Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

長崎県のHPVワクチン接種率

$
0
0
6月4日に長崎県でのHPVワクチン接種率の数字を伝える記事がありました。

記事のタイトルが意味不明なのでミスリードにもなりそうですが、、、

「予防ワクチンの接種率7割に」

大切なことは、接種していない人には「ワクチンの効果での免疫はもっていない」ということを当事者である子どもに伝えておくこと、

接種をしたお子さんには2価と4価のどちらを接種したのか、記録と共に説明することです。「たぶんやったとおもうけどー、どっち接種したかわかんなーい」とかいう大学生年齢は不気味です。


さて。記事ですが、、

「国内では毎年約1万人がかかり、約3千人が死亡しているという。」これは製薬会社が使う数字で、国立がん研究センターなど専門家が出す数字とは異なっていますので注意。「〜という」という出典をぼやかすときは、記者が自分で責任をもって調べてないんだな、と思うようにしています。

長崎県のデータですが、「公費助成の対象は中学1年(13歳相当)から高校1年(16歳相当)の女子。県医療政策課によると、3月末までの県内の対象者は3万8289人で、69・2%の2万6503人が接種」

です。こういった数字は他の地域も出せるのではないかと思います。今後のためにぜひ公表してもらいましょう。


でも、接種率だけではだめなんですね。

もともと、先進国は頸がん検診によって、かなり罹患率や死亡率を下げていたわけで、さらにこのワクチンを導入することでどのような効果を期待するのかということと、費用対効果の検証が重要なわけです。

しかし、日本では、サーベイランス体制がもともと貧弱(脆弱?ない?)なので、この高額なワクチンへの公費投入によって、どのようなアウトカムを想定し、どのようなインジケーター(指標)で評価し、それな何年後にどのように評価するのかが不明なまま、水痘やムンプス、B型肝炎ワクチンが任意のままこのワクチンが定期になるというあたりの不自然さや根拠のなさをなんとかしないといけません。

国民の健康・医療情報はすべて社会保障番号で管理できている国もあり、そのデータベースでは、ある人がワクチンを接種してるのかしていないのか、検診を受けているのか受けていないかも把握できます。

そのような国では、接種した人での子宮頸がん発症率や、コンジローマ発症率と接種していない人での比較ができます。

英国とオーストラリアはこのマッチングでの評価をするべく準備をしたうえで、米国より少し遅く公的プログラムが開始されました。

オーストラリアは公衆衛生部門がその成果を発表しています。









世界の専門家の会議では、コンジローマの激減率のほうが注目されています。男性もなりますし、その治療もかなりお金がかかるので(再発率も高い)。
ハイリスクHPVでのがんが減るのかどうか、どの程度影響がみられるかは、もう少し長期的な検討課題。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles