係者がどのような認知をしているのかをまず考えたほうがよいかもしれませんね。
皆さんの地域の担当者が、上記のようなズレた反応をする人ではないことを祈ります〜。
医師は、保健所に「現場的に、かなり増えていますよ」と警告をしてくださる方が多いんですけどね。
(報告をした日時と相手の名前を聞いてカルテに記録しておく、メールの際は他の関係者にもCCしておくことをおすすめしてます)
わからなければまず調べることになりますが、最初の反応は、、、、
「ひえーーーーーーーーーーー!」 と叫ぶほど驚く。
「ふーん・・・・」 冷製。しかし実はよくわかっていない。
「たぶん、大丈夫じゃない?」 正常バイアス。面倒くさがり。たにんごと。
「しかたないよ」 心が広い。実は何もしたくない。突然、「日本人・文化論」を持ち出す人多し。
「それって陰謀だよ」 見ているソースが粗悪すぎ。論を楽しむことにずれていき、健康危機には関心がない。
・・・などがあるとおもいますが、中には「無反応」という反応もあります。
じーっと眺めていると、「考え中」なのか、「そんな余計なこと言うなよボケ」と怒っているのを顔に出さないように必死にコントロール注なのかよくわかりません。
投げかけられた案件の深刻さに茫然自失・思考停止中なのかもしれません。
とりあえずは(徳田先生に習ったように)バイタルサインと意識状態を確認し、覚醒を促し、コミュニケーションをとります。
少し前にWHOがこれまでの抗菌薬のきかない薬剤耐性淋菌の拡大についてアラートをだし、日本語英語一般メディアが報道しました。
(専門家では周知の事実ですので、このタイミングでアラートになった理由を考えて悪寒戦慄もはしります)
淋菌はこれまでにも、他の薬が効かなくなる過程で、常に「また日本(アジア)からかよ」的冷たい視線も受けてきたのですが、第三セフェムが・・の話も日本から報告が出ているために、各記事にJAPANの文字が並びました。
青木編集長が常々若い研修医の先生方に強調するように、Use it, Lose it(抗菌薬は使えば、効かなくなるリスクをせおう運命にある)ということで、適切に使わないと、将来の選択肢としての治療薬を患者さんのみならず社会が失うことになります。
淋菌やMRSAのように、伝播力がとても強い病原体は要注意です。
性行為のように個人の努力でもコントロールがなかなか難しい経路で広がる感染症への効果的な介入というのはとても限られています。
米国CDCでは、2009年に多剤耐性菌のアウトブレイクについての対策会議をもっています。
CONSULTATION MEETING ON
CEPHALOSPORIN-RESISTANT GONORRHEA OUTBREAK RESPONSE PLAN
当の問題発生地である日本でこのようなレスポンス会議があったのかわかりませんが、厚労省は関連テーマの研究班にお金を出しているので「国として必要な調査はやっている」的理解をしているのかもしれません。
しかし検体を集めて研究をする人たちと、実際に拡大をしないように初期対応をする人たちは別なので、本来ならばアウトブレイクレスポンスチームを厚労省や感染研あるいは自治体の公衆衛生部門が主体的に話し合うことなんだろうと思います。
こちらの、講義スライドが、淋菌の耐性化の歴史を学ぶのに役立ちます。
うしろのほうにはどのように耐性になり広がるかまであります。
感染症に関わる、教育をする人はぜひ保存を。
当初、治療にはペニシリンが使われていました。(っていうか他になかったし)
そして、かなり耐性だ、こりゃヤバい・・・となったのは1976年。
ペニシリンは淋菌につかえんよーとなったのが1989年。
以下は、専門の人向けのお話。
医師、医学生、薬剤師、薬学性は上記の「スライド22」をご確認ください。
"Percentage of Gonococcal Isolates with Elevated Cefixime MICs (≥0.25 µg/ml), 2005–2011"
MICが〜〜〜きゃ〜・・・
とか、
遺伝子変異が〜〜 うわ・・・
とか、
アナログな方法ではありますが、コンドームの啓発も地道にお願いします。
またパートナーとのピンポン感染はとても事態を深刻にしていきますので、性感染症の症例のパートナー(性的接触者)についても検査治療を勧奨してください。
国の「性感染症予防指針」にもそのようにしたまえ、と明記されています。
諸外国では公衆衛生チームがその人たちに検査おすすめ情報を連絡してもくれます。(日本は、患者さんの意向や医療者の関心で対応がだいぶことなります)。
新たに6月8日に公開された厚生労働省ホームページの「性感染症」のページには、パートナーに検査をうながすためのポスターも掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/poster_partner.pdf
ぜひ外来待合室や保健室の廊下などに掲示しましょう。
「それがマナーだ」「性感染症の対応とはそうするものだ」「皆が健康を大切にするための方法だ」というSocial Normが大切だからです。
米国CDCやカナダの公衆衛生局が資金を出して運用しているInSpotは、サイトからセックスをした相手に「検査受けてね」メールを匿名で送ることが可能です。
男性と男性の出会い系サイトでも、性感染症のリスクの生じた人をケアする活動を支援しています。
実際には、こういうことですよ、、と説明する図。
日本でも彼氏も元カレの元カノの元カレというキャンペーンがありました。(ただし日本は報告される症例の9割が男性ですから、元カレの元カレの元カレというべきだったのかもしれませんが)
以下は、マニアックになりますが、、、臨床や公衆衛生、基礎研究で関わる人たち用の情報です。
アジア旅行→ノルウェーにもちこまれた淋菌、、、という報告
Eurosurveillance, Volume 13, Issue 23, 05 June 2008
Surveillance and outbreak reports
A LOCAL OUTBREAK OF QUINOLONE-RESISTANT GONORRHOEA IN NORWAY, JANUARY 2008
こちらはカナダの淋菌アウトブレイク時のレスポンスとしてのバーでの接触者調査。リスクの生じた人に検査・治療を提供し、完治するまでをサポートします。
協力が得られた場合には、菌の遺伝子レベルの検査をして、どの程度同じなのかを確認。
日本ではこれまでに性感染症のアウトブレイクが把握されても、保健所がそれを認知しない(増えていると認識できない)、認知してもいろいろ大人の事情で動かない・公表したがらない、といったことがあり、国民の健康や危機管理としてケアされていません。
耐性菌や治らないようなウイルス感染症が広がることについて、関係者がどのような認知をしているのかをまず考えたほうがよいかもしれませんね。
皆さんの地域の担当者が、上記のようなズレた反応をする人ではないことを祈ります〜。
医師は、保健所に「現場的に、かなり増えていますよ」と警告をしてくださる方が多いんですけどね。
(報告をした日時と相手の名前を聞いてカルテに記録しておく、メールの際は他の関係者にもCCしておくことをおすすめしてます)